3'末端からのスプライシングの理解(Understanding splicing from the 3′ end)
スプライソソームは、真核生物の mRNA前駆体からイントロンを除去し、エクソン(同士)を結合することによって成熟転写物を産生する。数十年の機能研究とスプライソソーム構造理解の最近の進歩にもかかわらず、3'スプライス部位(SS)がスプライソソームによって認識される機構は不明なままであった。LiuたちとWilkinsonたちは、酵母の触媒後スプライソソームの高分解能低温電子顕微鏡構造を報告している。その構造は、3'SSがイントロン領域とタンパク質因子によって安定化されている、5'SSと分岐点との非ワトソン-クリック塩基対によって認識されることを明らかにしている。(Sh,KU,kj,kh)
【訳注】
- スプライシング:DNAから写しとった遺伝情報のなかから不要な部分を取り除く分子的な編集作業
- スプライソソーム:転写されたmRNA前駆体からイントロンを取り除いて成熟RNAにする機能を持つタンパク質とRNAの複合体
- イントロン:転写はされるが最終的に転写産物からスプライシングによって除去される塩基配列
- エクソン:DNAまたはRNAの塩基配列中で成熟RNA に残る部分
- 非ワトソン-クリック塩基対:アデニンとチミン(もしくはウラシル)、グアニンとシトシンという自然に決まった対以外の塩基対
Science, this issue p. 1278, p. 1283