ジテルペノイドは脂質の生合成を阻害する (Diterpenoids inhibit lipid biosynthesis)
植物は、腹を空かせた昆虫から自身を守るのに役立つさまざまな分子を作る。Liたちは、植物が自身を防御することと自身を害することの間の均衡について解析した。野生種のタバコ(Nicotiana attenuata)では、2つのシトクロムP450酵素が、17-ヒドロキシゲラニルリナロール・ジテルペン・グリコシドを生合成する経路内で働いて、有害ジテルペン誘導体を蓄積しないようにするのを助けている。それらと同じ有害ジテルペン誘導体が、摂食したグリコシドから植食昆虫の体内で形成され、植物のみならず昆虫でもスフィンゴ脂質の生合成を阻害することにより毒性を生じる。(MY,kh)
- テルペノイド:五炭素化合物であるイソプレンを構成単位とする一群の天然物化合物の総称。
- シトクロムP450:活性部位に鉄錯体のヘムを持つ酸化還元酵素ファミリーの総称。P450は、活性部位である鉄原子に一酸化炭素が結合すると、450ナノメートルの波長に極大吸収が現れることから命名された。
- スフィンゴ脂質:長鎖アミノアルコールを骨格として持つ脂質。植物では細胞膜脂質の40%以上がスフィンゴ脂質で、また、植食昆虫の細胞膜の必須成分でもある。