ラブラドル海が海洋変化を操縦する (Labrador Sea drives ocean variability)
大西洋子午面循環(AMOC)は、表層の暖水を北大西洋亜寒帯に輸送している。そこでは、冷却された高密度水が1000m下に沈み、南方にそして赤道を越えて流れる。近年の観察結果は、沈み込みの支流をラブラドル海に置く気候モデルの信頼性について疑問を呈している。Yeagerたちは高分解能の気候モデルを点検し、海洋の渦流を解明することにより、このモデルが平均的な循環を現実に即して再現していることを見いだした。この展開は、ラブラドル海が北大西洋における主要な沈み込み領域ではないとしても、AMOCにおいて重要な数十年規模の変化を駆動しており、そこでの変化は AMOC 全体の変化に数年先立って生じているということである。この知見はラブラドル海の状況に基づいて海洋変化を予測できる可能性を示している。(Uc,nk,kj,kh)