AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.1


並列的な画像分類のための、 階層的なマルコフ・ランダム場モデルと多重温度焼きなまし
A Hierarchical Markov Random Field Model and Multitemperature Annealing for Parallel Image Classification

Zoltan Kato, Marc Berthod, and Josiane Zerubia

Graphical Models and Image Processing, vol. 58, no. 1, pp. 18-37, January 1996

Keywords: image classification, Markov random field model, multigrid method, parallel algorithm, relaxation, simulated annealing.

本論文では、画像分類への応用のための多重スケールの弛緩法の大規模並列ア ルゴリズムを考える。 多重グリッド法によって、反復的な弛緩法の収束率と最終結果の質がかなり改 善されることは、よく知られていることである。 まず、ラベルピラミッドと全体の観測場からなる古典的な多重スケールモデル を示し、 より粗いグリッドでのポテンシャル関数を簡単な計算によって導出する。 最適化問題を、まず、より高い(粗い)スケールにおいて、並列弛緩法アルゴ リズムによって解き、そして、次の低い(細かい)スケールを、その結果を射 影することにより初期化する。 次に、この古典的モデルをもとにして、階層的なマルコフ・ランダム場モデル を提案し、 ピラミッドにおいて隣接するレベル間での新しいインターラクションを導入す る。 それはまた、遠く離れた場所にある集団を、相応な代償を払うことにより、一 緒にまとめる方法としても見ることができる。 このモデルによって、新しい焼きなまし法を伴った弛緩法アルゴリズム「多重 温度焼きなまし法(MTA)」が導入される。 この方法は、粗いグリッドでの局所的な最小値に影響されないようにするため に、より高い温度をより高いレベルに対応させることからなる。 大局的な最適値への収束への証明は、 S. Geman と D. Gemanの焼きなまし定理(IEEE Trans. Pattern Anal. Mach. Intell. 6, 1984, 721-741)の一般化による。

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曲面パッチを制限する四角錐
Pyramids That Bounds Surface Patches

Thomas W. Sederberg and Alan K. Zundel

Graphical Models and Image Processing, vol. 58, no. 1, pp. 75-81, January 1996

Keywords: rational Bezier patch, surface intersection, surface patch.

本論文では、次のような性質を持つ四角錐を構築する方法を述べる: 「もし、四角錐の点が、ある与えられた、正の重みを持つ有理ベジエ曲面 パッチ上の任意の点に移されるならば、そのパッチは完全に四角錐の外に ある。」 この四角錐を使うことによって、曲面の交差におけるループの検出 などの操作が容易になる。 以前の文献では、法線を制限する円錐や四角錐の相補は、 曲面を制限する円錐や四角錐であることが述べられていた。 本論文では、この命題の逆は常に真であるが、 その命題自体は本論文で示すある特定の条件のもとでのみ真であることを証明 する。


ゼロ交差に基づく2次元エッジ検出の計算手法
A Computational Approach to Zero-Crossing-Based Two-Demensional Edge Detection

Rajiv Mehrotra, Shiming Shan

Graphical Models and Image Processing, Vo.58, No.1, pp.1-17, 1996

エッジ検出法の計算方法を設計するには、通常、エッジ検出問題を最適化問題と捕ら え、ペナルティー関数を定義し、SNR、疑似応答、エッジ局在性のような達成度評 価値の制約条件を定義する。残念ながらこのような方法は、2次元あるいはそれ以上 の次元に適用するには、複雑な最適化問題となる。従って、以前提案されたほとんど の方法は1次元問題か、これを高次元へ近似させたものかであった。本論文は、最適 化問題を簡単化するため、エッジ検出関数の好ましい性質を利用して、エッジ検出法 の最適設計ための計算手法を示す。特に、スムーズな境界を有する回転不変の有限支 持関数を利用し、簡易化されたSNRとCannyのエッジ局在性、および疑似応答性で 定義されたペナルティー関数で評価する、最適効率を示すラプラシアンの一種である 、「ゼロ交差に基づく」2次元エッジ検出法である。この提案された2次元のステッ プエッジ検出法は、理論的にも経験的にも解析されており、MarrとHildrethによって 提案されたLaplacian of Gaussian (LoG)検出法と比較している。人工的な合成画像 と、実画像の両方に適用した結果も示されている。

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格子が見えないハーフトーン生成法
Gridless Halftoneing:A Reincarnation of the Old Method

Yachin Pnueli, Alfred M. Bruckstein

Graphical Models and Image Processing, Vol. 58, No.1, pp.38-64, 1996

ディジタルハーフトーン生成法は継続的に研究され着実な進歩を遂げてきたが、達成 可能な最適な結果と、実現可能な最良の結果の間には、その品質に大きなギャップが あると感じられる。従来、ディザ法、誤差分散法、ブルーノイズ法、あるいは、ニュ ーラルネットを利用したり、シミュレーテッドアニーリング法を用いたりして、画質 は進歩している。しかし、人が丁寧に作ったハーフトーンと比べると物足りなさがあ る。その大きな違いは、従来の方法では、生成画像中に、濃淡の格子模様(不自然な 模様)が見えることである。このギャップを埋めるために、コンピュータによる格子 が見えないハーフトーン生成法を提案する。そのため、従来の飛び飛びの画素の格子 上で問題を扱う代わりに、ここでは連続2次元曲面上で問題を取扱かった。本論分で はこの新しい方法の概要に付いて述べるとともに、従来法にくらべて予想される利点 を述べ、このために開発されたプロトタイプのDigiDuerer システムによって作られ た画像で実証する。

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伝達関数の推定、フィルムの融合そして画像復元
Transfer Function Estimation, Film Fusion and Image Restoration

Robert Azencott, Bernard Chalmond, Jia-Ping Wang

Graphical Models and Image Processing Vol.58, No.1, pp.65-74, 1996

本研究の目的は2枚のX線画像を融合したものから高画質の画像を復元することであ る。感度の異なる2枚のX線フィルムが重ねられて、同一の対象物の画像が形成され る。1番目のフィルムの感度は、非線形な望ましくない応答関数を持っている。第2 の正常な感度特性のフィルムの画像はノイズとしみの影響で大きく劣化しているが、 第1の画像は正常であるとする。我々の研究のきっかけになった元々の問題は、これ ら2つの画像を組み合わせて、ノイズやしみのない画像を推定し、第2のフィルムに 中間調として表現することである。そのために、2つのフィルムの応答関数間の伝達 関数を推定し、2番目の画像のしみを除く。

