AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.1

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IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.2


システム開発のシナリオ:実施の現状
Scenarios in System Development: Current Practice

Klaus Weidenhaupt, Klaus Pohl, Matthias Jarke, and Peter Haumer

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.34-45, March/April 1998

Keywords: requirements engineering, scenario, management, tool

著者らは,4つの欧州各国の15の異なるプロジェクトでのシナリオ に基づく要求工学の実践について報告する.彼らは,プロジェクト チームの現地でのインタビューを行い,作成された文書や利用した 環境やツールについて調べた.Crewsチームは,シナリオの意図や 利用は予測していた以上に幅広く異なっていることに気付いた.こ のことは,それ自体が作成物であるところのシナリオを開発し維持 していくための,より優れた管理やツールによる支援が必要である ことを示唆している.


COTS ソフトウエア選択要求の獲得
Acquiring COTS Software Selection Requirements

Neil A. M. Maiden and Cornelius Ncube

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.46-56, March/April 1998

Keywords: procurement oriented requirements engineering

著者らは,複雑な製品選択に対する実世界の要求獲得についての過 去の研究から得た知識を用いて,獲得(procurement)指向要求工学 (PORE)について述べる.PORE は,既存の要求工学と知識工学の技 法,特徴分析,マルチクライテリア意志決定,論証,テンプレート ベースアプローチから作られている.著者らは,英国国防省チーム が新たな海軍のプラットフォームの要求を案出するのを助けるため に,PORE を適用した経験について語る.プロジェクトの間に11の 問題に遭遇して,それらへの解決策がどのように PORE の将来のバー ジョンに組み入れられるのかを報告する.


ソフトウエア設計工房:調査
The Software Design Studio: An Exploration

Sarah Kuhn

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.65-71, March/April 1998

Keywords: software design education, studio method

最近,あるソフトウエア設計者たちは,専門能力を向上させる努力 において着想(inspiration)を得るためのアーキテクチャを構築し 始めている.ソフトウエア設計教育に建築学の訓練の工房手法(the studio method)を適用する試みによって,2つの専門職における教 育と実践について多くのことが明らかになると,本記事で報告され ている.工房の教育課程は,どのように現在の訓練を改善するのか という創造的な熟考を引き起こし,ソフトウエア設計の専門技術を 発展させる新しい方法を提供することができるだろう.


古い家
This Old House

Dan O'Day

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.72-75, March/April 1998

Keywords: software development process, construction metaphor

建築のメタファは,ソフトウエアをどのように作り上げているのか を記述する便利な方法を提供する.著者は,既存の開発プロセスの 改善を古い家屋の修復に例えることで,建築のメタファを開発プロ セスに取り入れている.まず基礎(the basics)に注意を払い一度に ひとつずつ作業を行え,と著者は論じている.このことは地面から はじめて徹底的に行う(starting from the ground up)よりもずっ と現実的であることがしばしば立証されている.


実在のオブジェクト指向システム
Real-Life Object-Oriented Systems

Soren Lauesen

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.76-83, March/April 1998

Keywords: object orientation, architecture

オブジェクト指向はポピュラーなキャッチフレーズになってきたが, その恩恵は得られがたい.著者は7つのオブジェクト指向開発チー ムについて調査し,彼らがぶつかった困難について精査して,現在 のベストプラクティスを明らかにした.著者は全チームが3つの基 本的なアーキテクチャのうちのひとつを使っていることを発見した. 著者はここに,データベース接続,アプリケーション,スクリーン オブジェクトに関して,それぞれの利点と欠点を探求する.


コンポーネントの文書化におけるパターンの利用
Using Patterns to Create Component Documentation

Jeffrey Kotula

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.84-92, March/April 1998

Keywords: component, documentation, pattern

コンポーネントを設計する時,開発者は頭の中である使い方のシナ リオを持っている.しかし,これでは十分ではない.お客様がコン ポーネントの目的と開発者の期待する使い方を理解しなければ,お 客様は使い方を誤るであろう.良い文書はソフトウェアコンポーネ ントの作者とユーザの間の第一の意志伝達手段であり,設計意図や ユースケースや潜在的問題への洞察を与える.著者は,パターンが いかに文書の内容,構造,表現のガイドとなりうるかを示す4つの 例を挙げる.


