どのようにしてマウスの顔色を読むか (How to read the face of a mouse)
情動の神経科学的調査は、モデル生物における情動状態の迅速かつ正確な読み取りの欠如によって妨げられている。Dolensekたちは、マウスの内的情動状態の生来的で敏感な反映としての顔の表情を識別した(GirardとBelloneによる展望記事参照)。多様な刺激によって誘発されるマウスの表情は、人間の基本的な情動と似た形で、 情動類似の枠組みへと分類できた。機械学習アルゴリズムは、マウスの表情をミリ秒の時間尺度で客観的かつ定量的に分類した。このように、主観的な情動状態の強度、感情価、および持続性が、個々の動物で解読できた。表情分析と2光子カルシウム画像法を組み合わせることにより、人間の場合には感情体験に関与する脳領域である島皮質において、その活動が特定の表情と密接に相関する単一神経細胞の識別が可能になった。(Sk,nk,kh)
- 感情価:喚起される感情を評価するもので、一次元上に快と不快を両極に配する双極的な概念。
- 2光子カルシウム画像法:細胞の活動に伴って蛍光が強くなる蛍光カルシウムセンサー・タンパク質を神経細胞に発現させ,2光子顕微鏡(フェムト秒パルスレーザーを集光し、その焦点のみで蛍光分子の2光子励起と呼ばれる状態を作り出す)で観察する方法"