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要素別(基本的)画質向上のためのセルラーオートマトン
Cellular Automata for Elementary Image Enhancement

Gonzalo Hernandez, Hans J. Herrmann

Graphical Models and Image Processing

基本的な画質向上のためのアルゴリズムとして、各種のセルラーオートマトンを研究 した。このアルゴリズムとは、画像に対する先見知識を持つことなく、直接的手法で 画像特徴を向上させる手法を指している。セルラーオートマトンの手法は、局在性と 単純並列演算の実装化が可能な、画像処理の自然な道具のように思える。このために 、画像の鮮鋭化、平滑化のための各種のセルラーオータオマトンアルゴリズムが示さ れ、調べられた。この動的振舞い付いては時系列的と並列的な更新にオートマトンの 力学系を持つ単調減少関数を関連付けることよって、特徴づけられる。これらの演算 子からは、これら変遷時への強い束縛は、通常得られないが、この効果と効率を解析 するためには数値解析が必要である。この目的のため、2次元実画像を使って、ノイ ズのある場合の収束速度、収束効率、収束安定性について、古典的な手法と比較した 。研究したセルラーオートマトンの手法は、数値安定性、ノイズ安定性、実画像の改 善性、に関して高速収束性を示した。このことは、セルラーオートマトンが、最初の レベルの基本的な画質強調の特徴を持ったものとして提案出来るものである。

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劣化したマルコフランダム場の画像の機械的な画質復元
Blind Restoration of Degraded Binary Markov Random Field Images

Bing Zhang, Mehdi N. Shirazi, Hideki Noda

Graphica Models and Image Processing, Vol.58, No.1, pp.90-98, 1996

ここでは、領域依存のフリップフロップ型ノイズによって劣化した2値画像の復元に ついての問題を考える。実画像はマルコフランダム場(MRF)によって記述できる。繰 り返し条件付きモード(ICM)アルゴリズムが採用された。ある条件の元では、このICM アルゴリズムは、MRFモデルにもノイズパラメータにも影響を受けない。この性質を 利用して、(a)画像モデルやノイズパラメータのすべてを予め知っておく必要は無い 、(b)完全並列に実装化することが出来る。このアルゴリズムの有効性を示すために 、劣化した手書きの画像と劣化合成画像に適用した結果を示してある。

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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.2


マルチエッジ検出について
On Multi-Edge Detection

Jun Shen

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.2, March pp.101-114, 1996

今までのほとんどのエッジ検出研究は古典的なノイズのある単エッジモデルに基づい ていた。本論文ではノイズのあるマルチエッジ検出について述べる。基本的なノイズ のあるマルチエッジ検出モデルを紹介した後、2つの定常的な確率過程にホワイトノ イズが加算されたマルチエッジモデルを提案し、解析する。定常過程の線形フィルタ ー理論を利用することで、この場合の最適スムージングフィルターは、2つの無限の 大きさの対称的指数関数フィルター(ISEF)のカスケード(線形接続)となることを示 そう、そして、明快な解析的な解を与える。そして次に地肌のある画像のノイズのあ るマルチエッジ検出を解析し、この場合の最適スムージングフィルターが、やはりIS EFのカスケードで表せることを示す。もっと複雑な画像を解析するために、M個の、 ノイズのある定常過程の和で記述できる、「一般化されたノイズを含むマルチエッジ モデル」を提案する。従って、ノイズのあるマルチエッジは2次方向微分のゼロ交差 とか、最大勾配とか、あるいはラプラシアンのゼロ交差とかによって検出出来るが、 ただし、いつも最適フィルターを掛ける必要がある。このような、一般化されたノイ ズのあるマルチエッジ検出の組立が提案された。実験結果も報告されている。

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適応型カラー類別法による自動画像注釈法
Automatic Image Annotation Using Adaptive Color Classification

Eli Saber, A. Murat Tekalp, Reiner Eschbach, Keith Knox

Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 2, March pp115-126, 1996

我々は予め決められたキーワードによって、自動的に画像に注釈を付けるシステムに ついて述べる。これは、人間によって、多数の画素をN個の予め定められた分類付け をしてやる教師付き演算法に基づいている。各分類に属する画素の色成分の条件付き 分布は2次元ガウス関数で模式化することが出来る。ここに各分類の平均ベクトルと 共分散マトリクスは十分なトレーニング集合から得ることが出来る。続いて、画像に 適応する閾値によって判別分析を繰り返しながら、各画素が既に決定された分類の どれに属するかを決めて行く。このためには、汎用的な判別のための閾値が分類ごと に選定される。これには、最適な「真のポジティブな」効果と「にせのポジティブな」 効果を表す評価者の反応特徴(ROC=Receiver Operating Characteristics)曲線が、 トレーニング集団から決められる。そして個々の入力画像のヒストグラムのクラスタ ー分析によってこの閾値を適応させる新しい方法が取られる。もし、たまたまある 画素が2つ以上の分類に属すると判断された場合は、最大事後確率法によって、処理 される。これは、31のデモ画像に適用され、効率が改善された。

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画像処理:曲率が最大・最小点での形状曲線のフローとその平均曲率
Image Processing:Flows under Min/Max Curvature and Mean Curvature

R.Malladi, J.A.Sethian

Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 2, March pp127-141, 1996

この論文は画像のノイズ除去および強調に適したPDE-に基づくアルゴリズムの組を紹介 する。この技術はごま塩ノイズに有効なばかりでなく、白黒画像、中間調画像、テクス チャー画像、あるいはカラー画像中の画像全体に渡るような連続調ノイズにも有効であ る。この核となる技術は2つの基本的アイデアに基づいている。まず第1に前進する曲 線群に対するレベル設定の定式化がある;等輝度輪郭線の曲率に基づいて輪郭線のフロ ー(輪郭線を自分自身に垂直に動かす)はノイズを除去したり、画像を強調することが 知られている。第2に、曲率フローの制御の例を示せば、適当な大きさの最大・最小ス イッチ窓を設定し、この窓のサイズに応じてノイズ除去の範囲を選定することによって この曲率フローが制御されること。我々の方法は次のようないくつかの利点がある。第 1に画質強調のパラメータが1つだけであり、多くの場合自動的に設定される。第2に この方法は、スイッチの窓サイズに依存した「ある点」で自動的にスムージングをスト ップする。これを連続的に適用する場合にもパラメータを変更する必要はない。第3に、 この方法は曲率を利用する最も速い手法である。

