ダーウィン・フィンチの急速な交雑種分化 (Rapid hybrid speciation in Darwin's finches)
ガラパゴス・フィンチは、種分化がどのように発生するのかの仮説を推進してきた。 最も一般的には、生存や生殖に利点を与える形質の変化に基づいて、自然選択が単一集団に由来する種を分化させると想定されている。 Lamichhaney たちは、異種間交雑が生殖的に隔離した系統を形成した事例を述べており、それは、同倍数性の交雑種分化として知られる過程が進行中であることをはっきりと示している(Wagner による展望記事参照)。 著者らは、遺伝子標識と表現型解析を用いて、どのように別の島から渡った鳥が土着種と交配して、両親の種から生殖的に隔離された自己存続する雑種個体群を形成したか、を明らかにする系図を作り上げた。(Sk,MY,nk,kj,kh)
【訳注】
- ダーウィン・フィンチ:進化論の重要な材料となった、ガラパゴス諸島に生息する小型の鳥
- 生殖的隔離:本来は交配可能な二つの種間で、地理的等の要因により交配が起こらない状態であることや、交配できても生殖能力を有する子どもをつくれない状態であること。 ここでは後者の意味で用いられている。
- 同倍数性の交雑種分化:新たに形成された種の染色体の倍数(セット数)が、形成前の2つの祖先種の染色体倍数と同じである種分化のこと。
Science, this issue p. 224; see also p. 157