アデノ随伴ウイルスの適応度地形 (The fitness landscape of AAV)
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、重要な遺伝子治療用ベクターである。 Ogden たちは合成生物学からの手段を使用して、カプシド・タンパク質における配列変化がAAVの性質にどのように影響するかについての包括的な見解を提供している。 AAV2カプシド遺伝子の飽和変異生成後、得られたライブラリーは、ウイルス生成、免疫、熱安定性、体内分布を含む多重表現型解析にかけられた。 マウスの主要器官への変異体分布は、生体内送達に影響を与える支配的な傾向を明らかにした。 さらに、この知見は、ウイルス生成に役割を持つウイルスのアクセサリー・タンパク質を明らかにした。 最後に、カプシドの適応度地形から構築されたモデルは、無作為変異生成よりもはるかに高い効率で、有用な変異体の機械的誘導による設計を可能にした。(KU,kh)
- アデノ随伴ウイルス:エンベロープを持たないウイルスで、これが持つカプシド・タンパク質により、特定細胞や組織種への指向性を持つ。 これにより、遺伝子組み換えすることで所望の遺伝子の運び屋として用いられる。
- 飽和変異生成:コドンあるいはコドン集合を無作為に変異させて、結果、タンパク質のその場所に全ての可能なアミノ酸変異を導入するやり方。
- 適応度地形:個体の表現型に対して縦軸に適応度を対応させて描いたグラフ。