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デジタル化された絵画の幾何学的補正
Geometric Correction of Digitized Art

G. F. McLean

Graphical Model and Image Processing; Vol.58, No2, March, pp.142-154

絵画のデジタル画像データベースの開発には、走査されて電子化されるため の多量の絵画写真が必要である。これら走査された画像には、対称美術品の設置ミス に起因する投影の変形を含んでいるだけでおり、平面上の対応する4点の投影変換に よって補正することが可能である。この論文では、低解像度画像の全体的な解析に基 づき、高解像画像上で美術品の4つのコーナー点を同定させて補正する方法が述べら れている。低解像画像上で、直線方程式、コーナーの場所、凸4辺形点などを構成す る特徴点の階層構造が作られた。4辺形は美術品の外形を見つけるための解析に使わ れ、その中で選択された4辺形から4つの頂点の位置が、歪んだ高解像美術品画像か ら座標抽出された。ここで4つのコーナーの正確な位置が決定された。この手法はNo rthwest Coast Native Artのいろいろな美術品に適用出来ることが示されている。た とえ、大きな美術品であっても、低解像画像上で全体的な特徴点を定義し、これに対 応する高解像画像で正確な位置を同定させることができる。

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スパーズで、不透明な3次元テクスチャー
Sparse, Opaque Three-Dimensional Texture

Adlai Waksman and Azriel Rosenfeld AUBLICATION: Vol.58, No.2, March, pp.155-163, 1996

この論文は不透明で小円板(texelと呼んでいる)が、与えられた空間に均一に分布 している3次元的テクスチャーについて考察している。このようなテクスチャーを遠 方から見たとき(正射投影)、ある厚さの空間を見通すことが出来るかどうかの確率 は、texelの分布密度とその面積および面の傾き(視角方位から、法線が傾く割合) の分布だけに依存しており、texelの形や傾きの方位には依存しない。我々はtexelの いろいろな方位モデルに対応する確率を評価した。例えば、均一分布、平行texel、 しおれたtexel、標準的な木の葉をtexelに置き換えたモデルなど。円盤が落下すると 言う現実のモデルでは、texelの分布はほぼ均一な分布と見なせることが解った。従 って、吹雪のモデルでは、この均一モデルと見なすことが出来る。

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不連続変換による曲線変形の構造的モデル
A Structural Model of Curve Deformation by Discontinous Transformations

Hirobumi Nishida

Graphical Models and Image Processing; Vol. 58, No. 2, March 1996, pp. 164-179

Keywords: curves, image transformation, shape analysis, shape model, structural description.

形状解析・記述において、 不連続変換によって生じる構造変形は取り扱いの難しい問題である。 構造記述は形の位相的構造に依存するため、 形のトポロジーを変えてしまうような不連続変換には敏感である。 その難しさのために、不連続変換によって生じる構造変形の解析・モデル化の 体系的研究はほとんど行なわれていない。 本論文では、困難を打開する第一歩として、 量子化方向特徴を取り入れた凹凸特徴による形状記述をもとにして、 共通して見られるある種の不連続変形による曲線の構造変形に対する、 完全で、体系的な解析を与える。 解析によって得られる変換規則は、 取り扱い可能な少数の異なった場合に分類される。 その解析を、データからのクラス記述の自動構築へ応用する。 解析の実際的な効果を示すために、 現実の標準データセットを用いた自由手書き文字認識の実験結果を示す。 少数のプロトタイプ(通常、一文字につき一つのクラス)を用いて、 様々な変形した文字に対して、高い認識精度が得られた。 また、解析の他の応用例として、 クラス記述からの可能な構造記述の導出、 クラス間の衝突状況の調べ挙げについて述べる。


もう一つのアダプティブなヒストグラム均一化法
An Alternative Algorithm for Adaptive Histogram Equalization

J.A. Stark and W.J.Fitzgerald

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.2, March, pp.180-185, 1996

適応的(アダプティブ)なヒストグラム均一化法は、画像のコントラストを改善する 方法として確立した技術となっている。この論文では、もう一つのヒストグラム均一 化法を試みる。実装化について述べられている。このアルゴリズムには、1組の画像 領域にフィルターを施すことも含まれており、このフィルタリングの潜在的能力を、 わざと劣化した画像に施すことで、画質の復元度合によって評価する。こうすること で、代替のアルゴリズムが効果的であるかが見られるとともに、標準的なアルゴリズ ムに比べてどのくらい改善されるかを推測させる構成と成っている。

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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.3


オブジェクト認識とマッチングのための多次元共起マトリクス
Multidimensional Co-occurrence Matrices for Object Recognition and Matching

Vassili Kovalev and Maria Petrou

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.187-197, 1996

オブジェクト認識とマッチングについての新規な方法を述べる。この方法は、与えら れた正および負の事例からなるトレーニング集合を使って、そのオブジェクトを特徴 付ける特徴を自動的に探索することが基礎となっている。基本的な画像の構造を記述 、表現するために特別な多次元共起マトリクスが使われている。特徴量はこのマトリ クスの要素から抽出され、またこれら基本構造の相対量によって定量化されている。 つまり、特徴量はこれら要素の商である。これらの類を明瞭に識別する特徴量だけが 利用されている。この方法はいろいろな応用に対して事例が示されており、テクスチ ャー認識、テクスチャー検出、形状認識の一般化問題に該当する。

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Waveletによる曲線と曲面の多重解像度表現
Wavelet Multiresolution Representation of Curves and Surfaces

L.-M. Reissell

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.198-217, 1996

パラメータ表現した曲線や曲面をウェーブレット(wavelet)によって多重解像度表現 する方法を開発した。この表現を助けるため、補間スケーリング関数(interpolating scaling functions)によってコンパクトサポートな対称双直交ウェーブレット(compa ctly supported symmetrical bi-orthogonal wavelet)を構築した。この双直交ウェ ーブレット対は、通常のフィルターより曲線や曲面に適した性質を持っている。更に 、このウェーブレットによる方法の応用例を示す:ウェーブレット圧縮を使ってコン パクトな階層的な曲線や曲面表現の導出、曲面の滑らかな部分の同定、ディスクリー トな平面曲線の再分割アルゴリズムなど。

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ベジエ曲面の一般化再分割法
Generalized Subdivision of Bezier Surfaces