信頼性の分析と改善:ツリーに基づくアプローチ
Analyzing and Improving Reliability: A Tree-Based Approach

Jeff Tian and Joe Palma

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.97-104, March/April 1998

Keywords: software reliability, tree-based reliablity modeling

ツリーに基づく信頼性モデリング(TBRM)は,ソフトウェア信頼性成 長モデルと入力ドメイン(input domain)信頼性モデルの利点を統合 し,ソフトウェアの信頼性を評価するための枠組みとそれを改善す るための指針を与える.TBRMを検証するために,著者らは類似した プロセスを用いて開発された5つの大規模システムについて調べた. 実施のためには,測定値の定義,データ収集,モデルの構築,そし て改善活動の実行において,品質分析者らとテスト/開発チームの 間の親密な協調が必要とされる.著者らはこの統合アプローチが実 行可能でかつ効果的であることを確認した.


データベース操作の正しいプログラムスライシング
Correct Program Slicing of Database Operations

Hee Beng Kuan Tan and Tok Wang Ling

IEEE Software, Vol.15, No.2, pp.105-112, March/April 1998

Keywords: program slicing, database operation

ソフトウェア保守,プログラムのバージョン統合,リバースエンジ ニアリングにしばしば用いられるプログラムスライシングは,デバッ グや分析中にプログラムコンポーネントを分離するのに役立つ.し かし,従来手法によってデータベース操作を含むプログラムを正し くスライスするにはしばしば苦労を要する.例えば,I/Oに作用す る疑いのあるプログラムステートメントだけを含んだスライスを計 算することはできないであろう.著者らは,そういった限界を克服 する手法を提案する.

IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.3


ソフトウェアを WWW に移す
Migrating Software to the World Wide Web

Ellis Horowitz

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 18-21, May/June 1998

Keywords: WWW, legacy system, software migration

Horowitz は,レガシーシステム (定義によるとこわれやすくかつ価値がある) の寿命をのばす比較的苦労の要らない方法が, Web 技術によっていかに提供され得るかについて述べる. Web は老化したアプリケーションに 最新のグラフィカルインターフェイスを与え, プラットフォームによらず利用者のデスクトップにそれらを配送し, 企業全体に広がるデータベースへのアクセスを許可することができる.


OO(オブジェクト指向)データベースを Web に移行する
An OO Database Migrates to the Web

Maria A. Cobb, Harold Foley III, Ruth Wilson, Miyi Chung, and Kevin B. Shaw

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 22-30, May/June 1998

Keywords: OO database, WWW, Java, database migration

従来のデータベースは OO 手法を用いて再構築することができる. Java の出現は,様々なプラットフォームにまたがって アプリケーションを実行する方法を提供することによって, OO の恩恵を高めた. これらの動向を利用して, 著者らはまずリレーショナルデータベースを OO パラダイムへと変換し, それから Web へと移行させた. 彼らはここに,移行を成し遂げるのに用いた手順と技術について述べる.


Web 上で GIS に問い合わせる新しい方法
A New Way to Query GISs on the Web

Serena Coetzee and Judith Bishop

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 31-40, May/June 1998

Keywords: GIS, WWW, query mechanism

地理情報システム(GIS)は 多様なアプリケーションのための豊富な情報を蓄積しており, ユーザはしばしば様々なベンダーの様々なプラットフォーム上の GISにアクセスしなければならない. この要求を満たすために, 著者らは分散的かつオープンな 空間的 GIS 問い合わせメカニズムを開発した. これによりユーザはインターネットに散らばる 多くの異なる GIS にアクセスすることができる.


OOT(オブジェクト指向技術)採用の理解と管理
Understanding and Managing OOT Adoption

Anol Bhattacherjee and James Gerlach

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 91-96, May/June 1998

Keywords: OOT, management, organizational learning theory

OOT はシステム開発に対して有望な新しいアプローチを提供するが, 会社組織レベルでこれを採用するには仕事の文化,役割, プロセスにおける変化を必要とする. 組織学習の理論は, そういった変化の生み出す障害の幾つかを明らかにし, マネージャがこれを克服するための方法を示すことができる.


