AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約

Science July 1 2022, Vol.377

樹状突起分岐のモデル (A model for dendrite branching)

大変複雑に枝分かれした樹状突起の分岐構造は、ニューロンによる多くの入力の統合を可能にするが、そのような可変構造がどのように形成されるのかを解析するのは困難であった。Shreeたちは、ショウジョウバエ幼生中の感覚ニューロンの樹状突起に対する生細胞イメージングと計算モデルを組み合わせて、それらの発達を駆動する法則を導出した。樹状突起の先端が、成長、収縮、一時停止の間を不規則に切り替わるモデルが、観察された成長様式を再現できる。このモデルはまた、樹状突起分岐構造の規模拡大に対する分岐の重要性を明らかにし、また、さまざまな型のニューロンにそれらの形態を与えるかもしれない特性を突き止めている。(MY,kh)

Sci. Adv. 10.1126/sciadv.abn0080 (2022).

一変異から多効果へ (From one mutation, many effects)

新たな変異は遺伝子多様性を集団に導入し、そして、この遺伝子変化が持続すれば、それらは進化的変化の素材を提供しうる。多面発現、すなわち、ある変異によって改変される形質の数は、ある変異が時間の試練を乗り越える確率に影響を与えるとしばしば仮定されている。Vande Zandeたちは今回、酵母のTDH3遺伝子の発現に影響を与えるシス調整性変異およびトランス調節性変異の多面発現効果を実験的に決定して比較することで、そのような仮定を試験する枠組みを提供している。彼らは、トランス調節性変異が実際、より大きな多面発現効果を持ち、より有害であることを見出した。(MY,kj,kh)

【訳注】
  • シス調節性:ある遺伝子と同じDNA鎖内にある別の領域が、その遺伝子の発現に影響を与えること。エンハンサー領域に外部から転写因子が結合して、該当遺伝子の転写を調節することなどが挙げられる。
  • トランス調節性:ある遺伝子の転写に対して、別の遺伝子によるRNAまたはタンパク質により転写が調節されること。
  • TDH3遺伝子:解糖の主要酵素の1つであるグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素をコードしている遺伝子。
Science, abj7185, this issue p. 105

肝臓ゾーンでのロイシン感知 (Leucine sensing in the zone)

ロイシンは必須アミノ酸の1つで、インスリン分泌のような生理過程およびメタボリック症候群に関与する病理学的過程の両方を含むさまざまな代謝過程で重要な役割を果たしている。mTORC1もまた代謝の多くの面に関わり、セストリンと呼ばれるタンパク質を介してロイシンを感知する重要なタンパク質である。このシグナル伝達経路の幾つかの点については、これまで培養細胞で観察されたが、Cangelosiたちは今回、哺乳類の生体中で何が起きるのかを突き止めた。著者たちは、マウスにおいてセストリンを介したmTORC1のロイシン感知に関わるシグナル伝達過程を明確にし、この経路の調節が肝臓内の異なるゾーンで血管への近接度に基づき変わることを確定した。(MY,kh)

【訳注】
  • ゾーン:肝臓の構造単位である肝小葉(直径1 - 2mmの六角柱)において、中心静脈に近い部分から周辺までを1から3までのゾーンに区分する。
  • mTORC1:mTORと呼ばれるリン酸化酵素が複数のタンパク質と形成する2つの複合体のうちの1つ。アミノ酸などの栄養源やエネルギーの感知で活性化し、細胞の成長やストレス応答などの重要な細胞内シグナル伝達を起こす。
Science, abi9547, this issue p. 47

有機物の捕捉と回収 (Trapping and recovering organics)