Shi-Min Hu, Guo-Zhao Wang, Tong-Guang Jin

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.218-222

本論文では、方形のベジエ曲面を再分割する方法が、一般化されて、次数 n×m の方 形ベジエ曲面パッチが、次数 n×(m+n) の2つの方形ベジエ曲面パッチに再分割さ れ、ベジエ曲面のパラメータ領域は2つの台形に分割される。応用の1つとして、方 形ベジエ曲面を3角形ベジエ曲面に変換する方法が示されている。

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ノット(頂点)位置とコード(辺)長の計測からの多角形をトモグラフィー的再生
Tomographic Reconstruction of Polygons from Knot Location and Chord Length Measurements

Lori Belicastro, William Karl, Alan Willsky

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.233-245, 1966

平面上の多角形をある方向から投影したとき、そのノット(頂点)の位置、コード( 辺)の長さを計測し、このデータからもとの多角形を再構成する、いわゆるトモグラ フィー的手法についての論文である。従来、このような投影データからの再生には非 線形推測問題を解く必要があった。このような非線形性を避けるために、投影方向に よって突然変化するノット位置測定から再構成する方法を調べた。この問題と、多数 の標的をレーダーで追跡する問題の関連から、個々の線形推測問題を「仮定ーテスト 」の連続問題に置き換えたアルゴリズムを開発することが出来た。特に逆問題が線形 となる、「データ組合せ仮定」が作られた。実験の結果、これはノイズに対しても安 定で、良い結果を示すことが解った。

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ファジー連結性とオブジェクトの定義:その理論、アルゴリズムおよび画像の 領域分割への応用について
Fuzzy Connectedness and Object Definition:Theory, Algorithms, and Applications in Image Segmentation

J.K.Udupa and S. Samarasekera

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.246-261, 1996

画像はそれ自体が曖昧(ファジー)である。画像から対象物に関する情報を抽出しよ うとする場合、この事実を利用すべきであり、できる限り曖昧さを保持しておくべき である。過去における画像の領域分割研究において、曖昧さの関連性で特徴付けられ る、画像要素を「未決定のまま保留しておく」扱いが欠けていた。ここでは、画像 要素のファジー連結性をベースにn次元デジタル空間でのファジーオブジェクトの理 論を示す。この定義は、膨大な組合せ数増大問題を引き起こすが、理論的な結論によ れば、この数を格段に減少させることが出来、ファジーオブジェクト認識を実用的な アルゴリズムへとすることが出来る。特定のファジーオブジェクトを抽出し、対象画 像中のすべてのファジーオブジェクトを同定するアルゴリズムについて述べる。また 、この理論とアルゴリズムを医用画像の領域分割に適用し、その有用性を確かめた。

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コーナー記述子の補強
Augmenting Corner Descriptors

Paul L. Rosin

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.3, May, pp.286-294, 1996

多くの中間調コーナー検出子が失敗するのは、これが、コーナーの強度以外の属性を 抽出出来ないことに原因がある。この論文では、今まで以上のコーナーの属性(例え ば、色、方位、外接角、コントラスト)を決定する、いくつかの後処理手法を紹介す る。コーナーマッチング処理には、この付加情報を使わなければ曖昧な関連しか得ら れず、その結果ある基準では合致しないようなコーナーを消去するような場合を防ぐ ことが出来る。

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3次ベジエ曲線による曲線のフィッティング
Curve Fitting with Bezier Cubics

Lejun Shao, Hao Zhou

Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 3, May pp223-232, 1996

この論文では新しい曲線のフィッティングアルゴリズムについて述べる。本アルゴリズム は与えられたデータ集合に、1つ1つ、幾何学的連続(G1)3次ベジエ曲線を自動的にフィッ ティングさせる。これは、2つのステップから成っている。最初のステップでは、与えら れたデータ集合の重要点が認識され、さらにこれがコーナーか接続点かに分類される。曲 線フィッティングは第2ステップで行われる。最適な1つ1つのベジエ曲線は、重み付き 最小二乗法によって作られる。その結果出来たベジエ曲線片はすべての接続点で滑らかに 連結されている。この手法を多くのディジタル画像に適用した結果、良い結果が得られた。

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透視カメラ制御の新しい方法
A New Approach to Throught-the-Lens Camera Control

Min-Ho Kyung, Myung-Soo Kim, Sung Je Hong

Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 3, May pp262-285, 1996

最初にM. GleicherとA.Witkin(comput. Graphics 26(2),1992, 331-340)によって提案さ れた透視カメラの制御技術は、3Dコンピュータグラフィックスや非線形投影像変換 での疑似カメラ制御のための強力なユーザーインターフェースを提供した。この技術は非 線形の局所的な逆投影を利用している。しかし、m個の画像制御点を与えられたとき、ヤ コビ行列は、はなはだ複雑な2m×8 の行列になる。さらに、ヤコビ行列は、そのランク が高々7であるため、常に、少なくとも1つの冗長な列を持つことになる。m≧4 の過剰 に制約された条件では、2m×2m正方行列は、高々ランクが7であるから、ラグランジェ 方程式は常に特異性を持つ。このようなすべての複雑さの原因は、カメラの回転を表す、 単位四元数(quaternions) (qw, qx, qy, qz)∈S^3 のqw^2 + qx^2 + qy^2 + qz^2 = 1 の条件を取り除くことにある。本論文では、この問題を被写体追跡問題と解釈し、条件 付き非線形逆問題として定式化しよう。こうすると、問題は疑似カメラの構成空間に定義 されたtangent ベクトル場 を積分することによって解くことができる。ヤコビ行列を行 と列を重み付きで扱う方法は、最小二乗法と関連するベクトル場で解くには望ましい方法 である。単位四元数空間S^3 リー群の構造は、単純な2m×7のヤコビ行列に導くことが 出来る。その結果、計算時間が短くなるだけでなく、解が安定する。m≧4 の過剰に制約 された条件では、ヤコビ行列方程式は、効率的な投影法を使ってO(m)の時間的複雑さで 解くことが出来る。

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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.4


並列多値化処理のための閾値設定関数の比較
Candidate Functions for a Parallel Multi-level Thresholding Technique