OO(オブジェクト指向)は我々の考え方と同期しているか?
Does OO Sync with How We Think?

Les Hatton

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 46-54, May/June 1998

Keywords: OO, corrective-maintenance cost, reliability

修正保守のコストが,既にソフトウェアのライフサイクルを支配し, また重大なほどに増加し始めているように思われる場合, そういったコストを削減するという形での信頼性が, 最も重要なソフトウェアの改善目標であるべきだ. しかし,一般に大規模システムについて, そして特に OO について, 最近の修正保守のデータをレビューすると, その結果は有望なものではない. これはおそらく,OO パラダイムと我々の考え方のミスマッチが原因である.


あなたの言語を見つめなさい!
Watch Your Language!

Richard Wiener

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 55-56, May/June 1998

Keywords: OO language

Wiener は,OO(オブジェクト指向)が 我々の通常の考え方に合わないことについて Hatton に賛成する. しかし,どんなパラダイムを用いた どんな言語によるプログラミングにおいてもこれは当てはまると 彼は続ける. このように仮定して,我々はよい原理,よい考え方, そしてよい言語を用いることが重要であると彼は述べる. 更に,OO と OO でない実装を比較するには, 研究者は真の OO 言語を調べるべきである. そしてそれは C++ ではない.


オブジェクト動力の Web
The Object-Powered Web

Vivekanand P. Kochikar

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 57-62, May/June 1998

Keywords: WWW, OO technology, distributed computing, three-tier client-server application

WWW は,インターネット,イントラネット, エクストラネットを問わず,ポスト産業社会の重要な要素となった. Web と OO (オブジェクト指向)技術の収束によって, 遠く離れたマシン上の新規あるいはレガシーなコードを用いて, 分散3層クライアント/サーバアプリケーションを 構築することができるであろうと,著者は主張する. これらのアプリケーションは,従来のプラットフォーム, 組織の機能,企業,産業,そして地理の境界を越えて, 分散コンピューティングの力を発揮するであろう.


より有用な API を構築する
Building More Usable APIs

Samuel G. McLellan, Alvin W. Roesler, Joseph T. Tempest, and Clay I. Spinuzzi

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 78-86, May/June 1998

Keywords: API, iterative API design and testing, feedback from real users

著者らがユーザに 開発のライフサイクルの初期における API のテストを依頼した際に, API がどのように,そしてどんなコンテキストにおいて動くのか に関するユーザの質問が,極めて役に立つことがわかった. 実際のユーザからのフィードバックを得て, API 設計とテストを繰り返すことで,設計をより明確に, またリファレンスマニュアルをより役に立つものにすることができる.


Y2K プロジェクトの管理 - 今すぐ始める
Managing a Y2K Project-Starting Now

James E. Schultz

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 63-71, May/June 1998

Keywords: Y2K problem, in-house assessment, automated tool, outsourcing, resources

この今になって Y2K(2000年)問題に対処するには 便宜的な解決策が必要である. それゆえ情報システムの専門家は, 既存のアプリケーションプログラムにおいて 2桁年号を使うことから起こるプログラム上の問題を評価し, 修正するための現実的な作業計画を必要としている. 著者は,組織内の評価と自動化ツールへの再コーディングから アウトソーシングに至る幅広い解決策に関するアドバイスを提供し, Y2K の情報,ヒント,ツール,あるいは解決策の提供者を 探している人向けのリソースを列挙する.


未来に向けた指導における挑戦
Leadership Challenges for the Future

Tim Athey

IEEE Software, Vol. 15, No. 3, pp. 72-77, May/June 1998

Keywords: software industry, leadership challenge, management

ソフトウェア産業特有の性質は, 急速な成長がもたらす変化と結びついて, ハードウェア設計・製造の世界とは異なった 経営と指導の両方における挑戦を与える. ソフトウェア開発の性質を仮定すれば, もしソフトウェアマネージャが効果的に指揮するつもりなら ある能力が特に重要になるだろう.

IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.4


レガシーシステムを維持するか,それとも再設計するか?
Preserve or Redesign Legacy Systems?

