AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約

Science January 7 2022, Vol.375

樹状突起棘の電気的機能? (Dendritic spines’ electrical function?)

樹状突起棘は、脳内のほとんどの神経細胞の樹状突起を覆う小さな突起である。その電気的特性は未だ議論を呼んでいる。Cornejoたちは一連の測定技法を用いて、マウス新皮質の錐体神経細胞内の樹状突起棘頸部による電位減衰の程度を調べた。棘は、逆伝搬活動電位に応答して同期的に脱分極したばかりでなく、局所的で一時的な脱分極も発生した。個々の棘の孤立した脱分極は局部的なシナプス活性化を反映していた。樹状突起棘と樹状突起の間の有意な電位勾配は、棘が電気的な区画要素を構成しているかもしれないことを示した。それゆえ、棘頸部抵抗は無視できず、中枢神経系におけるシナプス効力の調整に大いに寄与しているかもしれない。(MY,ok)

【訳注】
  • 樹状突起:ある神経細胞が、シナプスを通して隣接する神経細胞の軸索から信号を受け取るところ。この部分の膜電位は信号がない場合はマイナス(分極状態)であるが、信号を受け取ると0方向(脱分極状態)にシフトする。
  • 錐体細胞:大脳皮質と海馬に存在する主要な興奮性の神経細胞。
  • 逆伝搬:樹状突起からの信号は神経細胞の軸索小丘での活動電位の生成となり、軸索を通して次の神経細胞群へと伝達されるが、これが樹状突起へと逆向きに伝搬すること。
Science, abg0501, this issue p. 82

地球の急激な酸素化 (Abrupt oxygenation of Earth)

地球初期の大気中の酸素量は、23億年前の「大酸素化イベント」で急激に増加したが、それ以前にも、おそらく初期の光合成に関連した、一過性の酸素の「一吹き」があったのではないか、という疑問が残っている。Slotznickたちは新しい研究において、オーストラリア西部のある地域から採取した試料を調べた。この地域では、他の研究者が、25億年前という早い時期に酸素が一時的に出現した証拠であると解釈したものが見つかっている。Slotznickたちの新しい微量分析研究の結果では、初期の酸素化を示す証拠は見つからず、著者たちは、地球上の酸素濃度は「大酸素化イベント」が起こるまで無視できると結論付けている。(Wt,kh)

Sci. Adv. 10.1126/sciadv.abj7190 (2022).

穏やかな再構成 (A gentle reconstruction)

物質のフェルミ面の体積の変化は、通常、対称性の破れに関連している。Maksimovicたちは、 重フェルミオン化合物であるセリウム・コバルト・インジウム(CeCoIn5)において、対称性の破れを伴わない、珍しいタイプのフェルミ面再構成の証拠を見出した。この物質にスズをドープすると、ホール効果、量子振動、光電子放出信号が急激に変化した。Maksimovicたちは、この結果を、セリウム原子に付随する f 電子の非局在化という観点から解釈している。(Wt,kj,kh)

Science, aaz4566, this issue p. 76

充放電繰返し挙動の維持 (Preservation of cycling behavior)

固体電解質中間相(SEI)の形成を含む、二次電池の繰返し中の電極と電解質間の界面の変化を理解することは、より長持ちする二次電池の開発の鍵となる。Z. Zhang たちは、顕微鏡法および分光法を用いた分析に使う試料が、動作中の二次電池の状態をよりよく反映するように薄膜ガラス化法を適用して、液体電解質が保存されていることを確保した。重要な発見は、SEIは固体の無機化学種と重合体しか含んでいないという現在の考え方とは対照的に、SEIは膨潤した状態にあるということである。膨潤の程度は、SEIを介した(リチウム・イオンの)輸送に影響を与える可能性があり、SEIは時間とともに厚くなるため、二次電池の繰返しに利用できる遊離電解質の量を減らすかもしれない。(Sk,kj,kh)