L.Hayat, M.Fleury, And A.F.Clark

Graphica Models and Image Processing, Vol.58, No.4, pp.360-381, 1996

閾値を自動的に設定するための種々の関数を、実際に得られる閾値によって比較する。 全ての対象となる関数は、 しらみつぶし(exhaustive search) をふくむ新しい並列処理に適したものであり、 計算上のオーバーヘッドも考慮されている。 全体の画素値ヒストグラムから n 個のモードをみつけるための前処理についても 詳しく解説される。 ファジーエントロピー閾値法も比較に含まれる。

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ジョルダン グラフ
Jordan Graphs

Ron Aharoni, Gabor T. Herman, Martin Loebl

Graphical Models and Image Processing; Vol.58, No.4, pp.345-359, 1996

ディジタルトポロジーの初期においては、平面を0と1からなる矩形の画素で覆 い尽くすことに専念してきた。このような取扱に於て、ある種のパラドックスを 回避するためには、隣接する画素以外の隣接関係も考慮する必要があることが 急速に解ってきた。従来行われていた方法は、1に隣接する方法と、0に隣接す る 方法の2通りの方法を利用する事である。この、数学的に厳密な取扱いが可能 であるが、このディジタル空間を1つの隣接関係だけで記述することは、実用上 魅力的である。これによって数学的結論がよりエレガントになるばかりでなく、 古典的グラフ理論に近付き、グラフ理論の膨大な資産を利用できる。これが我々 が新しいコンセプトを探索する動機である。ジョルダン曲線は内側と外側の領域 があり、これは曲線上の点以外の全ての点を含んでおり、両者はともに連続領域 であるが、お互いは非連結である。この考えを、ディジタル空間の表面へ一般化 することは、表示(外側だけが見える)や、解析(内部の体積が定義される)の ために有用である。ディジタル空間の境界はジョルダン性があるとは限らないが、 我々が「強いジョルダングラフ」と呼ぶ空間ではジョルダン性が保証されている。 本論文では、強いジョルダングラフを定義する。以前研究されたクラス(例えば、 1-単純接続ディジタル空間(正方格子の4連結)と架橋グラフ(正方格子の斜め 方向連結))は強いジョルダングラフのサブクラスである。有限境界がジョルダ ン であることが保証されたディジタル空間であるようなジョルダングラフを定義し、 強いジョルダングラフでないジョルダングラフが存在することを示そう。(強い) ジョルダングラフは、付随するグラフに「カット」が存在するとともに、ある種 の表面のすぐ内側(あるいは外側)に接続していることが特徴である。(Ej)

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画像処理への応用を伴った離散Fractionalブラウン運動の合成について
On Synthesizing Discrete Fractional Brownian Motion with Applications to Image Processing

W.M.Krueger, S.D.Jost, K.Rossi, and U.Axen

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.4, July, pp.334-343, 1996

この論文では、「候補dfBmは、正しい2階統計量を持つか? 候補dfBmは、 正しいフラクタル次元を持つか?」という疑問に関して、標本fBm、置換補間、 スペクトル合成、Karhunen-Loeveライクなウエーブレット展開の4つの離散 fractionalブラウン運動(dfBm)の合成方法について評価する。 フラクタル次元を評価するために、我々はスペクトル線形回帰、多解像度エネ ルギー分析、最尤推定を適用した。 合成データに関する評価ルーチンを走らせると、「評価方法の仮定は、様々な 試みの結果を生み出す合成方法の仮定とどのように相互作用しているか?」と いう、最後の疑問が起きる。我々の結論はこれらの疑問と関係がある。 (1)標本fBmは、正しい2階統計量を持つ4つの方法の中の1つであるが、スペ クトル合成は定常信号を生み出す。 (2)標本fBm、置換補間、スペクトル合成によって生成される信号のフラクタル 次元は、合理的正確さを持って評価されうる。一方、ウエーブレット信号はH の入力値に対してわずかに感知できるだけである。 (3)合成ルーチンではなされなかった仮定をおいている分析ルーチンは、一般 にはHの悪い推定しか与えないが、仮定の一致するところはどこでも良い推定 を生み出している。

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指向性移動平均補間を用いたテクスチャーマッピング
Directional Moving Averaging Interpolation for Texture Mapping

Chung-Lin Huang and Kou-Chang Chen

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.4, July, pp.301-313, 1996

Keywords: Texture Mapping, Interpolation

テクスチャーマッピングにおいて,テクスチャーに前置フィルタを施すことを 許す幾つかのフィルター技術が提案されている.形状可変のフィルターカーネ ルはそのパフォーマンスにおいて,形状不変のそれより優れていることが実証 されている.しかしながら,従来の形状可変のフィルタは,そのフィルタリン グ領域がゆがみに基づいているが,テクスチャー空間において微細な領域が多 い部分と少ない部分とで同じカーネルを使用している.本論文では, 画像内容 に基づいた形状可変の指向性フィルタ概念に基づいたハイブリッド補間フィル タ方法を提案し,テクスチャーマッピングに適用する.最初に,テクスチャー 空間の局所画像領域を三つのタイプのブロック:定常,指向性,不規則 に分 類する.第二に,定常ブロックと指向性ブロックに対して,それぞれ局所平均 フィルタと楕円型平均(EWA)フィルタを用いる.第三に,指向性ブロックに対 しては新しいフィルタ方法を提案する.それを楕円型適応指向性移動平均 (EWADMA)フィルタと名付ける.実験では,歪みのある画像を復元することにお いて,我々の方法が主観評価でより良い結果が得られた.

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画像の多重分解解析のためのガウスピラミッドウェーブレット変換
Gaussian Pyramid Wavelet Transform for Multiresolution Analysis of Images

H.Olkkonen and P.Pesola

Graphical Models and Image Processing Vol.58, No.4, July, pp.394-398, 1996

Keywords: Wavelet, Multiresolution Analysis

ピラミッドデータ構造による画像の多重分解解析は、さまざまな画像処理分野 において重要なツールとなりつつある。 本研究では、多重分解画像の解析のためのガウスピラミッドウェーブレットを 紹介する。 我々はオリジナルのガウスピラミッドを少し修正することで、完全再建特性に よった ガウスピラミッド減少と拡大操作を持つ分解アルゴリズムが与えられ ることを示す。 この方法は2D,3D画像、そして動く2D物体の多重分解表現、例えば画像符号化 、圧縮、進歩的な画像伝達、および改ざんに応用できる。

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リップシッツ関数の外挿による画像中のシェーディング打切り効果の生成
Generation of Shading-Off in Images by Extrapolation of Lipschitz Functions