Norman F. Schneidewind and Christof Ebert

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 14-17, July/August 1998

Keywords: legacy software system

レガシーソフトウェアシステムは大きな投資を意味しているが, それらが古くなるにつれて, しばしば維持するのが難しくなる. 技術がそれらを越えて進化するだけでなく, ビジネスニーズも変化し機能の追加や修正が必要となるかも知れない. この序文では, レガシーシステムを維持するかそれとも置き換えるか という問題を取り上げ, 我々のソフトウェア遺産 (レガシー) を扱う選択肢についてまとめる.


コンポーネントに基づいたシステムの保守
Maintaining Component-Based Systems

Jeffrey Voas

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 22-27, July/August 1998

Keywords: component-based software engineering, software maintanance

我々がコンポーネントベースのソフトウェア工学へと進み続けると, ソフトウェア開発はより伝統的な製造業に近いものとなるであろう. つまり, 開発者のコードを書く量は減り, 設計や統合の作業は増えるであろう. 市場に出すまでの時間 (time to market) の短縮, ユーザの選択の多様化, 低コストといったコンポーネントベースの開発の恩恵を受けるためには, 我々はソフトウェアの保守戦略について考え直さなくてはならないと Voas は論ずる. 彼はコンポーネントベースの開発によって引き起こされる 保守上の難題について幅広くまとめている.


遺産(レガシー)の復元:学んだ教訓
Restoring a Legacy: Lessons Learned

Spencer Rugaber and Jim White

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 28-32, July/August 1998

Keywords: legacy system, restoration

レガシーシステムの再構築には芸術作品の復元といくつかの類似が見られる. 著者らはこの対比を用いて, 電話システムの再設計において直面した難題について説明する. 復元にはコードのアップデートよりもはるかに多くのことを要した. つまり, 開発チームは既存のアーキテクチャを理解して, 新しい機能を追加し, ハードウェアを移行する長期計画を立てなくてはならなかった. こうして学んだ技術的なまた管理面での教訓は, 同様のプロジェクトに関係する者にとって価値があるに違いない.


レガシーシステムの保守の評価方法
How to Evaluate Legacy System Maintenance

Norman F. Schneidewind

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 34-42, July/August 1998

Keywords: legacy system, maintenance

NASA のスペースシャトル誘導ソフトウェアからの大規模なデータを用いて, Schneidewind はレガシーソフトウェアの保守努力の効果を評価する手法を提案する. 彼は, 保守の安定性を追跡するためのいくつかの公式 (これらは時間に対する故障の減少と機能の増加として定義される) を定め, その正当性を立証するデータを示す. Schneidewind はまた, 彼の公式を異なるプロジェクトに適用するためのヒントを与えてくれる.


OO(オブジェクト指向)プロジェクトのよりよい管理
Managing OO Projects Better

Paolo Nesi

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 50-60, July/August 1998

Keywords: OO, project management, effort metrics

Nesi は, 努力の評価がOO開発プロジェクトの管理において重要であることを明らかにし, 続いてこれを行うための2, 3の経験則について書いている. これらの経験則を用いることで彼が学んだひとつの教訓は, サブコンポーネントの評価を単純に足したのでは プロジェクト全体の評価として信頼できないというものだ. プロジェクトの規模が大きくなるにつれて, 意思疏通や雑多な相互作用のオーバーヘッドも大きくなる. Nesi は努力メトリクスの次に, プロジェクトを通してメトリクスを収集し, それらを仮説とプロジェクトの能力の継続的な再確認に利用することを推奨している. もし我々が『あなたの計測できないことをあなたは管理できない』 ということを認めるなら, これはよいアドバイスである.


分野をまたいで:リスク, 設計, 手法, プロセス, ツール
Across Disciplines: Risk, Design, Method, Process, and Tools

Robin Baines

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 61-64, July/August 1998

Keywords: software development, management, risk, process

ソフトウェア開発をより予測可能で管理可能にするための解を探す時, 我々はしばしば建築学や橋梁建築など他の学問分野に類似を求める. この記事では電気産業の視点からソフトウェア開発を眺めている. 彼らの管理の流儀に示唆されて, ATH techniek b.v. は証明された管理技法をソフトウェア開発に適用することを学んだ. 単純で常識的な原理が優れた結果を生むのである. 例えば, プロジェクトの努力を2つの異なる尺度を用いて評価することで, また実行を管理することによって, 開発者はリスクを減らした. あなたのソフトウェア開発プロセスを, あなたの会社の他部門あるいは他のアプリケーション分野において 進行していることと比較するのは有益なことであろう.


