初期東アジア人のDNA解析 (DNA analyses of an early East Asian)
解剖学的には現生と同じ古代のヒトは、旧人類のネアンデルタール人とデニソワ人と異種交配した。しかしながら、この異種交配の程度とそれが現生の集団にどのように影響を与えたかはよく理解されていない。Massilaniたちは、モンゴル東部サルキット渓谷の34,000年前の女性から全ゲノムのデータを作成し、他の更新世のヒト・ゲノムに関して彼女の祖先の詳細なモデル化を行った。彼らは、サルキット人が生きていたのに先立つ少なくとも6000年前の古代のヒトゲノムにおいてデニソワ人の祖先に関する証拠を見つけ、そのサルキット人女性へのデニソワ人の寄与が他の古代アジア人個体へのデニソワ人の寄与とは異なり、また現存するオーストララーシア人への古代デニソワ人からの寄与とも異なることを見出した。この基準点は、ユーラシア、特にゲノムの証拠が不足している東ユーラシアにおける私たちの種の初期の歴史を理解するのに役立つ。(Sh,KU,ok,kj,kh,nk)
【訳注】
- 更新世:約258万年前から12,000年前までの新生代第四紀の第1期にあたる。かつては洪積世とも呼ばれ、そのほとんどは氷河時代だった。
- オーストララーシア:オーストラリア・ニュージーランド・ニューギニアと、その近海の諸島を指す地域区分。
Science, this issue p. 579