確認された被害 (Damage confirmed)
花粉媒介昆虫に対するネオニコチノイド殺虫剤の影響についての初期の研究は,かなりの害があることを示した。しかしながら,これらの研究は,実地における現実的な殺虫剤の程度や,一般的にみられる環境条件を表していないという批判がくすぶり続いた。異なる作物と2つの大陸でなされた2つの研究が,今回,ネオニコチノイドがハチの健康を損なうことを実証している(Kerrによる展望記事参照)。Tsvetkovたちは,ハチが3~4か月の間,トウモロコシ作付けのそばで,農薬の標的とするトウモロコシ以外の植物の花粉を介してネオニコチノイドに曝されると,結果として生存と免疫応答の低下を、特に一般的に用いられる殺菌農薬に共暴露された場合に低下することを見つけている。Woodcockたちは,欧州の複数の行政区におけるナタネについての実験で,幾つかの非標的源からのネオニコチノイド暴露が,ミツバチと野生ミツバチの両方において,越冬成功と巣分かれを減らすことを見つけている。これらの実地結果は,ネオニコチノイドが現実の農業条件の下で,花粉仲介昆虫の健康に悪影響を与えることを確かなものにする。(MY,KU,nk,kj,kh)
【訳注】
- ネオニコチノイド殺虫剤:昆虫に対して選択的に強い神経毒性を持つクロロ・ニコチニル系殺虫剤。1990年代に登場し,世界でもっとも広く使われている。
Science, this issue p.
1395, p.
1393; see also p.
1331