ソフトウェアの品質はコードの中に見えるか?
Is Software Quality Visible in the Code?

Soren Lauesen and Houman Younessi

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 69-73, July/August 1998

Keywords: software quality, code analysis,

ソフトウェアコードの欠陥を見つけて修正するのは 製品の品質にとって重要なことだ. しかし, それはまた, 特に開発サイクルの後期においては, しばしば難しく時間のかかることだとわかる. コード分析が品質上の欠点を検出する簡単な方法となることを信じる者もいるが, Lauesen と Younessi は別の主張をしている. この点を証明するために, 彼らはエラーデータ(datafromerror)のレポートを分析した. その結果は, コード分析が 意味のある欠陥のほんのわずかな割合しか検出できないことを示している.


要求分析における価値とコストの最適化
Optimizing Value and Cost in Requirements Analysis

Ho-Won Jung

IEEE Software, Vol. 15, No. 4, pp. 74-78, July/August 1998

Keywords: requirement analysis, optimaization, cost, value, knapsack approach

ソフトウェアシステムをつくる時, 開発者はしばしば長大な要求リストと限られた予算に直面させられる. この記事では, 要求の価値とコストの釣り合いをとり, 最も費用対効果の高いセットを実装する方法を, 開発者に対して示している. 著者は, 初期のアプローチの複雑さを減らした『ナップサック』アプローチの変形を開発した. ここでは, その応用を示すために2つのケーススタディを紹介している.

IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.5


コンポーネントベースのソフトウェア工学
Component-Based Software Engineering

Wojtek Kozaczynski and Grady Booch

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: component-based software engineering, CBSE

コンポーネントは"ホット"で, 急速に変化している. ここでは, そ の分野の2人の先導者による業界予測と, この特集(focus)に含める ために彼らの選んだ記事, つまり現状の概説とCBSEに関する最新の いくつかの研究について述べられる.


CBSEの現状
The Current State of CBSE

Alan W. Brown and Kurt C. Wallnau

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: component-based software engineering, CBSE, component middleware, Microsoft MTS, CORBA, Enterprise JavaBeans

第20回ソフトウェア工学に関する国際会議における, コンポーネン トベースソフトウェア工学ワークショップでは, コンポーネントの 現状について討議された. 著者らは, これらの展望とアイデアを総 合して, コンポーネントがソフトウェア工学の実務をどのように変 えているかについての一貫した議論にまとめている. コンポーネン トベースのシステムには, 通信とコラボレーションのための基盤が 必要である. コンポーネントミドルウェアに関する Roger Sessions の囲み記事(sidebar)では, Microsoft MTS と OMG CORBA の基盤技術について調べられている. David Chappell の囲み記事 では, トランザクションに関する基本アーキテクチャの問題を取り 上げており, Microsoft の MTS と Sun の Enterprise JavaBeans におけるトランザクションとコンポーネントの状態の扱い方を比較 している.


ソフトウェアコンポーネントのライセンス問題:入門
Software Component Licensing Issues: A Primer

Andrea Chavez, Catherine Tornabene, and Gio Wiederhold

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: software component, license

ソフトウェアコンポーネントに投資することに価値があると感じる 開発者にとって, 実施許諾者(licensor)と実施権者(licensee)の双 方が, そういった部品の開発と利用に投資される時間と資源を公平 に補われなくてはならない. 著者らは, 適切に組み立てられたソフ トウェアライセンス契約がそういった埋め合わせを保証するための 手段を提供すると提案する.


コンポーネントベースのソフトウェアの検証:戒告的なお話
Testing Component-Based Software: A Cautionary Tale

Elaine Weyuker

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: component-based software, reuse

再利用のために設計されたコンポーネントは, コストを減らし開発 のライフサイクルを縮めると期待されるが, それほど簡単なことで はないことがわかるだろう. 著者は, コンポーネント再利用の問題 となる側面をしっかりと調査する必要性, つまり新しい環境におい てコンポーネントを検証する必要性と要するであろう費用について 強調している.


