AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約

Science September 11 2020, Vol.369

銀河団の重力レンズ (Gravitational lenses in galaxy clusters)

銀河団の大きな質量は、背景にある天体からの光を偏向させる。これは、重力レンズ効果として知られている現象である。銀河団全体によって引き起こされる大規模な重力レンズは、個々の銀河のような、銀河団内部の小規模な質量集中によって小さなずれを生じることがある。Meneghetti たちは、11個の銀河団の観測結果にみられるこれらの小規模な重力レンズを調べた。彼らは、宇宙論によるシミュレーションから予想されるであろうよりも一桁小さいサイズの強いレンズを複数個見出した。著者たちは、現在流布しているシミュレーション方法か、あるいは、標準的な宇宙論のいずれかに、まだ同定できていない問題があると結論付けている。(Wt,MY,nk,kh)

Science, this issue p. 1347

転写と翻訳を連結する (Coupling transcription and translation)

細菌において、RNAポリメラーゼ(RNAP)によるメッセンジャーRNA(mRNA)の転写速度は、mRNA上のRNAPの背後に存在する最初のリボソームによる翻訳速度と協調している。2つの研究グループが今回、2つの転写伸長因子であるNusGとNusAが、この連結にどのように関与しているかを示す低温電子顕微鏡構造を提示している。Webster たちは、RNAPとリボソームが mRNAによって分離されている場合、NusGが両者の間に橋を形成することを見出した。mRNAが短くなると、NusGは RNAPとリボソームを連結することはないが、この2つは、新しく転写されたmRNAがリボソームに入ることができるように配置する。Wang たちは、複合体構造上の mRNA長の影響に関してさらなる洞察を提供している。それらの複合体構造は、NusGに加えNusAも含んでいて、NusGが架橋した構造が NusAによって安定化されることを示している。(KU,MY,kj)

Science, this issue p. 1355, p. 1359

過去の気候の状態 (The states of past climate)

深海の底生有孔虫は、非常に重要な地球の過去の気候の記録を酸素・炭素同位体組成に保存している。しかしながらこの記録は、気候の強制とフィードバックのどの機構が最も重要であるかを決定するための、十分な時間的分解能もしくは/かつ年代の統御を、いくつかの地域において欠いている。Westerhold たちは、過去6600万年間の底生性の炭素および酸素の同位体の高分解で十分年代特定された記録について報告している。彼らによる再構成や分析は、地球の気候が、変化する温室ガス濃度と極地方の氷床成長に関連する、変遷で分けられた不連続状態にグループ化できることを示している。各気候状態は軌道周期により進度が調整されるが、状態依存の挙動で放射強制力の変動に応答する。(Uc,MY,nk,kh)

Science, this issue p. 1383

律動を維持するには情報交換が必要である (Keeping rhythm requires communication)

哺乳動物では、生理機能の一日単位の周期は、代謝の中枢である肝臓のような周辺器官での概日時計の同期活動を必要とする。Guan たちは、時計機能に不可欠であることが知られている2つの転写抑制因子を欠く肝実質細胞を持つマウスを作り出した。この実験的操作は予想外に、肝実質細胞だけでなく他の種類の肝臓細胞においても、律動的な遺伝子発現と代謝を中断させた。摂食行動もまた、複数の肝臓細胞種の概日律動を同時制御した。このように、細胞間の情報交換は、周辺の概日時計の堅牢性を維持する上で重要であると思われる。(Sk,kh)

Science, this issue p. 1388

致命的組み合わせ (A lethal combination)

捕食者が生物群の構成と維持に不可欠であることは、十分に立証されている。この重要性の最初の実証の1つは、ケルプの森の維持に対するラッコの重要性の研究からもたらされた。Rasher たちは今回、この捕食者の不在によって引き起こされる影響が、気候温暖化によってさらに悪化するかもしれないことを示している。北太平洋のケルプの森では、ラッコの不在がウニの食害を通して成長の遅い石灰藻の衰退を引き起こし、この様式は気温の上昇によって増幅された。このように、要(かなめ)となる捕食者は、栄養構造だけでなく、気候変動の影響を緩和するためにも不可欠である。(Sk,ok)

Science, this issue p. 1351

森林劣化が森林破壊を超過する (Degradation exceeds deforestation)

森林劣化は、至る所でみられる森林景観の人的外乱の形である。選択的な伐採や抜根などの作業は、完全な森林破壊には至らないが、生物資源量の低下およびまたは森林の断片化をもたらしている。30メートルの空間分解能での遠隔探査データに基づいて、Matricardi たちは、2014年までの約22年にわたってブラジルのアマゾン全体にわたる森林劣化の程度を分析した。彼らは、森林劣化の程度と速度が森林破壊と同等かそれ以上であることを見出した。これは、炭素、生物多様性、エネルギーの均衡に重要な意味合いを有している。(Sk,kh)

