水の液-液臨界点 (Liquid-liquid critical point of water)
強く過冷却された水においては、間接的ではあるが、液-液相転移の存在の可能性を指摘する実験的な観測結果が広範に存在する。それにもかかわらず、曖昧さのない実験でこれが示された例はない。このような条件下での実験の実施が困難なのは、準安定な液体状態で避けがたい急速な結晶化が伴うからであり、計算機シミュレーションは極めて重要な代替手段となる。Debenedetti たちは、水の2つの周到な古典的モデルと、長時間(40マイクロ秒以上)の等温等圧分子動力学シミュレーションを用いて、強い過冷却状態の領域に第2の準安定の液-液臨界点が存在するという計算に基づく強力な証拠を与えている。これは、三次元イジング模型の普遍性クラスと整合する臨界的挙動を有している。(Wt,ok,nk,kh)
- 普遍性クラス:相図上で同じ臨界指数をもつ物理系の集合。