【訳注】
  • ガラス化法:液体を結晶化させずにガラス状態で固化、凍結する方法。
Science, abi8703, this issue p. 66

脚光を浴びるイントロンの認識 (Intron recognition in the spotlight)

メッセンジャーRNA前駆体からの非コード・イントロンの切除は、エクソン-イントロン境界(スプライス部位)の特異的な配列を認識するRNA-タンパク質巨大複合体であるスプライソソームによって触媒される。ヒトにおいてはこれらの配列が極めて変性しており、それらがスプライソソームによってどう認識されるのかは謎であった。Tholenたちは、分岐部位を認識するスプライソソームの構成要素である、ヒトU2核内低分子リボ核タンパク質の一連の高解像度構造を報告している。これらの構造は、SF3B6がどのようにして、広範な配列相補性なしに分岐ヘリックスの安定化を助けるのかを説明している。新たに同定されたスプライソソーム組立中間体は、分岐部位認識を忠実に制御する機構を示唆するものである。(MY,nk,kj,kh)

【訳注】
  • 分岐部位:イントロンに存在する部位。ここにあるアデニル酸残基の2’-OH攻撃により、その上流側エクソンが切り離され、その後の反応を通してイントロンが切り離される。
  • 分岐ヘリックス:U2サブユニットがメッセンジャーRNA前駆体を認識した際に形成される15塩基からなるらせん構造で、進化的に保存されている。
Science, abm4245, this issue p. 50

ホットスポットの冷却 (Hotspot cooldown)

地中深くからのマントル・プルームは、ハワイのような火山列島のもととなっている。深部から上昇するには、プルームを途中で止まることなくマントル表面まで上昇させるよう、プルームが周囲のマントルよりも熱いことが必要である。しかしながら、Baoたちは、これらの「ホットスポット」のいくつかは驚くほど冷たいことを見出した。実際その温度は、いくつかのホットスポットでは、深部マントル起源に異議を唱えるのに十分なほど低い。これらの特定の事例では、深部のプルームが取り込まれて冷却されているか、そうではなくもしかすると上部マントルで生じているのかもしれない。(Sk,MY,ok,kj,kh)

【訳注】
  • マントル・プルーム:マントルの深部から上昇してくる高温の物質の流れで、比較的細い(直径数百 km程度)円柱状の流れと考えられている。
  • ホットスポット:マントル・プルームがプレートを突き抜けて地表に現れた火山活動地形と、それに起因する地面の高温現象。
Science, abj8944, this issue p. 57

典型的なGPCRではない (Not your typical GPCR)

大きなファミリーをなすGタンパク質共役受容体(GPCR)の中には、多くの孤児受容体があり、それは、シグナル伝達反応がほとんど分かっていないためにそう呼ばれる。GPR158はこれに属し、神経系で高度に発現されていて、認知から記憶にまた気分に至る過程に関与している。Patilたちは、単独およびGタンパク質シグナル伝達調整因子(RGS)複合体に結合したGPR158の高解像構造を決定した。GPR158は広い相互作用界面を備えたまれな二量体化様式をとっており、Gタンパク質の活性化を妨げそうな立体構造にGPR158を固定している。RGSは、Gタンパク質に結合する表面と十分重なる部位で、GPR158ホモ二量体に結合し、標準的Gタンパク質シグナル伝達を再び妨げる。GPR158の細胞外ドメインへのリガンド結合は、RGS複合体を通じてシグナル伝達を調整するのかもしれない。(MY,kj,kh)

【訳注】
  • タンパク質共役型受容体:2つの末端がそれぞれ細胞内と細胞外にある7回膜貫通型受容体タンパク質で、細胞内に三量体Gタンパク質が結合し、細胞外の神経伝達物質やホルモンを受容してそのシグナルをα,β,γのサブユニットからなるGタンパク質の変化として細胞内に伝える。
  • Gタンパク質シグナル伝達調整因子:Gタンパク質αサブユニットに直接結合して、αサブユニットを不活性化することによりGタンパク質シグナル伝達に対して負の調節因子として機能する。
Science, abl4732, this issue p. 86

