北方林の火災後の炭素循環 (Carbon cycling after boreal forest fire)
北半球の北方林において山火事が増加してきており、バイオマスと土壌から大気へと炭素が放出され、気候温暖化へのフィードバックの可能性がある。Mackたちは長期間の調査研究から、森林再生のパターンに特に重点をおいて、アラスカにおける北方林の炭素バランスへの野火の影響を分析した。火災の後、殆どの調査地点における樹木種の構成は、クロトウヒ(black spruce)から針葉樹と落葉性広葉樹の種が混ざり合った状態に変化した。落葉樹が支配的な状態に移行した森林は、クロトウヒの優勢状態に戻った森林に比べて5倍の土壌炭素を蓄積していた。すなわち、落葉樹の機能的特質が土壌炭素の燃焼損失を相殺し、気候温暖化への北方林火災のフィードバック影響の潜在的な緩和への方向を示している。(Uc,nk,kj,kh)
- 北方林: カナダ・アラスカ・シベリア・スカンジナビアなど、北緯45~70度に分布する亜寒帯林。総面積約は1300万平方キロメートルで、世界の森林面積の3分の1を占める。