表面上にあるエキゾチック・トポロジー (Exotic topology on the surface)
三次元結晶構造の空間対称性を分析することで、エキゾチック型準粒子とトポロジー的に非自明な材料の発見がもたらされてきた。 Wieder たちは三次元材料表面の二次元対称群(いわゆる文様群)に焦点を当て、それらの中に追加のトポロジー・クラスを可能にするものがあることを見出している。 このクラスは、材料の表面上に、4重縮退したディラック型フェルミ粒子を受け入れ、著者たちの計算に基づくと、化合物Sr2Pb3 に生じると予想される。(MY,nk,kh)
- エキゾチック型準粒子:ここでは、エネルギー構造が砂時計の形をしたフェルミ粒子のことを言っている。
- トポロジー的に非自明な材料:ここでは結晶が、鏡映に格子周期の分数倍の並進が加わった操作により分類されるノンシンモルフィック対称性を持ち、かつ、その対称性によりディラック型フェルミ粒子が安定化されるトポロジカル結晶絶縁体と呼ばれるもののことを言っている。
- 文様群:二次元繰り返しパターンに対する対称性に基づく数学的な分類のこと。 17種に大別される。
- ディラック型フェルミ粒子:電子のようにスピン特性を示すが光子のように質量を持たない特殊な粒子でトポロジカル絶縁体の表面に現れる。 運動方向によりスピンの向きが決まり、結晶構造中の欠陥によって散乱されることなく高速に移動するため、量子コンピューターの担い手として研究が進められている。
- 4重縮退:4つの異なったエネルギー固有状態が同じエネルギー準位をとること。