生息環境の追加が魚の追加より優れる (Adding habitat beats adding fish)
保全と管理の取り組みは、個々の種の保護に焦点を当てることが多い。それとは異なり、管理が生態系プロセスまたはより広い生息環境の回復を目標とすることがある。そのような生態系に基づく管理(ecosystem-based management)の実践は、種に焦点を当てた取り組みと比較して、費用がかかり有効性が不明なため、あまり支援されていない。Radingerたちは、一般的な取り組みである魚種の放流に対して、浅水域を設置して枯れた樹木を追加するという、生息環境に基づく2つの介入措置の効果を試験した。著者たちは、それら実験した20の湖のどれも、魚の放流は効果が無い一方、浅水域の設置の方は対象とする魚の個体数、特に幼魚の個体数を増加させることを見出した。この研究は、生態系に基づく管理が保全目標にかなう可能性を実証するものである。(MY,nk,kh)
- 生態系に基づく管理:地域の社会経済活動と生態系の調和を図るために、生態系の動的な機能に注目し、モニタリングと順応的管理を通じて生態系の恩恵を持続的に利用する保全管理手法。