生物多様性損失の「安全」限界を越える (Crossing “safe” limits for biodiversity loss)
地球限界(planetary boundaries)という考え方は、生物多様性損失に対して、生態系の機能があまり影響を受けない範囲の境界を設けようとしている。Newboldたちは地球規模の定量的な解析から、提案された地球限界がどの程度まで超過されてしまったかを報告している (Oliverによる展望記事参照)。ほぼ40,000の陸上の種に関する2百万を越える記録を用いて、彼らは陸地利用や関連する圧力への生物多様性の応答をモデル化し、次に局所的な生物多様性の変化に関するその程度と空間的パターンを、1平方キロメートルの空間的分解能で推定した。陸上表面の65%にわたって、陸地利用や関連する圧力が、「生物多様性完全度指数」10%(「生物多様性完全度指数」に対して提案された「安全」地球限界)を超える多様性の低下を引き起こした。変化は、草原の生物群と生物多様性の紛争地域で最も深刻であった。(KU,MY,kj,kh,nk)
【訳注】
- planetary boundaries:環境科学者などから提唱された,持続可能な成長を可能とする,地球への負荷の限界のことで,9つの項目が設けられている
- 生物多様性完全度指数:生物多様性減少を測る新しい指数
Science, this issue p. 288; see also p. 220