皮膚病をやっつける方法は1つではない (There's more than one way to skin an infection)
Candida albicans による皮膚感染に対する自然免疫の制御には2つの段階がある。 すなわち、防護閉じ込めと除去である。 Santus たちは、転写因子 NFAT の早期の活性化が、この2つの段階を調和させると報告している。 閉じ込め段階の際、NFAT は形質転換成長因子βの発現を調節し、この因子がコラーゲンの析出を誘導し、感染細菌を捕捉する。 除去の段階では、NFAT がインターフェロンγを誘導し、これが皮膚潰瘍の形成と細菌の排除を促進する。 自然免疫反応と線維素溶解反応の間での同じような相互応答も、黄色ブトウ球菌への防御に寄与する。 そのような協力は、感染と闘いながら組織損傷を最小化するのに役立つ。(MY,ok,kh)
- Candida albicans:カンジダ属に属する酵母様真菌で、咽頭,皮膚などに存在する正常菌。 人の免疫力が低下した場合、カンジダ症を引き起こす。
- 転写因子 NFAT:活性化すると遺伝子転写を引き起こすタンパク質で、生体中で広範囲に発現し、免疫系における T 細胞の活性化、循環器系における血管新生、中枢神経系での神経回路発生・修復など、に関与している。
- 形質転換成長因子β:ガンや細胞の分化・遊走・接着などをはじめとする幅広い領域で重要な役割を担っているタンパク質。 細胞外マトリックス・タンパク質の産生および沈着促進の因子も担っている。
- 線維素溶解反応:血液中に存在するタンパク質分解酵素のプラスミンにより、生体内に形成された血栓が溶ける現象のこと。