毒ガエルは自らの化学防御に耐性を持つ (Poison frogs resist their own chemical defense)
毒ガエルは、捕食から身を守る神経毒を産生する。 しかしながら毒ガエルは、自身を中毒させる危険がある。 Tarvin たちは、カエル神経毒エピバチジンを研究し、この毒物が結合するアセチルコリン受容体で、たった 1 つのアミノ酸が置換されていることを見つけた。 この置換でアセチルコリン受容体の立体配置が変化し、それにより、エピバチジンに対する受容体の感受性が低減する。 しかし、アセチルコリンのシグナル伝達は正常な活動にとって必須である。 ヒト細胞中でカエルの受容体を発現させることにより、毒ガエルの異なる系統の中では別のアミノ酸置換が起こっていて、その結果、標的とする神経伝達物質であるアセチルコリンを有効に機能させる一方で、毒ガエルが自らの毒に対する耐性を可能にすることが分かった。(MY,kj,kh)
- エピバチジン:アセチルコリン受容体に作用し、構造がニコチンに類似したアルカロイド系の神経毒。
- アセチルコリン:副交感神経や運動神経の末端から放出され、神経刺激を伝える神経伝達物質。