【訳注】
  • 森林劣化:森林内の一部の樹木が無秩序に伐採されるなどして、森林としての姿は残しつつも森林炭素蓄積量が低下すること。
  • 森林破壊:自然の回復力を超える樹木の伐採により森林が減少もしくは存在しなくなる状況。
Science, this issue p. 1378

さまざまな組織にわたる転写の調査 (A survey of transcription across tissues)

ヒトの遺伝的多様体の幾つかは、発育と健康な個体の維持の重要な段階である産生RNAの量と遺伝子転写物のスプライシングに影響を及ぼす。しかし、これらの変化の幾つかは体内の少数の組織だけで生じる。Genotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクトは年々拡張されてきており、バージョン8の最終データを眺めると、Aguet たちが、838人の49の組織に対する 遺伝子連関(genetic association)の掘り下げた特性解析、遺伝子発現、スプライシングについて述べている(Wilson による展望記事参照)。この大規模な研究は、遺伝子発現の多くの面の根底にある詳細についての特性を明らかにすることができた。さらに進んで、遺伝子多様体がどのようにヒトの遺伝子調節と複合形質に影響を及ぼすかの基礎的分子機構をより理解するための資産を提供している。(MY,kh,kj)

【訳注】
  • スプライシング:遺伝子からの転写で合成されたmRNA前駆体に含まれているタンパク質のコードに関係しない部分が取り除かれること。
  • GTEx (Genotype-Tissue Expression) プロジェクト:2010年に米国立衛生研究所により立ち上げられたプロジェクト。北米および欧州の複数の研究機関からなる国際コンソーシアムによる、ヒトの体組織ごと、遺伝子型ごとの遺伝子発現を網羅的に調べるプロジェクト。
  • 遺伝子連関:ある表現形質に対してある遺伝子型が連関していること。例えばある病気の起こる確率が高い遺伝子型があること。
Science, this issue p. 1318; see also p. 1298

ヒトのトランスクリプトームにおける性の役割 (The role of sex in the human transcriptome)

ヒトにおいては、性染色体のXX組あるいはXY組の遺伝が、ほとんどの人が男か女の性固有の形質を発現する成人になるのを担っている。しかし性差のある遺伝子発現が、組織、特に性差特有の形質の違いに寄与しない組織でどの程度生じるかは不明である。Oliva たちは、Genotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクトのデータを調べ、研究された44の組織の少なくとも1つで遺伝子の37%が、組織特異的で性差のある遺伝子発現を示すことを見出した。彼らはまた、組織にわたり性特異的な細胞組成の変動を特定した。全体として、遺伝子発現に対する性の影響は小さいが、影響はゲノム全体にわたっており、主に転写因子の結合を通して媒介された。性差のある遺伝子発現が全ゲノム関連研究で特定された遺伝子座群と関連しているので、この研究は、男女の性に基づく病気の分子的基盤を特定する基礎を作る。(MY)

【訳注】
  • トランスクリプトーム:特定の状況で細胞中に存在する全ての転写産物(全RNA)のこと。
  • 全ゲノム関連研究:ある集団を設定し、集団に存在する個体間の形質の違いと遺伝子多型との関連をゲノム全体にわたって調べることにより、対象とする形質と関連する遺伝要因を仮説を設定することなく検出しようとする手法。
  • 転写因子:DNA上の転写制御する領域に特異的に結合し、DNAの遺伝情報をRNAに転写する過程を促進、あるいは抑制するタンパク質。
Science, this issue p. eaba3066

細胞型に特異的な量的形質遺伝子座 (Cell type–specific quantitative trait loci)

ヒトの遺伝子変異が表現型にどのように影響するのかの理解には、組織あるいは細胞型に特異的な測定さえ必要とする。Kim-Hellmuth たちは計算手法を用いて、Genotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクトのデータ群において、バルク組織内の細胞型の比率を特定した。そしてそれを用いて、細胞型特異的量的形質遺伝子座 (cell-type interaction quantitative trait loci)を特定し、それらの遺伝子座を、遺伝子発現あるいはスプライシングの個人差と相関する遺伝子多様体のゲノムに対してマッピングした。細胞状況を特徴付けることにより、この研究は、細胞型特異的な様式で機能する遺伝子多様体が、どのようにして遺伝子調節に影響を与え、複合形質とつながり得るのかを説明している。バルク組織からの細胞型の精密分析は、表現型が遺伝子変異とどのように結び付いているのかを理解する上での精度の向上を可能とする。(MY,kh,kj)

