樹状突起棘の電気的機能? (Dendritic spines’ electrical function?)
樹状突起棘は、脳内のほとんどの神経細胞の樹状突起を覆う小さな突起である。その電気的特性は未だ議論を呼んでいる。Cornejoたちは一連の測定技法を用いて、マウス新皮質の錐体神経細胞内の樹状突起棘頸部による電位減衰の程度を調べた。棘は、逆伝搬活動電位に応答して同期的に脱分極したばかりでなく、局所的で一時的な脱分極も発生した。個々の棘の孤立した脱分極は局部的なシナプス活性化を反映していた。樹状突起棘と樹状突起の間の有意な電位勾配は、棘が電気的な区画要素を構成しているかもしれないことを示した。それゆえ、棘頸部抵抗は無視できず、中枢神経系におけるシナプス効力の調整に大いに寄与しているかもしれない。(MY,ok)
- 樹状突起:ある神経細胞が、シナプスを通して隣接する神経細胞の軸索から信号を受け取るところ。この部分の膜電位は信号がない場合はマイナス(分極状態)であるが、信号を受け取ると0方向(脱分極状態)にシフトする。
- 錐体細胞:大脳皮質と海馬に存在する主要な興奮性の神経細胞。
- 逆伝搬:樹状突起からの信号は神経細胞の軸索小丘での活動電位の生成となり、軸索を通して次の神経細胞群へと伝達されるが、これが樹状突起へと逆向きに伝搬すること。