真菌の養分を得るためのシグナル伝達 (Signaling for fungal nutrition)
多くの維管束植物は、その根にアーバスキュラー菌根(AM)菌との共生を作り上げる。この真菌は、共生している植物が提供する脂質の見返りに、リン酸塩などの養分を提供する。転写因子RAM1はAMとの共生に必要で、また、脂質の提供を調節する。IvanovとHarrisonは、植物が脂質の産生と真菌への輸送を制御するもう1つの機構を見出した。この系では、立証されているRAM1経路と並行して機能するとともに一緒に機能する2つのサイクリン依存性キナーゼ様タンパク質が関与する。この研究は、植物の栄養摂取と成長の基礎となる調節過程への洞察を与えるものである。(MY,kh)
- アーバスキュラー菌根菌:土壌中に普遍的に存在し、およそ80%の陸生植物と共生可能な糸状真菌で、植物の根の細胞の中にまで菌糸を伸ばして栄養物の交換を行う。土中に菌糸を張り巡らして植物の根圏を広げる。
- サイクリン依存性キナーゼ:サイクリンと結合することにより、細胞周期の進行を制御するタンパク質。