Patrick Moreau, Christian Ronse

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.4, July, pp.314-333, 1996

コンピュータグラフィックスにおいて、陰影、影、もや、地肌などは、いくつかの参 照点から出発して、「徐々に消えて行くシェーディング効果」画像の輝度変化や色彩 変化が必要となる(滑らかな変化)。これは数学的には、局所的に定義される滑らか に変化する数値関数でモデル化される。リップシッツ条件は関数が滑らかに変化する のを表すのに適している。更に、これはユークリッド空間と離散空間の両方で定義で きるという利点も持っている。本論文では距離空間Eで定義されるリップシッツ関数 集合の構造に付いて復習し、次にEの部分空間S上で定義されたのリップシッツ連続な 関数を外挿によってE上まで定義域を拡張する方法を調べる。そのための2つの手法が考 察された:第1の方法は数学的モロフォロジーからの演算、特に距離変換を利用する 方法;平均水平法と呼ばれる第2の方法は、ある与えられた点と参照点の平均勾配は 一定でなければならない。抽象的理論が、計算機合成画像の滑らかに変化するシェー ディングが中間調やカラー画像に適用された具体例とともに示されている。

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3Dの6-部分反復(6-subiteration)細線化アルゴリズムの連結性保存性
Connectivity Preservation of 3D 6-Subiteration Thinning Algorithms

C. Min Ma

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.4, July, pp.382-386, 1996

細線化とは対象を1層1層侵食して行き最後に骨組みだけが残るようにする処理のこ とである。細線化アルゴリズムは連結性を保存しなければならない;つまり、どんな 対象物も、その骨組みと同じ連結構造を持っていなければならない。本論文は3Dの 6-部分反復(6-subiteration)細線化アルゴリズムの連結性保存に関する。第1の目 的は、どんな3Dの6-部分反復並列細線化アルゴリズムでも連結性保存を保証され る十分条件を提案することである。この十分条件をもってしても、3Dの6-部分反 復細線化アルゴリズムの連結健全性を証明することは容易ではない。第2の目的は、 上記十分条件を計算するための方法を提案することである。どんな3Dの6-部分反 復細線化アルゴリズムもこの計算手順をパスしさえすれば、連結性が保証される。

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リアルタイム観察立体表示のための新しい技術
A new Technique for Interactive Volumetric Display

Dominique Astruc ,Jean-Regis Angeilella and Alain Vincent

Graphical Model and Image Proessing; Vol.58, No.4, July, pp.387-393, 1996

非常に大きな(コアを越えた)3次元で時間と共に変化するデータセットのリ アルタイム観察の探索に対する新しい技術が提案される。 その思想は、現実に観察者の目に見えるデータの部分(以下COV)だけを処理 するというものである。 この技術は無視できるオーバーヘッドをもつ COV の内部に横たわるデータを 計算する「リアルタイム」データクリッピングアルゴリズムを含む。 COV アプローチを用いることにより、シーンを描写するのに要求される時間は、 データの集合のサイズに独立となる。 そして、COV の内部に横たわるデータのみが、コンピュータのメインメモリに 存在するので、我々は、任意に大きなサイズで時間の情報を含むデータセット を探索を可能にするため、新しいデータ構造と新しいメモリマネージメント技 術を紹介する。 なお、全体的な有効性の実測データ(任意に256分解した直接的数値シミュレー ションからのスカラーデータセット)が与えられている。

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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.5


SpotIt! インタラクティブモンタージュシステム
SpotIt! An Interactive Identikit System

R. Brunelli and O. Mich

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, pp.399-404, September, 1996.

本論文では,大規模顔写真検索データベースおよび写真並の画質をもったモン タージュ生成システムについて述べる.次の二つの機能が相互に関連づけられ ている:有効なデータベースにより,モンタージュを作る利用者には直接のフィー ドバックが与えられる.そして,モンタージュ自身が画像データベースへのア クセスキーとして利用できる.SpotIt! は,適切なコンテクスト,特徴データ ベースへの統語論的アクセスと結合したインタラクティブな全体論的特徴修正, および作成されたモンタージュに最も適合する顔写真を常に示すシステムの実 時間フィードバックを実現する顔の類似度の定量的自動計算により効率的に検 索されうる事実上無限の二者択一の特徴セットを有する.

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なぜR.G.B.か? またいかにしてMartianのためのカラー表示をデザインするの か? 楕円の適合誤り関数評価
Why R.G.B.? Or How to Design Color Displays for Martians Assessing Error of Fit Functions for Ellipses

P.Golland, M.Bruckstein Paul L.Rosin

Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 5, September, pp405-412, 1996
Graphical Model and Image Processing; vol.58, No. 5, September, pp494-502, 1996

本論文では、カラー認知のため与えられたモデル下におけるカラー再現のため の最適な基底を見い出す問題を扱う。我々はカラー基底最適化のための数学的 な骨組みを提案する。我々はカラー主成分と、人間視覚システムを含むさまざ まな認識モデルとの2つの異なる”優秀さ”の基準についての問題を解決する。 我々は特別な意図表示のデザインのために、新たに追加した優秀さ基準をもあ わせて提案する。

楕円の最小平方適合のために、これまで様々な適合誤り(EOF)関数は提案され てきた。我々はそれらEOFの適合性を評価するための4つの基準、線形性の数 量化、湾曲傾向、アシンメトリーそして総体的な長所について述べる。これら の基準により、個々のEOF関数によるメリットのより深い知識獲得が可能にな る。

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自然地形のフラクタルモデリング:起伏のあるデータの分析と表面の再構成
Fractal Modeling of Natural Terrain:Analysis and Surface Recostruction with Range data

Kenichi Arakawa and Eric Krotkov

Graphical Model and Image Proessing; Vol.58, No.5, September, pp.413-436, 1996

この報告書では、我々はフラクタル幾何学を用いて自然地形をモデリングする にあたり2つの問題を扱う。フラクタル次元の評価とフラクタル表面の再構成 である。 フラクタル次元の評価において、我々は抽出されたデータが不規則である場合 に適応させるため、ブラウン関数でのアプローチを拡張する。そして、ある特 定のスケールのみで自己相似性を示す点群を切り出す方法を開発する。 フラクタル表面再構成に対し、我々は、フラクタル次元に依存する温度パラメー タ(起伏のはげしい自然地形をより忠実に再構成するための追加パラメータ) を利用するために、従来のフラクタル手法をもつ Szelishki の規則化を拡張 する。 我々は、自然地形をノイズで真似た起伏形状に対する評価と再構成を実例によ り説明する。

