AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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Science August 16, 2002, Vol.297


短信(Brevia)
ヒト遺伝子発現における対立遺伝子のばらつき(Allelic Variation in Human Gene Expression)

ヒトの多様性を遺伝子レベルで理解することは生医学研究のゴールの1つである。他の生 物の研究からは、遺伝子発現レベルの差異が同一種内及び種間の多様性の大きな原因であ ることが示唆されている。単独の対立遺伝子の変動はかなり小さいため、同一細胞サンプ ルの同じ遺伝子から得られた2つの対立遺伝子の相対的発現レベルを比較する方法を Yanたち(p.1143)は開発し、遺伝子の発現レベルのばらつきを決定することによって、普 通のヒトの遺伝的変動はかなり大きなことを示した。(Ej,hE)
Allelic Variation in Human Gene Expression
   Hai Yan, Weishi Yuan, Victor E. Velculescu, Bert Vogelstein, and Kenneth W. Kinzler
p. 1143.

準粒子の干渉像(Pictures of Quasiparticle Interference)

欠陥を取り巻くような電子波の干渉パターンは、しばしば、走査型トンネル顕微鏡 (STM)で観察されてきた。Hoffman たち (p.1148; Cho による7月26日のニュース解説を参 照のこと) は、STM を用いて、高温超伝導を示す銅塩である Bi2Sr2CaCu2O8+δ中に形成される「市松 模様」のパターンをより綿密に調べた。エネルギーおよび空間データに対してフーリエ変 換を行うことにより、超伝導準粒子の実空間における波動ベクトルの分散を捕えることが できた。その結果、そのパターンは、フェルミ表面のさまざまな部分に位置する準粒子状 態の干渉から起こることを示唆している。そして、それはこれらの材料で観察されるさま ざまな十分な説明の出来ない現象を説明する可能性がある。(Wt)
Imaging Quasiparticle Interference in Bi2Sr2CaCu2O8+δ
   J. E. Hoffman, K. McElroy, D.-H. Lee, K. M Lang, H. Eisaki, S. Uchida, and J. C. Davis
p. 1148-1151.

光を蹴飛ばし始める(Getting a Kick Out of Light)

通常の光電離過程では、光の場と光励起された電子波束との間で起こるフォトンの吸収 、放射は、電子のエネルギー分布が広くなるような確率過程に立脚している。しかしなが ら、その二つの間では正味のエネルギー交換はなく、電子波束のドリフト速度は不変であ る。Kienberger たち (p.1144; Lewenstein による展望記事を参照のこと) は、継続時間 がほんの数百アト秒(1アト秒は、10の-18乗秒)の超高速X線パルスを用いて、電子波束 を生成した。そのため、彼らは、はるかに強力な(しかし、ゆっくりとしていてより長い 波長の)レーザー光の場の位相に対して相対的に、どこでその波束が相互作用するかを制 御することができた。光の場のある特定の領域に波束を閉じ込めることで、電子波束の加 速や減速を可能にしたばかりではなく、アト秒の計量学で用いる上で、ひとつの強力なプ ローブをも与えている。(Wt)
PHYSICS:
Resolving Physical Processes on the Attosecond Time Scale

   Maciej Lewenstein
p. 1131-1132.
Steering Attosecond Electron Wave Packets with Light
   R. Kienberger, M. Hentschel, M. Uiberacker, Ch. Spielmann, M. Kitzler, A. Scrinzi, M. Wieland, Th. Westerwalbesloh, U. Kleineberg, U. Heinzmann, M. Drescher, and F. Krausz
p. 1144-1148.

海洋中の硝酸低級アルキル(Marine Light Alkyl Nitrates)

大気中の硝酸低級アルキルは対流圏のオゾンレベルの決定に重要な役目を持ち、その起源 は完全に人為的なものであると考えられている。Chuckたちは(p.1151、Ballschmiterによ る展望も参照)、この仮定が誤りであることを示している。彼等は海水中の硝酸メチルと 硝酸エチルの計測結果が、大西洋の広範囲において両方の化合物が過飽和状態であり、大 洋がこれらの化合物の起源である直接の証拠である、と報告している。海洋の上層部の硝 酸メチルと硝酸エチルプロファイルによると生物学的なプロセスがこれらの化合物の生産 に関与しているらしい。(Na)
ATMOSPHERIC CHEMISTRY:
A Marine Source for Alkyl Nitrates

   Karlheinz Ballschmiter
p. 1127-1128.
Direct Evidence for a Marine Source of C1 and C2 Alkyl Nitrates
   Adele L. Chuck, Suzanne M. Turner, and Peter S. Liss
p. 1151-1154.

