エンハンサーと遺伝子の相互作用が分離を駆り立てる (Enhancer-gene interactions drive split)
動物界の多くの種では、オスとメスの表現型が異なる。その1つの例はオスのショウジョウバエに見られる翅の斑点で、メスのハエには見られない。GalouzisとPrud'hommeは、X連鎖黄色遺伝子とそのエンハンサーを研究している。彼らは、形質の遺伝学的研究を行った結果、オスに特異的な表現型は、エンハンサーと遺伝子の間のトランス相互作用によって引き起こされるという証拠を見出した。このトランス相互作用は、メスにおいて見つかる2つのコピーにおいては遺伝子を沈黙させるのに対し、オスではX染色体が1本のみであるため相互作用は生じず、遺伝子が発現する。このようにこの遺伝子は、オスとメスのハエで異なっているゲノム相互作用によって制御されているようであり、トランスベクションとして知られる現象の一例である。(ST,MY,kj,kh)
- X連鎖:性染色体のX鎖にある遺伝子が、メンデル遺伝様式で子孫に伝えられること。
- エンハンサー:遺伝子活性化因子と結合して遺伝子の転写量を大幅に増大させる、真核生物DNA上の塩基配列領域のこと。
- トランスベクション:相同染色体間のアリル同士の相互作用によって後生的に表現形質が変化すること。