渇水が植物の構造を形作る (Drought shapes plant architecture)
植物は陸上に進出して以来、根から最上部の葉へと水を運ぶために、次第に複雑な道管(導管)構造を発達させてきた。今や維管束植物は、楕円形から線形、多裂に至る、断面での多様な木部道管束形状を示している。Boudaたちは、植物がより乾燥した気候で生息するにつれて、道管の空洞化とエンボリズム(閉塞化)を引き起こす渇水からの選択が木部の道管束形状の複雑化を促したかどうかを調べた。著者たちは、現存の小葉植物とシダ類、また絶滅した植物化石に見られるものを含み、形状と複雑性がさまざまな道管の間でのエンボリズムの拡大をシミュレーションすることで、木部道管形状の進化的変化が、エンボリズムの拡大を抑え、植物を渇水から強くしてきたことを見出した。(MY,kj,nk,kh)
- エンボリズム:導管組織に気泡が入って(キャビテーション)、水の流れが遮断される状態。
- 小葉植物:小葉(葉脈が1本で分岐しない)持ち、胞子による生殖を行う維管束植物の一群。ヒカゲノカズラ綱に含まれる小型から中程度の大きさの草本性植物で、古生代までには他の植物と分岐していた。