ガンにおける三次リンパ様構造 (Tertiary lymphoid structures in cancer)

三次リンパ様構造(TLS)は、非リンパ組織に見い出だされるリンパ様形成物である。TLSは炎症組織で発生することがあり、慢性炎症性疾患、自己免疫、およびガンに関連している。腫瘍の状況において、TLSは腫瘍部位への免疫細胞の流入を促進し、それ故に患者の抗ガン免疫を改善し好ましい治療応答を得る手段として関心を集めている。SchumacherとThommenはTLSの生物学を振り返り、TLS研究における最近の進歩について概説している。彼らは、TLSがどのように検出および定義されるか、ガンにおけるその形成機構、および治療効果のためにTLSを標的とする可能性について検討している。(KU,nk)

Science, abf9419, this issue p. 39

空間的および時間的なオルガノイド制御 (Spatial and temporal organoid control)

幹細胞由来オルガノイドは、自己形成によって生じ、器官の発生・機能・病気に対するモデルとして働き、医薬品開発および個別化医療における応用可能性を持っている。しかし、外部からの指導がない場合には、オルガノイドの発育過程は確率論的で、本来の器官とは著しく異なる変動性の最終物となる。Gjorevskiたちは、決まった形、大きさ、細胞分布からなる腸オルガノイドを構築するために、初期オルガノイド配置を詳細指定する方法を開発した。これは、予測可能で正常器官とより類似し、再現可能な構造を作るものである(HuyckeとGartnerによる展望記事参照)。これらの方法は、腸の形態形成における対称性の崩れの機構を同定し、オルガノイドに基づく療法を標準化し、機構研究の洗練化を促進する可能性がある。(MY,nk,kj,kh)

Science, aaw9021, this issue p. 40; see also abn3054, p. 26

新皮質における細胞型の多様性 (Cell type diversity in the neocortex)

分子的に特定されたニューロンを、行動中のそれらの機能と結びつけることができるには、生体内でこれらの細胞型の活動を監視することが必要である。Condylisたちは、空間トランスクリプトミクスと組み合わせた集団機能イメージングのための技術基盤を開発した。著者たちは、アレン脳科学研究所(Allen Institute for Brain Science)から新たに取得したトランスクリプトーム細胞調査データを用いて、触覚を働かせる記憶課題を実行しているマウスの一次体性感覚野における細胞型の機能を研究した。興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの両方の記憶課題に関連する特性は、ニューロンが次第に離散的な分子型に分離されるにつれて、分化し続けた。新たな興奮性細胞型であるBaz1aは、新皮質の表層での局所的な感覚処理を調整する感覚駆動回路ハブを形成した。この方法は、脳内の情報処理を探索するための新たな場を提供する。(KU,MY,nk,ok,kj,kh)

【訳注】
  • Allen Institute for Brain Science:どこの大学に属する機関でもない非営利の独立型研究所。ソフトウェア企業マイクロソフトの共同設立者の一人であるポール・アレンが、2003年に1億ドルを寄付して設立した。
Science, abl5981, this issue p. 41

扁桃体と目標指向の行動 (The amygdala and goal-directed actions)

我々が日々に行っているほとんどすべてのことは、目標指向である。脳は、望ましい結果を達成するための行動を指示する意欲的状態を維持することができる。マウスにおける深部脳カルシウム・イメージング、電気生理学、および光遺伝学を用いて、Courtinたちは、目標指向行動の最中に、扁桃体基底外側部の投射ニューロンが、追求する結果の内容、追求する結果の価値、および行動-結果の不測的な情報を統合およびコード化することを観察した。報酬の好物をもらって食べる(報酬消費)時に、扁桃体基底外側部ニューロンの発火は、現在の結果の内容と価値を示している。 全体として、行動と報酬消費に関連するニューロンの活動パターンは、目標指向の行動-報酬消費の順序に沿った異なる時点での行動に関連する情報を統合する。(KU,nk,kj,kh)