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3次元CGモデル生成のための反射特性分析
Reflectance Analysis for 3D Computer Graphics Model Generation

Yoichi Sato and Katsushi Ikeuchi

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, September, pp.487-451, 1996, Article No.0036

実在する3次元物体のリアルな画像を合成するためには、 その形状と同時に物体表面の反射特性を測定する必要がある。 本論文では、対象物体の測定により 物理的に正確な反射特性を持った3次元物体モデルを作成する方法を述べる。 本手法は以下の3つのステップからなる。 まず照明と観測方向を固定したまま対象物を回転台上で回転させ、 一連の距離画像およびカラー画像を撮影する。 この複数の距離画像を統合し、三角片の集合として物体の形状を復元する。 次に複数のカラー画像の画素値を復元された物体表面に投影し、 拡散反射および正反射成分を分離する。 最後に、これらの反射成分から Lambertian 反射モデルおよび 単純化した Torrance-Sparrow 反射モデルのパラメータを求める。 本論文では、対象物体の任意の照明条件での合成画像を示し、 本手法の有効性を確認している。

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指数関数族オートモデル( Auto Model)における予期出来ない空間パターン
Unexpected Spatial Patterns in Exponential Family Auto Models

R.G.Aykroyd, J.G.B Haigh, S. Zimeras

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, 1996, pp.452-463

マルコフ確率場に基づくモデルは今や空間的プロセスのモデルとして広く利用さ れている。この様なモデルの統計的な解析にとっての鍵になる要素は、元の分布 の適切なモデルと、このモデルを表現するパラメータの適切な選択である。本論 文では、正方格子の1次モデル(隣接画素によって注目画素の状態が確率的に表 現できる)で記述できるオート(auto)モデルの空間的な振舞いについて調べてみ るが、正方格子の2次隣接系と6方格子の1次隣接系についても考察する。オー トモデルの振舞いをエミュレートし、空間モデルに対して予測可能と思われる1 変数再帰系に基づく決定論的モデルを示す。パラメータ空間の定義された領域に 対して、この再帰系は不安定でカタストロフィックで2相状態の振舞いに陥る 。この不安定は対応する空間モデルの構造変化に一致し、再帰系との臨界境界は 空間モデルに一致する。可能な各種モデルを可視的に表現し、単純な再帰系を使っ て予測を強化するために、Gibbsサンプラーを利用する。

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液体のリアルなアニメーション
Realistic Animation of Liquids

Nick Foster, Dimitri Metaxas

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, 1996, pp.471-483

我々は現実的な液体現象を画像化するための包括的手段を紹介する。この手法は 既存の液体シミュレーションのコンピュータグラフィックス技術を統合化すると 共により複雑な挙動にまで拡張している。これは、モーメントと質量保存則によっ て完全に流れを記述できるNavier-Stokes方程式に基礎を置いている。我々の始点 は、任意の流れ分布を有する場であり、その中に沈んだ対象物を含んでいる。こ の環境内部の全ての点で速度と圧力が定義されており、有限個の差分方程式によっ て逐次更新される。その結果得られるベクトルとスカラー場は、液体表面を表す 高さ方向の場の方程式を導くのに使われる。環境内部の障害物と自由変数の性質 によって、以前のコンピュータグラフィックスでは不可能であった広範囲 の効果をシミュレーションすることが可能になる。反射、屈折、分散のみならず、 渦巻、波の跳ね上がり、といった回転効果を持つ波の効果を、この系の解として 自然に求められる。更に、ラグランジェ運動方程式を使うことによって、アニメー ション画像中に、浮きのダイナミックな動きを見せ、水しぶきや泡の位置を追跡 出来る。

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チェーンコードとその曲線デザインへの応用
Chain Codes and Their Application in Curve Design

Huub van de Wetering and Kees van Overveld

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, 1996, pp.464-470

チェーンコードの概念に基づいた離散的な曲線の表現方法を定義する。 曲線のパラメータ化は、例えば、その曲線がコンピュータアニメーションの動 作方向を詳述するのに適切な表現方法の一部でもある。 曲線の生成と操作の両方に対するアルゴリズムを定義した。

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三次元モデルの構築のための2段階動的変形
Two-Stage Dynamic Deformation for Construction of 3D Models

S.W.Chen, G.Stockman, C.Y.Dai and C.P.Chuang

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.5, pp.484-493, September, 1996.

本論文では、粗く不規則なサンプリング点から3次元モデルを構築する方法に ついて述べる.この方法は,難しいデータ特性にもかかわらず理想的な性質の メッシュをつくることができる,2段階動的変形処理を用いている.第1の段 階では,バネでできたメッシュをデータの凸面にぴったり張りつけ,第2の段 階では,疑似重力モデルを用いて,メッシュ点を凹部の面に引きつける.この モデル化手法は,動的なモデル化方法に新しく貢献することができる.この処 理方法は望ましくない過剰な平滑化,局所的な集中,データサンプルの粗さや 不規則さの結果である褶曲を減少させる.実験によって,提案した変形処理は, モデルを構成する部分平面の形と大きさの一様性をある程度保存することがわ かった.さらに,このモデル化処理は,入力データをあらかじめ分割しておか なくても,突出した凹部をもつ表面にもフィットできる.

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Graphical Models and Image Processing (Academic Press) Vol.58, No.6


3次元線行進アルゴリズム
The 3D Marching Lines Algorithm

Jean-Philippe Thirion and Alexis Gourdon

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.6, pp.503-509, November, 1996.

本論文は、3次元画像からその特性曲線を求めるための 一般的なツールを提供するものである。 線行進(Marching Lines)と名付けた本アルゴリズムは、 立方体行進(Marching Cubes) アルゴリズムのような 等輝度面処理技術から示唆されたものであり、 2つの等輝度面の交線となる3次元曲線を画素以下の精度で求めることができる。 本アルゴリズムで得られる曲線は、断片線分が連結した形をしており、 曲線が対象領域に完全に含まれる場合は閉じている、 自身と交わることは無い、方向を持つ、などの特徴が保証されている。 中心となるアイデアは、等輝度面を陰関数の解(f = 0)ではなく、 境界(f ≧ 0, f < 0)と定義することである。 特異点の問題はオフセットにより回避する。 合成データに対する処理結果と3次元医療画像への応用が示されている。

Ao

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3D画像の知識により導出される分類
Knowledge-Guided Segmentation of 3D Imagery

Norberto Ezquerra

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.6, pp.510-523, November, 1996.

