種子休眠に対する制御 (Controls on seed dormancy)
草食動物、それに折悪しい突然の寒気による打撃は、植物のかよわい苗を破壊することがある。植物は、より好ましい成長条件を当てにして自らの種子の休眠を制御する。ChenとPenfieldは、モデル植物であるシロイヌナズナにおいて、種子休眠に対する分子的制御を分析した。春化の過程により知られる2つの遺伝子と1つのアンチセンスRNAが外気温を組み入れ、春化とは反対の構図で種子休眠を制御する。(MY,ok,nk,kh)
- 種子休眠:植物の種子が発芽に適した環境条件の下でも発芽しないこと。
- 春化:シロイヌナズナでは、花芽形成(花成)抑制遺伝子であるFLCによりセンスRNA(mRNA)が転写翻訳されて、花成促進遺伝子であるFTの活性化を抑えているが、春化では、長期の低温を感受したFLCによりCOOLAIRと呼ばれるアンチセンスRNA(長鎖非翻訳RNA)が転写され、これがクロマチン修飾を介してセンスRNAの翻訳を抑制し、FTが活性化されて春化(花芽形成誘導)が起こる。