Science, abg7277, this issue p. 42

抗体の濃度がワクチンの効力を予測する (Antibody levels predict vaccine efficacy)

症候性のCOVID-19への感染は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ワクチンによって予防できる。「correlate of protection」とは、感染と戦うためにどのくらい免疫が必要かを測定するための分子バイオマーカーであり、全世界的な予防接種計画を成功させるための鍵となる。Gilbertたちは、Moderna COVE第3相臨床試験に登録されてワクチン接種を受けた人たちにおいて、抗体が「correlate of protection」になることを突き止めた(Openshawによる展望記事参照)。ウイルスのスパイク・タンパク質に対する結合抗体および中和抗体を測定することにより、著者たちは、両方の抗体の濃度がワクチン効力の程度と相関していることを見出した。抗体の濃度が高いほど、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンによって提供される防御作用が大きくなる。したがって、mRNAワクチンの有効性を予測する抗体濃度は、ワクチン投与計画の修正に指針を与え、より広範囲の集団に対する規制当局の承認を支援することが可能である。(Sk,kj,kh)

【訳注】
  • バイオマーカー:病状の変化や治療の効果の指標となる、タンパク質や遺伝子などの生体内の物質。
Science, abm3425, this issue p. 43; see also abn0007, p. 22

ゼオライト・ナノチューブ (Zeolitic nanotubes)

ナノチューブは通常、隙間のない壁を有しているが、今回、低次元版のゼオライトがそのような構造に多孔性を導入している。Kordeたちは、親水性の嵩高い第四級アンモニウム先端基を持つ2つの長いアルキル鎖が結合した疎水性ビフェニル基中心を有する構造指向剤を使い、ケイ素に富んだ前駆体を用いて水熱合成させた(FanとDongによる展望記事参照)。得られたナノチューブは、約3nmのメソサイズ孔中心路と、それを囲む0.6nm未満の微小孔を有するゼオライト壁を有していた。電子顕微鏡とモデル化により、外側表面は大サイズ孔ゼオライトの投影、内側表面は中サイズ孔ゼオライトの投影となっていることが示された。(NK,MY,ok,nk,kh)

【訳注】
  • 構造指向剤:ゼオライトの合成に用いられる化合物。有機化合物であり、アミンやアンモニウムなどの含窒素化合物が用いられることが多い。
Science, abg8, this issue p. 62; see also abn2048, p. 29

効率的な正孔輸送をさせる (Directing efficient hole transport)

3次元ペロブスカイトの表面欠陥は性能を低下させることがあるが、Ruddlesden-Popper相のような2次元(2D)ペロブスカイトに基づく被膜で修復することができる。しかしながら、これらの嵩高い2D相の有機基は、電荷輸送を低効率かつ異方性にしてしまうことがある。F. Zhangたちは、非対称有機分子に基づく Dion-Jacobson 2D構造の準安定多形が、正孔輸送に対してとこの層を通る正孔輸送に対するエネルギー障壁を低減したことを示している。三重カチオン混合ハロゲン化物のペロブスカイトの最上層として使用した場合、太陽電池は、窒素中での約40°Cにおける1000時間の動作後、24.7%の初期電力変換効率の90%を維持した。(Sk,nk,kh)

Science, abj2637, this issue p. 71

ウイルスの細胞への侵入を阻止 (A block to viral cell entry)