表面で遊泳する電子(Electrons Swimming on Surfaces )

Ag(111)面上に吸収される有機分子層中の電子溶媒和が、Millerたち(p. 1163)によって研 究されていた。アセトニトリル(acetonitrile)あるいはブティロニトリル (butyronitrile)の表面層中において金属から電子を離散的なエネルギー準位(イメ ージポテンシャル状態)へ遷移させるために探針(プローブ)レーザパルスが使われ、そ のとき後続のパルスによってその電子のエネルギー準位を計測した。彼らは第1エネルギ ー準位と第2エネルギー準位間の定常性エネルギー差を観察した。その結果は溶媒和の一 次効果が局所仕事関数を低下させようとしていることを暗示している。彼らはまた数百フ ェムト秒のタイムスケールにおける単一の吸着質サイズの大きさの界面におけるイメージ ポテンシャルの電子局在化現象を観察した。(hk)
Electron Solvation in Two Dimensions
   A. D. Miller, I. Bezel, K. J. Gaffney, S. Garrett-Roe, S. H. Liu, P. Szymanski, and C. B. Harris
p. 1163-1166.

窒素のバランス(Nitrogen Balance)

窒素同位体の比率はマントルと核との間で大きく異なっているが、しかしマントルから の火山岩には地殻の窒素の特性を示すものがある。プレートの沈み込みによって窒素が循 環すると考えられてきた。Fischerたち(p.1154)は、グアテマラとコスタリカにある島弧 火山(arc volcanoes)から放出されるガスの窒素とヘリウムの同位体濃度を測定した。そ こでは、 島弧火山の活動が、カリブ(Caribbean)プレートの下にココス(Cocos)プレート が沈み込みむことによって生じている。重窒素(15N)が地殻からマントルウエッジに運ば れ、そしてマントルの中にではなくアークマグマにのって表面に循環して戻ってくる。も し同じような循環が他の沈み込みゾーンでも起こっているならば、窒素の循環と揮発性物 質の流れ(volatile fluxes)との収支を考える方法は再検討が必要である。(TO,Og)
Subduction and Recycling of Nitrogen Along the Central American Margin
   Tobias P. Fischer, David R. Hilton, Mindy M. Zimmer, Alison M. Shaw, Zachary D. Sharp, and James A. Walker
p. 1154-1157.

調査が物語っていること・・・( Survey Says ・・・)

公開情報仮説」(或いは「生息地複製仮説」)によると、個々の動物は同種の他のメンバ ーの局所的な生殖の成功に関して情報を提供し、その育種地を評価し選定する 。Doligezたち(p. 1168; Withgottによるニュース解説参照)は、多数の育種のための生 息地に関するパッチ状の地域全体でスウェーデンのカラ−レッドヒタキ(collared flycatcher:ハエを捕食する小鳥)に関する長期に渡る生殖成功の実験を行なった 。1000以上の営巣の研究から、著作たちは鳥たちが公開情報を利用して、育種生息地にお けるパッチから他へ移住すべきか、或いはそこに居留するかを決定していることを見出し た。(KU)
ANIMAL BEHAVIOR:
Birds Spy on Neighbors To Choose Nest Sites

   Jay Withgott
p. 1107-1108.
Public Information and Breeding Habitat Selection in a Wild Bird Population
   Blandine Doligez, Etienne Danchin, and Jean Clobert
p. 1168-1170.

血小板を回し続ける( Keep Those Platelets Rolling )

血管損傷の場所で、細胞マトリックスに結合する血漿タンパク質、vonWillebrand因子 (VWF)が、血小板受容体糖タンパク質Ibα(GpIbα)と過渡的な相互作用をし、血小板速 度を遅くして傷に反応する。Huizingaたち(p. 1176; Sadlerによる展望参照)は 、GpIbαアミノ末端領域、およびこれとVWFA1領域との複合体の構造を、各々1.9と3.1オ ングストロームの分解能で決定した。複合体では、弱い静電気的相互作用の領域が抗血 栓性の薬剤に対する潜在的標的である二っの接触領域をブリッジしている。GpIbαとA1領 域の構造変化が二つの接触領域における相互作用のために必要であり 、gain-of-function病を引き起こす変異が両サイトでの結びついた構造を優先する。著作 たちは、ずれ−誘発活性に対してこのような構造に基づいたモデルを提案している。(KU)
BIOMEDICINE:
Contact-How Platelets Touch von Willebrand Factor

   J. Evan Sadler
p. 1128-1129.
Structures of Glycoprotein Ibα and Its Complex with von Willebrand Factor A1 Domain
   Eric G. Huizinga, Shizuko Tsuji, Roland A. P. Romijn, Marion E. Schiphorst, Philip G. de Groot, Jan J. Sixma, and Piet Gros
p. 1176-1179.

