父性ミトコンドリアを取り除く (Eliminating paternal mitochondria)
受精の間に,卵母細胞と精子の各々は,自身のミトコンドリアを合体細胞に提供する.その後間もなく,父性ミトコンドリアは分解され,母性ミトコンドリアだけが子孫に伝わる.Zhouたちは,父性ミトコンドリアの内膜の一部が損なわれ、それが父性ミトコンドリアが分解されるための標識となっているらしいことをことを観察した.これはどうも,父性ミトコンドリアが分解されるための標識となっているらしい(van der Bliekによる展望記事参照).ミトコンドリアの核酸分解酵素Gが膜間腔から基質に移り,続いて父性ミトコンドリアのDNAを分解することで,父性ミト コンドリアに対する自己貪食が始まる.何であれ,この過程の遅れは胚の死亡率を高める.(MY,kj,nk,kh)
- 膜間腔:ミトコンドリアの外膜と内膜の間の領域
- ミトコンドリア基質:ミトコンドリアの内膜で囲まれた内側の領域で,エネルギー物質であるATPの産生がなされ,ミトコンドリアDNAが存在する