遺伝子を複製によってなんとか沈黙 (サイレンシング) させる (Managing gene silencing through replication)
春化は、冬の冷気が春の開花を刺激する植物内の過程である。 Yang たちと Jiang たちは、どのようにしてヒストン・メチル化により、シロイヌナズナ中で冷気が後成的に記録されるのかを示している。 ポリコーム群タンパク質のうちの特殊成分が、DNA を直してメチル化標識を行い、DNA 複製につなげる。 後成的に生じた準安定標識が素早く設置された後に、長期にわたって安定な後成的状態が続く。 この後成的方法は、安定かつ迅速な細胞運命決定の発生要求に対して極めて重要かもしれず、これが、植物細胞が運命変更するのを可能にする。(MY,kj,kh)
- 遺伝子サイレンシング:遺伝子発現の機構が、後天的に生じた細胞内の変化により機能しなくなること。 遺伝子転写の阻害による mRNA 合成の停止と、転写後の mRNA の分解の 2つによることが知られており、ヒストン・メチル化は前者に関係する。
- ヒストン・メチル化:ヒストン(DNA 分子を折り畳んで核内に収納する役割をもつタンパク質)を構成するタンパク質の側鎖の一部がメチル基で置換されること。
- ポリコーム群タンパク質:ヒストンを修飾することで転写を抑制する機能をもつことが知られているタンパク質。