ヒドロゲルは、膨潤して90%までもの水を内蔵できる架橋有機高分子からなり、これがヒドロゲルを吸収材としてまた組織工学にとって有用なものにしている。Zhangたちは、ポリオキソ金属酸塩、カルシウム・イオン、およびオレイルアミンから無機ナノワイヤーを合成し、これらのナノワイヤーが容易に三次元網状組織を形成することを見出した。この網状組織は、わずか1%未満の割合で添加されたさまざまな揮発性有機化合物に曝露されると膨潤し、有機ゲルを形成する。このゲルは物理的圧搾に対して実質的に液体を失なわずに安定である。しかし蒸留や遠心分離を用いて内蔵液体を回収でき、ナノワイヤーは再使用できる。これにより有機溶媒の捕捉と回収が可能となる。(MY)

【訳注】
  • ポリオキソ金属酸塩:ナノサイズのアニオン性無機金属酸化物クラスター。
Science, abm7574, this issue p. 100

ミクロネシアへの人の移住 (Human migrations into Micronesia)

古代の人々の動きは、彼らの現在の子孫の遺伝子構造から確認するのが難しいことがある。Liuたちは、ミクロネシアの島々への定住を研究し、異なる先史時代の時間枠の、遠オセアニアの5つの異なる遺跡からの164体の古代人の遺体と、同じ地域の112人の現代人を調査した。彼らはこれらの新しいデータを以前の研究の結果と組み合わせ、さらにそれらの結果を言語学の研究と比較した。彼らの分析は、南西太平洋での移動とは異なる、東南アジアの島からの何度かの移動を明らかにした。さらに、ミクロネシアと南西太平洋の古代DNAの共分析は、太平洋諸島に移住した最初の人々が、男性が配偶者を見つけるために移動したが、女性はめったに男性と一緒になるためには移動しなかったという、人口構成を持っていたことを示している。(Sk,nk,kj,kh)

【訳注】
  • 遠オセアニア:ミクロネシア、メラネシアの離島域およびポリネシアを含む地域を遠オセアニアと呼び、これに対してメラネシアのソロモン諸島あたりまでの地域を近オセアニアと呼ぶ。
Science, abm6536, this issue p. 72

思ってた以上に暖かい (Warmer than realized)

過去の気候は、現在進行中の気候温暖化に地球がどのように応答するのかを示す重要な手がかりを有しているかもしれない。Mecklerたちは、底生有孔虫に対する凝集同位体温度測定法を用いて、過去6500万年にわたる深海の温度記録を再解釈している。その結果、深海の水温はこれまでの研究で示唆されていたよりも概して高く、変動が大きいことがわかった。これらの結果は、大気中の二酸化炭素濃度に対する深海水温の応答、気候感度、および大陸氷の少ない時代の海洋構造についての理解に影響を与えるものである。(Uc,MY,nk,kh)

【訳注】
  • 凝集同位体温度測定法:2個以上の重い同位体を含む分子では重い同位体同士が凝集しやすいために、凝集同位体の存在度(R)は確率論的に算出される存在度(R*)よりも大きくなり、また、温度が高くなるほどR*に近づく。これを利用して、凝集同位体が固定化された時期の温度を復元する方法。
  • 気候感度:ある外部的な要因に対して、気候がどれくらいの影響を受けるかという度合いを表す気候学の用語。
Science, abk0604, this issue p. 86

ミクログリアは慢性疼痛を引き起こすことがある (Microglia can cause chronic pain)

末梢神経損傷は、長期にわたる痛みの過敏症につながる。根底にある過程がいまだ十分に理解されていないため、慢性疼痛の治療は不十分なままである。Tansleyたちは、末梢神経損傷が痛みを引き起こす新しい機構を発見した。表在性脊髄後角における他の細胞型ではなく、脳への痛み信号の伝達に非常に重要な脊髄後角における投射ニューロンの亜集団は、神経周囲網と呼ばれる特殊な細胞外基質構造に選択的に囲まれている。神経損傷によって活性化されるミクログリアは、投射ニューロンの周りの神経周囲網を劣化させ、投射ニューロンの活性を増加させ、それに引き続いて痛みをもたらす。(KU,nk,kh)

