大きくなる (Growing bigger)
白亜紀末における大型恐竜の絶滅後、多くの哺乳類は急速に大きさが増大した。この変化に対するいくつかの仮説が提案されてきており、その原動力についても多くの議論がなされている。Sanisidroたちは、桁違いの大きさの変化を経験した始新世の大型草食哺乳類である、ブロントテレスの体の大きさの記録を調べた。著者たちは、方向性選択の証拠は見出せなかったが、その代わりに、ブロントテレスの生態的地位においては大型種ほど、他の草食動物との競争が少なくなる結果、生き残り率が増加するという様式を見出した。このように、時間の経過とともに、種選別というマクロ進化の過程によって、これらの哺乳類の体の大きさの増加が引き起こされた。(Sk,kj,nk,kh)
- 方向性選択:ある対立遺伝子の適応度が他の対立遺伝子より大きい場合に、たとえ潜性であっても、その対立遺伝子の頻度が高くなる定方向に起こる選択。なお著者要約は内容の異なる「directional evolution(定向進化)」の語を使っている。
- 生態的地位:その生物が生産者か消費者かというような食物連鎖で占める位置、他の生物と競争関係にあるか否か、他の生物にすみかを提供しているかどうかなど、生物群集の中で占める役割。