【訳注】
  • 量的形質遺伝子座:質的形質と異なり、数値で表現できる量的性質は複数の遺伝子が様々な割合で寄与して発現する。これらの遺伝子だけでなく、これらの遺伝子の発現に必要な転写因子、オペレーター、エンハンサーやプロモーターなどのタンパク質をコードしている遺伝子座も含めて量的形質遺伝子座と呼ばれる。
  • 遺伝子多様体:ここでは1塩基変異、塩基欠失、塩基挿入が含まれる。
Science, this issue p. eaaz8528

個人内のテロメア長 (Telomere length within individuals)

テロメアは染色体末端を保護するDNA-タンパク質複合体である。短テロメアが特定の疾患と加齢に関連しているため、その長さには大きな関心が持たれている。Demanelis たちは、Genotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクトの952人の提供者からのさまざまな組織にわたるテロメア長を測定した。そのうちの24の組織の種類については、25以上の検体に対する測定がなされた。ほとんどの組織のテロメアは年齢とともに短くなるが、精巣と小脳中のテロメアのようないくつかはそうではない。アフリカ系アメリカ人では、テロメアは多くの種類の組織にわたって、ヨーロッパ系アメリカ人からのものよりも長い。この観察は、生殖細胞から接合子、分化細胞へと発生期間に伝えられる変動性と一貫性がある。(MY,kh,kj)

Science, this issue p. eaaz6876

トランスクリプトームの機能の稀な変異 (Functional rare variation in transcriptomes)

ヒトのゲノムは皆、何十万もの稀な遺伝子多様体(これには、単一ヌクレオチドの変化、挿入や欠失、より大きな構造多様体が含まれる)を含んでいて、その中には機能効果を持つものもあるかもしれない。Ferraro たちは、遺伝子発現、スプライシング、アレル特異的発現により引き起こされる組織にわたる異常値について、Genotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクトにおける個人からのデータを調べた。複数遺伝子に対する発現とアレル特異的発現に影響し、また、遺伝子融合事象の場合にスプライシングに影響する単一ヌクレオチド変異の稀な多様体が認められた。実験と計算による検証は、多くの個人が転写に何らかの影響を及ぼす50以上の稀な多様体を保有していることを示唆している。ほとんどの多様体は、1個人の表現型に影響を及ぼさないと予測されたが、僅かな比率が病気関連のつながりを示していそうだった。これは、稀な遺伝子変異のトランスクリプトームへの影響を研究する重要性を強調している。(MY,kh,kj)

【訳注】
  • アレル特異的発現:ある遺伝子の発現において、父方由来の遺伝子か母方由来の遺伝子のみが発現すること。
  • 遺伝子融合:転座、挿入、逆位などの塩基組換えを介して複数の遺伝子が連結されること。ガン化の原因になりうる。
Science, this issue p. eaaz5900

地震の大静穏期間 (The great seismic quiet period)

列車や飛行機、産業プロセス、および、その他の発生源からのノイズは、世界中の地震計に記録されている。このノイズを解きほどくことは、自然からの信号を抽出するために重要である。しかし、そのノイズによって人々の動きを大まかに追跡することもできる。Lecocq たちは、世界中の地震観測を集めた。そして、コロナウイルス 2019パンデミックに対応して課されたロックダウン対策によってノイズが大幅に減少していることを見出した(Denolle と Nissen-Meyer による展望記事参照)。これらの観察結果は、対策が実施された時期に密接に対応しており、集団の挙動を追跡する方法を与えている。また、この静かな期間は、自然過程のノイズから人為的ノイズ源を抽出する可能性も提供する。(Wt,ok,nk,kh)

Science, this issue p. 1338; see also p. 1299

微生物療法 (Microbial therapies)

我々の腸に生息する多様な微生物、腸内細菌叢は人間の健康を維持する点で更に多くの役割が認識されている。これらの役割には、消化器系の健康維持と脳の健康などのより全身的な役割をも含んでいる。展望記事において Wargo は、腸内微生物叢を調整して、過敏性腸疾患、メタボリック症候群、自閉症、およびガンを含むさまざまな疾患を持つ患者を治療する方法の進展について論じている。治療は、健康な提供者からの糞便微生物叢の移植によって、または全体的な健康に関連する特徴的な細菌群集を使用することによって行うことができる。健康へのこの興味をそそる方法の進歩と課題が論じられている。(KU,kj)

Science, this issue p. 1302

原子規模に切り替える (Switching to the atomic scale)

強誘電体材料は、電界を用いて電気抵抗を変化させる方法を提供するため魅力的である。Lee たちは、シミュレーションを用いて、酸化ハフニウムの非常に薄い膜における強誘電性挙動の耐久力を説明した(Noheda と Íñiguez による展望記事参照)。著者らの計算は、1ナノメートル未満の厚さの膜でも強誘電特性が見られるであろうことを示している。このことは、この素材を次世代のランダム・アクセス・メモリとして非常に魅力的にする。(Sk,kh)