ビジネスオブジェクトコンポーネントアーキテクチャ
Business Object Component Architecture

Tom Digre

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: business object, component, system-level abstraction, interoperability

Common Business Object Framework (共通ビジネスオブジェクトフ レームワーク)は, 一群のシステムレベル抽象と相互運用性の標準 を提供し, ビジネスシステム開発を単純化し標準化することを目指 している. 著者は, Boca が異なるアプリケーション間での企業を 越えたデータ交換を可能にする一方, 核となるビジネス情報をその ホームシステムの技術的詳細から分離するという難問を解決すると 主張する.


遠隔通信ソフトウェアに対するコンポーネントベースのアプローチ
A Component-Based Approach to Telecommunication Software

Pamela Zave and Michael Jackson

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: domain-specific component-based architecture, telecommunication, pipe-and-filter

この記事では, Distributed Feature Composition (分散特徴合成) と呼ばれる問題領域に特化した(domain-specific)コンポーネント ベースのアーキテクチャについて議論する. よく知られたパイプ/ フィルタアーキテクチャをもとに, 遠隔通信分野で利用するために DFCは洗練された. 著者らはまた, このアプローチをデータネット ワークを含む他の問題領域に適用する方法を示す.


統合ネットワークコンポーネントアーキテクチャ
An Integrated Network Component Architecture

Israel Ben-Shaul, James W. Gish, and William Robinson

IEEE Software, Vol. 15, No. 5, September/October 1998

Keywords: network component, architecture, dynamic configuration, scalability

大規模対話型分散システムを展開するためには, 新しいコンポーネ ントと既存のコンポーネントの統合をサポートし, コンポーネント 接続の動的構成を可能にするアーキテクチャが必要である. この 記事で紹介されるアーキテクチャは, 接続メカニズムをコンポーネ ントに組み込むことで, 合成と柔軟でスケーラブルなシステムの構 築を容易にする.

IEEE Software (IEEE) Vol.15, No.6


Java Virtual Machine -- 過ぎ去りつつある流行?
The Java Virtual Machine--A Passing Fad?

Michael Franz

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 26-29, November/December 1998

Keywords: Java, virtual machine

Javaは, その可搬性(portability)とプラットフォーム非依存のおかげで, Webベースのアプリケーション開発における一押しの言語となった. しかし, 実は Java は3つの部分から構成される. つまり, 言語と豊富なクラスライブラリとvirtual machine(仮想機械) を基盤とした標準化された配布手続きである. Franzがもっとも置き換えに弱いと考えるのはこの第3の要素である. 彼は, ソフトウェアの移動性(transportability)をサポートする別の体系を開発し, 最終的に動的コードジェネレータを展開するに至った自身の経験に基づいて, なぜその置き換えが起こりそうだと考えているのか説明する.


実用的なテストケースの設計方法
How To Design Practical Test Cases

Tsuneo Yamaura

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 30-36, November/December 1998

Keywords: test case

実世界におけるソフトウェアのテストについて 詳細に議論している記事が発表されることはめったにない. 山村は, 彼の会社である日立ソフトウェアエンジニアリングが制度化してきた, 戦略的かつ戦術的な秘密を明らかにする. 彼は実際のテスト活動のためのいくつかのデータを示し, 同様の高い品質基準を達成する方法について述べ, テストケースの設計と文書化の重要性を指摘する.


Webベースの機敏なソフトウェア開発
Web-Based Agile Software Development

Mikio Aoyama

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 56-65, November/December 1998

Keywords: Web, software development process, process management

新しい製品を最初に市場に出すというプレッシャーのために, 開発プロセスは加速してきている. 今日のプロセスモデルは, 実時間で仕事をする能力, そして変化する要求と状況に素早く適応する能力として定義される, 機敏さを必要としている. 更に, 多くのプロジェクト (今やしばしばインターネット, イントラネット上に開発される) のグローバルで分散した性質のために, 柔軟で統合化されたツールが必要となる. 著者のWebベースの機敏なソフトウェア開発環境 (Web-based Agile Software Engineering Environment)は, これらの課題に対して, just-in-timeプロセス管理を提供する時間に基づいたライフサイクル という解決を与える.