【訳注】
  • ミクログリア(小膠細胞):中枢神経系における免疫担当細胞(常在性マクロファージとも呼ばれる)。神経組織が障害を受けるとミクログリアが活性化して修復に関与する。
  • 脊髄後角:1次ニューロンと2次ニューロンのシナプス伝達の場。
Science, abl6773, this issue p. 80

レドックス湿地の調整 (Regulating the redox swamp)

ヒト腸に生息する生物の多様性と豊富さは、よく知られている。我々はまた、細菌分類群と宿主の病気との間の関連についてもいくつかの考えを持っているが、この理解を治療選択肢に着実に移し替えることができなかった。レドックス反応(これは呼吸系での電子受容体の利用可能性によって支配されている)は、細菌群集構成の推進力である。Leeたちは、腸領域での細菌群集形成に関する文献を再調査し、群集形成は、細菌の活動ではなく、主に電子受容体の利用可能性を制御する宿主の生理機能によって調節されていると結論付けた。食事は細菌叢の組成を形作るが、その効果は主に食事の宿主恒常性への影響によって仲介される。したがって腸内毒素症に対して、宿主の腸の生理機能で介入することは、細菌叢を操作しようとするよりも、より扱いやすい基礎研究転移治療法への道を提供できるかもしれない。(KU,MY,nk,kj,kh)

【訳注】
  • レドックス:関与物質間で電子授受の起きる反応。つまり還元(reduction)と酸化(oxidization)が並行して起きる反応を総合的に言う。酸化還元反応とも言う。
  • 電子受容体:ここでは酸素分子のこと。
  • 宿主恒常性:ここでは、酸素が豊富な小腸ではエネルギー(ATP)産生効率に優れる好気性細菌が優勢で、酸素不足の大腸では嫌気性細菌が優勢となっている状態のこと。
Science, abp9960, this issue p. 44

マウスとヒトの皮質細胞の比較 (Mouse and human cortex cell comparisons)

大脳皮質における特異的細胞型とその分子表現型の研究は、ヒトでは特に困難であった。Fangたちは、MERFISHと呼ばれる画像技術を4000の遺伝子転写物に適用して、ヒトとマウスの皮質内細胞型の空間分布を明らかにした。この調査から、彼らはマウスとヒトの脳の間で異なる細胞型特異的な会合パターンを明らかにした。彼らは、ヒトがマウスよりもより特異的なニューロンを持っており、これらの細胞は類似したニューロン細胞型により近接して、相互作用していることを見いだした。著者たちは受容体とリガンドの対を研究して、ニューロンとミクログリアの間のありそうな接触をつきとめたが、このことはある特定の遺伝子が神経変性疾患に関連している理由を説明するかもしれない。(KU,kj,kh)

【訳注】
  • MERFISH:multiplexed error-robust fluorescence in situ hybridization
Science, abm1741, this issue p. 56

ストレスへの対応としての睡眠 (Sleep as a response to stress)

ストレス誘発性睡眠は、ストレス応答を弱め、ストレスの多い出来事の精神的処理を助けることが仮説になっている。しかしながら、これらの現象の根底にある機構は理解されていない。Yuたちは、ストレスを検出して回復性睡眠を誘発することに特化した、マウス中脳内の独特な回路を発見した(Joëlsとde Kloetによる展望記事参照)。特殊な神経細胞の部分集合は、ストレス入力を受け取り、視床下部外側野を介して急速眼球運動(レム)睡眠とノンレム睡眠を誘発する。一過性のストレスは、これらの神経細胞の活動を数時間増強した。この経路によって生成されるストレス誘発性の睡眠は、ストレスの高さを軽減し、ストレス誘発性の不安を軽減し、精神的および身体的機能を回復させる。このように、ストレス後の睡眠は、慢性的なストレス反応を大幅に減らすことができる。(Sk,nk,kh)

Science, abn0853, this issue p. 63; see also adc9782, p. 28

子羊(ラム波)に乗って (Going on the lamb)