Science, this issue p. 1343; see also p. 1300

対称コマ分子のレーザー冷却 (Laser cooling of symmetric top molecule)

過去数十年にわたる実験技術の進歩により、極低温原子気体は自由に使いこなせるようになった。近年の研究の主な目的は、この成功を極低温分子に拡張することであり、量子情報科学、精密計測、量子化学、その他の分野に質的に新たな展望を開くであろう。分子の内部自由度のため、従来手法をすぐに実行することができない。Mitra たちは、特定の組み合わせの回転振動光学遷移を用いて、対称コマ分子であるCaOCH3 の、1ミリケルビン以下の温度への直接シジフォス・レーザー冷却を報告している(Hudson による展望記事参照)。提案された冷却の方式は、多岐にわたる非線形多原子分子に適応できる可能性がある。(NK,nk,kh)

【訳注】
  • シジフォス・レーザー冷却:分子がポテンシャルエネルギーの丘を絶えず「登る」ようにする「シジフォス効果」を用いて、運動エネルギーを除去する冷却機構。
Science, this issue p. 1366; see also p. 1304

自己制限性結合 (Self-limiting bonding)

コロイド粒子を相互連結して2量体から3次元格子に至るまでの制御された超構造にするために、多くの方法が開発されてきているが、それらは通常、特殊な方法でナノ粒子表面への塗布に依存してコロイド粒子がつながる方法を制御する。対照的に、Yi たちは、2つの粒子が連結すると、静電的性質が変化してその後に続く結合を制限するような配位子化学を開発した(Gang による展望記事参照)。粒子は、酸塩基中和反応を受ける相補的な重合鎖で塗布される。この結合は柔軟性のある配位子の長さによって制御されるが、一方、結合した粒子の配列は静電反発によって制御され、したがって2つのパラメーターを与えることで形成される集合体の形状を調節できる。(KU,kh)

Science, this issue p. 1369; see also p. 1305

多相的影響 (A multiphasic effect)

エアロゾルは、大気化学に主要な影響を及ぼしている。その内部の化学現象に対する主要な制御の1つは酸性度であり、それゆえ、エアロゾルの pHを何が決定しているかを理解することは、環境への影響を究明するための基本である。Zheng たちは、多相的エアロゾル系における緩衝能力が、バルク溶液とどのように異なるかを考察し、アンモニア-緩衝領域におけるpHを決定する上で、含水量が果たす重要な役割を見出した。彼らの結論は、人新世におけるアンモニア放出の重要な影響を強調している。(KU,kh)

【訳注】
  • 人新世:人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった近年の地質学的な時代(ノーベル化学賞受賞のドイツ人大気化学者、パウル・クルッツェンによって提案された造語)。
Science, this issue p. 1374

細胞質ゾルへの出入口 (A gateway to the cytosol)

コロナウイルスは、宿主の細胞膜を、ウイルスのゲノム複製の場所を提供すると長い間考えられてきた、特有な二重膜小胞へと転換する。しかしながら、これらの区画は完全に密封されているように見えるので、新たに作られたウイルスRNAが、タンパク質合成と新しいウイルス粒子の梱包のために、一体どのように細胞質ゾルに輸送されうるのかは不明のままであった。Wolff たちは低温電子顕微鏡を用いて、二重膜にまたがる分子細孔の画像を明らかにした(Unchwaniwala と Ahlquist による展望記事参照)。6個の大きなコロナウイルス膜貫通タンパク質がこの構造の中核を形成した。この構造はウイルスRNAが膜外に出るチャネルを構成することができるので、将来の抗ウイルス介入の標的を提供する。(Sh,nk,kh,kj)

Science, this issue p. 1395; see also p. 1306

軟骨修復のための3次元印刷法による複合材料 (3D printed composites for cartilage repair)

関節の軟骨の損傷は、一般的な衰弱性損傷である。しかしながら、その限られた自己修復能力のため、損傷した軟骨の再生はとても手に負えないままになっていた。Sun たちは、構造要素と細胞を一緒に傾斜的に3次元印刷することにより、本来の関節軟骨構造の重要構成要素を再現する複合材料を作製した。ウサギでの試験でこの複合材料は、高水準の軟骨の成熟はもちろんだが、関節表面での潤滑の証拠も示した。この潤滑は関節の機能を維持するために不可欠なものである。より大きな動物モデルでのこれらの材料のさらなる評価が必要であるが、そのような傾斜複合材料は、将来の再生医療での軟骨置換の基礎を提供するかもしれない。(Sk,ok,kh)

Sci. Adv. 10.1126/sciadv.aay1422 (2020).