違いを維持する (Maintaining difference)
種はしばしばいくつかの生態型、つまり異なる生息地に住む形質の異なる個体群、を含んでいる。生態型は、それらの間にかなりの遺伝子流動があったとしても長期間にわたって存続することがあり、それは生態型がどのように長期間その局所適応表現型を維持しているのかという問題を提起する。Hagerたちは、シロアシネズミの森林型と草原型の生態型を定義する2つの特性、尾の長さと毛色の遺伝子的基礎を調べた。彼らは、森林型の生態型において、より赤い毛色とより長い尾に結び付く、大きな染色体逆位を見出した。モデル化は、この染色体逆位が何千世代も前に分岐選択の下で発生し、遺伝子流動にもかかわらず組換えを抑制することによって森林型の生態型に利益をもたらした可能性が高いことを示唆している。(Sk,MY,kj,kh)
- 遺伝子流動:異なる集団間の交雑による遺伝子の移動。
- 染色体逆位:ある1つの染色体に2か所の切断が起こりその断片が反対向きに再構成されてしまうこと。
- 分岐選択:有利な形質が環境で異なることによって、異なる形質の集団へと分岐が起きる選択のこと。