ヒトの小脳発生に対する詳細描写 (Close-up of human cerebellar development)
小脳発生は初期段階では、ヒト、ヒト以外の霊長類、それにマウスすら、それら全体に類似点を共有する。しかし発生が進行する間に、Haldipurたちによる細胞と分子の分析が今回明らかにするように、違いが出てくる。菱脳唇は、小脳発生の際にマウスあるいはサルよりもヒトにおいてより長い間存続し、神経前駆細胞のプールを作り出す。同様に、ヒト小脳の脳室帯は、マウスの脳室帯よりも、外側放射状グリア細胞を有する付加的増殖層の発生において一歩先まで進行する。トランスクリプトーム解析で、発生中のヒト小脳と新皮質の前駆細胞間の類似性と相違の詳細が明らかになった。(MY,nk,kh)
- 菱脳唇:脊椎動物の脳の発生途上、神経管上端部に生ずる3つの膨大部の最後部である菱脳に、発生がさらに進むと生じる2つのくびれのこと。前方のくびれから小脳が発生し 、後方のくびれから延髄ができる。
- 脳室帯:発生期の脳内における脳室を取り囲む脳室周囲層の最も内側の一層。
- 外側放射状グリア細胞:脳室側から少し外側へ離れた脳室下帯に存在する神経前駆細胞(神経幹細胞)。