クリミア・コンゴ出血熱ウイルスは、人間に重篤な病気や死さえも引き起こす可能性があるマダニ媒介性ウイルスである。発症は媒介生物マダニの地理的範囲に関連しており、気候変動により範囲が拡大する可能性がある。宿主細胞の感染には、中和抗体の主な標的である融合糖タンパク質Gcが必要である。Mishraたちは、動物モデルで曝露後保護を与えた2つのGc標的抗体の組み合わせを同定した以前の研究をさらに進めた。著者たちは、融合前形態のGcに結合した2つの抗体の抗原結合断片の構造と、そしてまた、融合後の三量体型への立体構造変化後のGc構造を決定した。これらの構造は、抗体がどのように連携して膜融合を妨げるかを示している。(Sh,MY,nk,kh)

【訳注】
  • クリミア・コンゴ出血熱:ウイルス性出血熱の一種である急性熱性疾患。クリミアとコンゴの患者から分離されたウイルスが同一であったことから名付けられた。発生地域は、中国西部・東南アジア・中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけ広く分布している。
Science, abl6502, this issue p. 104

酸素を消費するが、作ることもする (Consuming oxygen, but making it too)

海洋微生物向きの、栄養素の循環とエネルギーの生成に関わる無数の生物学的反応がある。酸素利用の可能性は、多くの種の代謝にとって非常に重要である。Kraftたちは、アンモニア酸化古細菌(AOA)ニトロソプミルス・マリティムスの純粋培養体が、無酸素条件下に置かれたときに少量の酸素を再生できることを見出して驚いた(Martens-HabbenaとQinによる展望記事参照)。窒素化学種の同位体標識により、予想される代謝最終産物である亜硝酸イオン(NO2-)が、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、そして最終的には窒素分子(N2)へと変換する一連の反応が明らかになった。酸素も作られたが、これはおそらく一酸化窒素の不均化によるもので、そのほとんどは消費された。これはAOAの全体としての好気性代謝と一致している。これらの微生物は低酸素水域で見つけることができ、これらの条件下で亜硝酸イオンからの酸素の生成から利益を得ているかもしれない。(Sh,ok,kj,kh)

【訳注】
  • 不均化:1種類の物質の2分子以上が反応して、別な物質に変化する反応。
Science, abe6733, this issue p. 97; see also abn0373, p. 27

生体内でのCAR T細胞作製 (Making CAR T cells in vivo)

心筋線維症(心臓組織の硬化と傷跡が残る症状)は、致命的となる場合がある。Rurikたちは、心臓中の線維細胞を認識できる一過性のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を生成するための免疫療法的戦略を考案した(GaoとChenによる展望記事参照)。Tリンパ球を再プログラムするために必要なメッセンジャーRNA(mRNA)指示体を含むCD5標的脂質ナノ粒子を注入することにより、研究者たちは完全に体内に治療用CAR T細胞を生成することができた。心臓病のマウス・モデルの解析は、この方法が線維症を減らし、心機能を回復することに成功したことを明らかにした。修飾されたmRNAを使用して生体内でCAR T細胞を生成できることは、多くの治療用途を有する可能性がある。(KU,ok,kj,kh)

【訳注】
  • CD5:大部分の胸腺細胞、成熟T細胞、B-1細胞と呼ばれるB細胞のサブセットで発現する細胞表面糖タンパク質。
Science, abm0594, this issue p. 91; see also abn0851, p. 23

種の変遷 (Species shifts)

我々人間由来の温暖気候は一連の生命体の変化につながるであろう。これらのいくつかがどのように発生するのかを予測するために、我々は現在より温度の高かった過去の温暖期間(間氷期)を注視することができる。Salvatteciたちはこの手法を用いて、ペルー沿岸沖合のフンボルト海流系の海洋堆積物記録を調査した(YasuharaとDeutschによる展望記事参照)。彼らは、以前の温暖期が小型のハゼ様の魚によって占められていたが、その一方、現在ではこの生態系がイワシ様の魚によって占められていることを見出した。イワシは食料源として大量に捕獲されており、ハゼはイワシと比べて食用に適さないため、このような変遷は生態系変遷だけではなく漁業にも関連してくる。(Uc,kj,kh)

Science, abj0270, this issue p. 101; see also abn2384, p. 25