フンガ・トンガの海底火山噴火は、これまで記録された中で最も強力なものの1つで、発生源から1万キロメートル以上離れた場所でも可聴音が検出された。Matozaたちは、この事象を説明するのに役立つ超低周波音と地震動記録、および、他の地球物理学的観測結果を与えている。エネルギーの大きな大気現象に特徴的な大気ラム波は地球を4周しており、1883年のクラカタウ噴火と類似していた。Kubotaたちは、このラム波が、地球規模の津波が予想よりはるかに速く到達したことにどのよう寄与したのかについて詳細に述べている。この噴火はまた、地球規模の津波とともに、長距離におよぶ超低周波音と電離層の相互作用を発生させた。この一連の観測は、この事象を解明し、大気や海洋を通過する波の伝播を理解するのに役立つだろう(BrodskyとLayによる展望記事参照)。(Wt,kj)

【訳注】
  • ラム波:均質・等方な弾性体の薄板中を伝搬する弾性波伝搬モードの一種で、周波数により位相速度が変化する速度分散性および無数の伝搬モードがある。
Science, abo4364, abo7063, this issue p. 91, p. 95; see also abq5392, p. 30

新常態? (A new normal?)

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の伝播を抑制するための非薬剤介入の実施は、人から人へと広がるさまざまな他の風土伝染病の伝播と疫学にも影響を及ぼしてきている。人間同士の接触は、COVID-19の世界流行以前と比べ異なっているため、これらの風土伝染病も社会的接触の変化に適応し得る可能性がある。これは、流行の季節性に変化を及ぼしていたり、感染しやすい世代が変化するにつれて感染症状が軽くなったり重篤になっているかもしれない。NelsonとLopmanは展望記事で、社会的接触の減少が風土伝染病の伝播に与える影響と、それらの伝染病を完全に根絶する機会があるのかについて論じている。(NK)

Science, abp9316, this issue p. 33

物事を動的に保つ (Keeping things dynamic)

多くのタンパク質は、安定な折り畳み構造をもたないがタンパク質機能に関与するドメインを含む。この関与はときに、細胞内で相分離構造の形成を引き起こしうる自己会合を通じて行われる。この領域は低複雑性(LC)ドメインとして知られており、それは数種の型のアミノ酸だけで構成されていることによる。Zhouたちは、RNA結合タンパク質であるTDP-43のLCドメインが不安定構造によって一時的に会合し、この動きが、mRNAの組織化というTDP-43の正常な役割にとっての鍵となる相分離に必要であることを示した(PetskoとSmallによる展望記事参照)。LCドメイン中のプロリンに変異があると、この不安定な構造を安定化することによって凝集を引き起こした。別の3つのタンパク質中では、神経疾患と関連するプロリンの変異がLCドメインの自己会合の安定性を同様に増すことが示された。(hE,kj,kh)

【訳注】
  • 相分離:細胞内の生体分子が均一に混ざりあった混合系(一相液体状態)から、温度や分子間相互作用などの変化によって、二相の区別できる液体に変化すること。これによって、細胞内小器官が細胞内膜なしで構成される。
Science, abn5582, this issue p. 46; see also adc9969, p. 31

HoxAの合成的調節再構成 (HoxA synthetic regulatory reconstitution)

多くの要素からの調節入力は、大きなゲノム領域にわたって統合され、哺乳類の遺伝子発現を制御している。遺伝子編集の進歩にもかかわらず、多様体を組み合わせた対立遺伝子群を作り出して各入力の寄与を正確に測定することは、依然として困難である。Pinglayたちは合成生物学と生化学的再構成というボトムアップ法に触発されて、遺伝子調節の研究のための「合成的調節再構成」の枠組みを確立した。彼らは、大きなDNA構築物の合成と細胞分化における進歩を利用して、哺乳類のHox遺伝子発現を制御する多くの機構の相対的な寄与を分析した。この研究は、あらゆるゲノムにおける他の遺伝子座の同様の解析への扉を開く。(KU,MY,kj,kh)