本論文は,計算機を用いて離散三次元(3D)画像から3D構造を位置決めし, ラベル付けし,分離するための,効率がよくロバストな手法を示している.強 調したい部分は,解像度が低く,ノイズがあり,誤りを起こすような離散的な 3次元データセットの中に存在する対象の,凸面の単独に接続された3D構造 を抽出するところにある.特に, 我々は断層撮影された人工物(ファントム) の分類や,3D放射線心臓画像から得られる心筋の塊の分類に焦点を当ててい る.本手法の顕著な特徴は,分類の過程が完全に自動化されており,対象の体 積が,曖昧さや構造的に不完全なところが原画像にある場合でさえも分離しラ ベル付けすることができるところにある.ここで示される手法は,知識によっ て導出される方法と見なすことができる.それは,反復法であり,自己修正が できる.また,質・量ともに常により正確な方向に向かう洗練された分類解法 と考えることができる.本手法は高度に結合した方法で,画像解析技術を形態 学的で,知識に基づいた,モデルに基づいた分類の操作と結び付ける.後の考 察で,我々は本手法の基礎となる数学とアルゴリズムの詳細を十分に記述する. また,多大な量の実験研究への応用から得られる結果について考察する.

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平らな交差部からの任意のトポロジー形状再構築
Arbitrary Topology Shape Reconstruction from Planar Cross Sections

CHANDRAJIT L. BAJAJ and EDWARD J. COYLE AND KWUN-NAN LIN

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.6, pp.524-543, November, 1996.

コンピュータを用いた断層写真、磁気共鳴画像、超音波画像において、 画像処理システムによって得られる2次元スカラー値断面からの3次元 物体の再構築は、2次元断面の大きな間隔が困難にしている。 言い換えると、断面に対して直交方向のサンプリング不足が、対応問題、 タイリング問題として知られる2つの問題を引き起こしている。 第3の問題は、分岐問題として知られており、アプリケーションによって 映される物体の構造のために生じる。現存する再構築アルゴリズムでは、 これらの問題のうち1つか2つについて言及しているのが典型的であるが、 我々はこの論文において、これら3つの問題を同時に扱う。 これは、再構築された表面に3つの制約を課して、これらの制約から 正確な対応とタイルの規則を得ることによって達成される。 制約は、これらの規則によってタイル化された領域が物理的な概念に 従って、自然な外観を持つことを保証する。 1つあるいはそれ以上の制約を断切らないで、これらの規則によって タイル化できない領域は、中央軸(エッジVoronoi図)でタイル化される。 我々の、上記のアプローチのインプリメンテーションは、輪郭データの セットあるいは断面画像を入力として、3次元等高面の三角形を生成する。 合成データと実際の医療データで得られた結果を示す。 我々の新しいアプローチが、歪みを生成する場合はまだあるが、他の タイリングのアプローチで歪みが起きる場合と比べるとはるかに少ない。

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有理線織曲面とそれらのオフセット
Rational Ruled Surfaces and Their Offsets

HELMUT POTTMANN AND WEI LU AND BAHRAM RAVANI

Graphical Model and Image Proessing; Vol.58, No.6, November, pp.544-552, 1996

本論文では、有理線織曲面の幾何学的設計について考える。線の幾何学的制御構 造とその標準的なテンソル積 B-spline 表現との関連、線空間の Klein モデルの 利用、そして、幾何学的処理のアルゴリズムについて調べる。本論文の主な点は、 有理線織曲面の古典的、そして、「循環的」の両方のオフセットにある。これら の曲面は、数値制御粉砕 (NC milling) で生じる。可展曲面と、循環するオフセッ トに対して、錐状線織曲面を除き、両方のオフセットタイプの有理線織曲面が有 理的であることを示す。とりわけ、有理4次曲面であるようなの単純なツールパ スについて述べる。

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人工物体の変形のための階層的2-Dメッシュモデルを用いた運動と輝度変化の 追跡
Tracking Motion and Intensity Variations Using Hierarchical 2-D Mesh Modeling for Synthetic Object Transfiguration

Candemir Toklu, A.Tanji Erdem, M.Ibrahim Sezan, A.Murat Tekalp

Graphical Model and Image Processing Vol.58, No. 6, November, pp.553-573, 1996

階層的な2-Dメッシュモデルを利用した多少の変形が可能な2-D画像の物体の動 きと輝度変化の追跡方法を提案する。 本手法は合成オブジェクトの変形に適用される。すなわち実際のビデオ・クリッ プのオブジェクトを別の合成物,あるいはデジタル処理後の自然オブジェクト に置き換える。 オブジェクトを首尾よく変形するためには、置き換えられるオブジェクト (object-to-be-replaced)の動きと強度(コントラストおよび明るさ) バリエー ション両方の正確な追跡が必要であり、その置換えられるオブジェクトは、一 枚の静止映像から全く同じやり方で与えられる。 本手法は、平坦ではないおよび/または少々形が崩れた面をもつシーンオブジェ クトに対応するイメージ領域の追跡可能であり、強度バリエーションを説明で きる。また実画像分類においても効果的であることを明らかにする。

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中心軸変換の微分的,トポロジー的性質
Differential and Topological Properties of Medial Axis Transforms

E.C.Sherbrooke, N.M.Patrikalakis, and F.Wolter

Graphical Models and Image Processing, Vol.58, No.6, pp.574-592, November, 1996.

中心軸変換は,デザイン,問い合わせ(interrogation),アニメーション, 有限要素分割,性能解析,製造シミュレーション,路計画,許容誤差特定な の分野でよく用いられるオブジェクトの表現法である.本論文では,3次元 オブジェクトに対する中心軸変換の理論について述べる.区分的にC^2な 境界面をもつオブジェクトに対して,境界面の曲率と中心軸の位置との関係 が述べられる.区分的にC^2で完備でG^1な境界をもつR^nでのn次 元部分多様体に対して,変形牽縮(deformation retract)がオブジェクト と中心軸との間にセットされる.それは,もしオブジェクトが弧状連結( path connected)であるならば,中心軸もそうであることを示している.最 後に,空洞のない弧状連結な多面体は弧状連結な中心軸を持つことを照明す る.

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