考えていたよりも近い (Closer than we thought)
人間の言語の特徴の1つは、要素を組み合わせて意味のある大きな構造にすることである。この様式は構成性と呼ばれる。構成性は、2つの部分が一緒になって意味を成す単純な構成性と、1つの部分の意味が他の部分の意味を変更する非自明な構成性に分けられる。最近の研究は、多くの種にわたる単純な構成性の存在を見出してきたが、非自明な構成性は人間に特有であると主張してきた。Berthetたちは、分布意味論の手法と併せてボノボの発声の大規模なデータの集合を用い、それらが構成性を示しているだけでなく、その4つの類型のうちの3つが非自明なものであることを見出した。(Sk,nk,kh)
- 分布意味論:言葉の意味を、コーパス(自然言語を大量に収集し、コンピュータで検索できるよう整理したデータベース)上でその言葉の周辺に出現する単語の頻度に基づいて、統計とベクトル表現の手法を用いて分析する理論的な枠組み。
- ボノボ:アフリカ中央部のコンゴ盆地に生息する、ヒトに最も近縁な大型類人猿。