【訳注】
  • DNA構築物:目的に適した人工的なDNA配列を含有し、標的細胞や標的組織に移植されるDNA。
  • Hox遺伝子:動物の体の体軸に沿った体節構造を決定する一群の遺伝子。特定の染色体に複数のHox遺伝子が一列に並んだクラスターを形成している。
Science, abk2820, this issue p. 45

気候に対する地殻の影響 (Crustal effects on climate)

新生代の長期的な地球冷却傾向が、なぜ中新世中期の数百万年間の温暖化期間により中断されたのか? Herbertたちは、地球規模の海洋地殻生成の再構成を行い、地殻からの炭素の脱ガスによって過去2000万年の長期期間の氷床と地球温度の進化のほとんどを説明できることを示した(von der Heydt による展望記事参照)。これらの結果は、海洋底拡大速度が地球規模の気候変動を制御できるという考えをさらに支持するものである。(Wt,kh)

Science, abl4353, this issue p. 116; see also abq6542, p. 28

ケモカイン受容体でのコレステロールの場所 (Cholesterol’s spot in chemokine receptors)

多くのGタンパク質共役型受容体(GPCR)の活性化は、コレステロールを含む内在脂質分子によりアロステリックに調節されるが、対応する分子機構ははっきりしないままである。低温電子顕微鏡を用いてLuたちは、CX3Cサブファミリーの唯一の代表であるケモカイン受容体とその同系Giタンパク質とのシグナル伝達複合体の、リガンドが結合していない構造とリガンドが結合した構造を決定した。活性な受容体立体構造を安定させシグナル伝達を調節する3つのコレステロール分子を伴ったはっきりした受容体活性化モードが確認された。ほとんどのケモカイン受容体とケモカイン間のおおむね無秩序な相互作用とは対照的に、受容体とリガンドの両方の構造的特徴が選択性を規定することが見出された。(Sh,nk,kj)

【訳注】
  • アロステリック:タンパク質の活性が、タンパク質の活性部位以外に結合した分子によって変化すること。
  • ケモカイン:特定の白血球に作用し、その物質の濃度勾配の方向に白血球を遊走させる活性を持つサイトカイン(=細胞から分泌される低分子タンパク質)の総称。 構造の違いからCX3Cを含め4つのサブファミリーに分類される。
  • Gタンパク質共役受容体:Gタンパク質と共役して情報の伝達を行う受容体。Gタンパク質は、細胞膜に存在し細胞の外側からのさまざまな情報を細胞内に伝達する仲介役を果しているタンパク質の1種で、このうちGiタンパク質は抑制性のシグナル伝達を行う。
  • リガンド:受容体タンパク質などに特異的に結合する物質。ここではケモカインを指す。
Sci. Adv. 10.1126/sciadv.abn8048 (2022).

痛みを冷却除去する (Cooling away the pain)

事故による怪我や医療処置の後、さまざまな形での痛みの緩和が必要になる場合がある。これらは、痛みの受容体を鈍らせるための鎮痛薬や局所注射が含まれたりするが、痛みを引き起こしている場所に何か冷たいもの、例えば痛みのあるまたは打撲した関節や筋肉のための氷嚢など、を当てるような簡単な方法もある。Reederたちは、柔らかく、小型化された埋め込み型冷却器を開発し、冷却機構としての液相から気相への相転移を用いて、一時的に神経伝導を妨げた(JiangとHongによる展望記参照)。彼らは、電気的神経カフ(神経カフ電極)の設計を取り入れて、電線を、マイクロリットル体積の生体不活性冷却剤を運ぶ微小流体用流路で置き換えた。このカフ内に一体化された薄膜熱検出素子が実時間での温度監視を可能にすることで、閉ループ制御が可能になった。(Sk,nk)

【訳注】
  • 電気的神経カフ(神経カフ電極):神経を取り囲んでその信号を検出したり、神経に刺激を与えるために用いられる帯状の部材。
Science, abl8532, this issue p. 109; see also abm8159, p. 28