インタソームに関する高分解能の洞察 (High-resolution insights into the intasome)
HIV-1のようなレンチウイルスの生活環における本質的に重要な段階は、ウイルスDNAが宿主ゲノムに組み込まれ、宿主細胞への永久感染を確立するときである。ウイルスのインテグラーゼ酵素は、この過程を触媒するので、 主要な薬剤標的である。ウイルス組み込みの際に、インテグラーゼはウイルスDNAの末端に結合し、インタソームと呼ばれる高次構造を形成する。PassosたちとBallandras-Colasたちは低温電子顕微法を用いて、HIV-1とヒツジのレンチウイルスであるマエディ・ビスナウイルスの両者からのインタソームの構造を解明した。これらの構造は、インテグラーゼがどのように自己会合して機能的インタソームを作るのかを明らかにし、そしてインタソーム組立に関するこれまでの互いに相容れないモデルの決着に一役買っている。(KU,MY,ok,nk,kj,kh)
【訳注】
- レンチウイルス:RNAウイルスの中で逆転写酵素を持つレトロウイルス科の一属で、発病までの進行が緩徐(lente)なウイルス群
Science, this issue p. 89, p. 93