タンパク質代謝系から孤児タンパク質を取り除く(Removing orphan proteins from the system)
タンパク質複合体の過剰なサブユニットの分解は,その細胞にとって,大きな品質管理上の問題である。そのような「孤児」が分解のためにどのようにして認識され,標識付けされるのかはよく分かっていない。2つの論文が,人体で最も大量にある幾つかのタンパク質複合体,即ちヘモグロビンとリボソームで働くタンパク質のある品質管理経路を決定している(HamptonとDargemontによる展望記事参照)。Yanagitaniたちは,この過程における中心的役者が,基質を認識し, かつそれらに分解用の標識付けする, 希少酵素(UBE2O)であることを示している。他の品質管理経路は,傾向として別々の因子を,標的選定(しばしばシャペロン),ユビキチン結合化(E2),ユビキチン転移化(E3)に対して使う。3つの働きすべての,精製系で機能の再構成が可能な単一因子へのコード化は,機構面および構造面の詳細分析に向けての,取扱いの楽な道筋を提供する。Nguyenたちは,赤血球細胞の分化におけるUBE2O経路の重要性を示している。(MY,kh)
【訳注】
- ユビキチン:真核細胞に存在する低分子量のタンパク質で,標的タンパク質に結合してタンパク質の分解標識などの役割を果たす。従来知られている標的タンパク質へのユビキチン(Ub)の付加は,3つの酵素,ユビキチン活性化酵素 (E1),ユビキチン結合酵素 (E2),ユビキチン転移酵素(ユビキチンリガーゼ) (E3) を介して行われる。
Science, this issue p. 472, p. eaan0218; see also p. 450