ソフトウェア工学における共通性と変動性
Commonality and Variability in Software Engineering

Daniel Hoffman and David Weiss

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 37-45, November/December 1998

Keywords: software engineering, domain engineering, commnality, variability, formal analysis

この記事は, あるプロダクトファミリーにおける共通性と変動性を見分けることによる ドメインエンジニアリングを, どのように実施するのか述べている. 著者らは, 再利用ライブラリ, デザインパターン, プログラミング言語設計を扱う興味深い例を通して, 形式的な分析に対する組織的な 『適用範囲(Scope)共通性(Commonalities)変動性(Variabilities)』 アプローチを提案する. 彼らのSCV分析は, Lucent Technologies社で25以上のドメインに適用された, FAST(Family-oriented Abstraction, Specification, and Translation; ファミリー指向の抽象, 仕様, 変換)の不可欠な要素となった.


クリーンルームの工業利用への適合
Tailoring Cleanroom for Industrial Use

Robert S. Oshana

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 46-55, November/December 1998

Keywords: cleanroom software engineering

CMM(Capability Maturity Model: プロセス成熟度モデル) のレベル3からレベル5に移行するための, プロセス改善のパイロットプログラムにおいて, 実時間組み込みソフトウェアに取り込む Raytheon社のグループは, クリーンルームソフトウェア工学技術に注目することに決めた. この記事は, クリーンルーム手法を彼ら特有のニーズに適合させたことから学んだ 有望な教訓を伝えている. Oshana は彼らの成功の主張を支持する証拠を示す一方, 同じアプローチを自分達の組織に導入することを望む読者に注意を促している. なぜなら, そこには懸念事項, 問題, 障壁が存在するから.


客観的にソフトウェア開発を評価する
Objectively Evaluating Software Development

Kathryn A. Bassin, Theresa Kratschmer, and Padmanabhan Santhanam

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 66-74, November/December 1998

Keywords: software evaluation, defect analysis

直交欠陥分類法(Orthogonal Defect Classification scheme)を用いることで, 著者らは, 技術的な意思決定に関して, 管理をしっかりとサポートすることができる. 欠陥のセマンティクスの幅広い獲得と分析を通して, プロジェクト管理, テストの有効性, 信頼性, 品質, 顧客の使い方についての情報を得ることができる. この記事は, 3つの現実のケーススタディについて述べ, 彼らの技法の適応性を示す.


ソフトウェア開発3部作の探究
Exploring the Software Development Trilogy

Daniel Le Metayer, Valerie-Anne Nicolas, and Olivier Ridoux

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 75-81, November/December 1998

Keywords: automatic test generation, domain-specific programming language

ソフトウェア開発は単にコードを書く以上のことに関係している. つまり, プログラムは要求される特性を備えなければならないし, それらの特性は適切なテストと正当性の論点から証明されなくてはならない. これらの側面を考察するひとつの方法は, それらをプログラム, 特性, データに分類することだ. 三角形の頂点として表現するなら, 辺はある要素を別の要素から生成するプロセスを表す. この記事に報告される研究は, 述語論理とプログラミング構造物の利用を制限することによって テストを自動生成する実用的な方法を目標としている. 研究は最終的に ドメイン依存のプログラミング言語を結果として出す見込みであり, 品質と生産性の両面で大きく向上することになる.


Peopleware 2 の抜粋:人的資本
Peopleware 2 Excerpt: Human Capital

Tom DeMarco and Timothy Lister

IEEE Software, Vol. 15, No. 6, pp. 103-105, November/December 1998

Keywords: human capital

Peopleware の原書の出版は重大な出来事であった. この影響力のある実績からすると, Peopleware の新しい改訂版も, ソフトウェア業界に同じくらいの跡を残しそうである. 人的資本に関するこの新版からの抜粋は, 最近10年間 DeMarco と Lister の考えが, 思慮深くどこを旅してきたのかを示している.


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