大麦中のグラミン濃度の制御 (Controlling gramine levels in barley)
大麦や他の草に含まれる防御アルカロイドであるグラミンは、昆虫に対する化学的防御に重要であるが、反芻動物にとっては草の味を悪くしてしまう。畜産家にとっての重要な目標の1つは、グラミンを標的とする遺伝子操作を通じて、牧草の防御的機能と嗜好的機能の両方が維持される均衡点に到達することである。Diasたちは、オオムギの汎ゲノム配列解析を用いて、グラミン生合成のための2つの遺伝子に対する遺伝子クラスターを特定し、トリプトファンの謎めいた酸化的再配列を実行する酵素の特性を明らかにした。著者たちは、酵母、モデル植物、およびオオムギ品種のグラミン濃度を調節することができ、これにより、標的とするグラミン関連特性の最適化を目的とした合成生物学と遺伝子工学の統合の可能性を実証した。(Sk,MY)
- 汎ゲノム解析:注目している機能に関係する遺伝子群を種内個体群や対象種群にわたって集め、それをもとに個体レベルや種レベルでの差異を解析するやり方。
- 遺伝子クラスター:ある二次代謝産物(生物の細胞成長、発生、生殖には直接的には関与していない有機化合物)のほぼ全てを生合成する複数の酵素が、染色体上の1か所に集合してコードされている領域。