磁気無しのスピン注入 (Spin injection sans magnetism)
円偏光を放出する発光ダイオード(spin-LED)は、三次元ディスプレイ、生体符号、断層映像法への応用が期待できる。必要とされる電荷担体のスピン偏極は強磁性接合体に外部磁場をかけることで通常行われているが、Kimたちは代わりに、キラル誘起スピン選択性を有する有機層に依拠する室温駆動のspin-LEDを報告している。この有機層は、スピン偏極した正孔をハロゲン化金属ペロブスカイトのナノ結晶に選択的に注入し、そこでそれらの正孔が非偏極電子と再結合し、2.6%の円偏光率を持つ光を放出した。(NK,nk,kh)
- キラル誘起スピン選択性:キラルな分子を透過して出てきた電子のスピンが偏極するという現象、いわゆるCISS(Chirality-Induced-Spin-Selectivity) 効果。