セントロメアの機能を振り付ける (Choreographing centromere function)
細胞分裂の成功には、ほとんど完璧な忠実性で娘細胞への染色体の正確な分離を必要とする。この極めて重要な過程の中心にあるのは、紡錘体微小管への染色体セントロメアの付着である。DNA複製後には、セントロメアとその関連タンパク質複合体の適切な時期における再生が不可欠である。ContiたちとParasharaたちは、ポロ様キナーゼ1(PLK-1)が有糸分裂の終期にいかにしてこの過程を統合しているのかを明らかにしている。PLK-1はセントロメア領域のタンパク質群と複雑な相互作用を持ち、最初に関連タンパク質群をリン酸化し、次にそれ自身がそれらの部位と結合し、それにより、ヒストンH3様タンパク質CENP-Aとそのシャペロンタンパク質HJURPの動員を促進する立体構造変化を引き起こす。これらの結果は、セントロメア領域のタンパク質複合体が各細胞周期で1度、適時のやり方で、どのようにして堆積し、調節されるのかを説明するのを助けるものである。(MY,kh)
- セントロメア:細胞分裂期の染色体において一次狭窄(くびれ)を形成する領域。細胞分裂の際、この領域に特殊なタンパク質が堆積してタンパク質複合体(キネトコア)が形成され、このキネトコアが、細胞の両端の中心体から伸びてきた紡錘体微小管に付着する。
- ポロ様キナーゼ:細胞周期を調節するセリン/スレオニン・キナーゼで、有糸分裂の開始、終結、紡錘体の形成、細胞質分裂、減数分裂に関与する。活性を調節するpolo-boxと呼ばれるドメインを2個含んでいる。