横細管の発生(Transverse Tubule Biogenesis)

amphiphysinとは、エンドサイトーシスの際に原形質膜の陥入を促進する細胞機構の一部 である。Leeたちは、筋肉-特異的なamphiphysin2(別名Bin1)が、膜が陥入して細管になる ことを指示し、哺乳類の筋肉発生の際の横細管(T)発生に必須である、ということを報告 している(p. 1193)。このamphiphysinは、T細管系に多く集中している特定の phosphoinositidesを認識する領域を通して原形質膜に局在化する。このように、この amphiphysinは、膜の変形と形態生成において決まった役割をもっているらしい。(KF)
Amphiphysin 2 (Bin1) and T-Tubule Biogenesis in Muscle
   Eunkyung Lee, Melissa Marcucci, Laurie Daniell, Marc Pypaert, Ora A. Weisz, Gian-Carlo Ochoa, Khashayar Farsad, Markus R. Wenk, and Pietro De Camilli
p. 1193-1196.

増殖の制御(Controlling Population Expansion)

眼の発達において機能するいくつかの遺伝子は、哺乳類と無脊椎動物との間で、遺伝子機 能を驚くべきレベルで保っている。そうした遺伝子の1つ、哺乳類のSix6は、網膜の早い 段階での発生において発現し、また脳下垂体にも発現する。Liたちは、この因子が細胞型 の決定あるいは前駆細胞の細胞増殖に関与しているかどうかを調べた(p. 1180: また Vogelによる7月19日のニュース記事参照のこと)。Six6-/-マウスでは、網膜にあるすべて のニューロン細胞型と下垂体のすべての細胞型が見つかったが、数の面では細胞型は減少 しており、双方の器官には欠陥が観察された。Six6は補抑制物質(コリプレッサ ー)Dachと一緒に、サイクリン-依存的阻害剤をブロックし、早期の前駆細胞増殖を可能 にしている。このように、組織特異性のリプレッサと補抑制体とが、器官特異的なやり方 で細胞周期を制御しているのである。(KF)
Tissue-Specific Regulation of Retinal and Pituitary Precursor Cell Proliferation
   Xue Li, Valentina Perissi, Forrest Liu, David W. Rose, and Michael G. Rosenfeld
p. 1180-1183.

発現の上昇と低下(The Ups and Downs of Expression)

遺伝子発現は、実質的に細胞ごとに、そして細胞の履歴、その相互作用、およびその制御 機構の状態などに依存して、変化する。Elowitzたち(p. 1183;Fedoroffおよび Fontanaによる展望記事を参照)は、すべてのその他の制御的影響が同等である場合にそ のまま残される、遺伝子発現におけるノイズに焦点をあてた。この“固有のノイズ”を測 定するため、彼らは、識別可能緑色蛍光タンパク質をコードする2つのアリルを、同一の プロモーターで調節したEscherichia coli株を使用した。これらの単一バクテリア細胞に おいて、遺伝子は本質的に同一の細胞内環境を有しており、そのためそれらの発現におけ るバリエーションが固有のノイズの測定値である。固有のノイズは、遺伝子発現の全バリ エーションの実質的な量および転写速度などの他の因子の変化により変動するノイズの量 で説明される。(NF)
GENETIC NETWORKS:
Small Numbers of Big Molecules

   Nina Fedoroff and Walter Fontana
p. 1129-1131.
Stochastic Gene Expression in a Single Cell
   Michael B. Elowitz, Arnold J. Levine, Eric D. Siggia, and Peter S. Swain
p. 1183-1186.

神経再生に対するリダンダントな経路(Redundant Pathways Against Neuronal Regeneration)

脊椎動物では、四肢の切断された神経は、再び成長しそしてその標的に向けて分布して 、その運動性および感覚性インプットを回復させることができる。しかしながら、中枢神 経のミエリン梢中には神経の再生を妨害する2つの阻害性分子--Nogoおよびミエリン-関連 糖タンパク質(MAG)--が存在するため、脳および脊髄に対する同様の傷害は修復される ことはない。Nogoに対するグリコシル-ホスファチジルイノシトール-結合受容体は、細胞 内ドメインを持たず、しかしMAGに対する受容体は、シアル酸に実際に結合するが、完全 には知られていない。Nogo受容体の経膜シグナルを媒介することができるその他の膜タン パク質を見出すために設計されたスクリーニングにおいて、Liuたち(p. 1190;Woolffお よびBloechlingerによる展望記事を参照)は、MAGを主要なリガンドとして同定した。こ の結合は、適切な程度、高親和性であり、MAGの成長円錐-崩壊作用を調節し、そして Nogo受容体の発現が胚ニューロンに対するMAG感受性を付与することを確実にする。この ように、MAGおよびNogoの両方とも、Nogo受容体を活性化し、そしてリダンダントなシグ ナルとして作用して、神経再生を阻害する。(NF)
Myelin-Associated Glycoprotein as a Functional Ligand for the Nogo-66 Receptor
   Betty P. Liu, Alyson Fournier, Tadzia GrandPré, and Stephen M. Strittmatter
p. 1190-1193.
NEUROSCIENCE:
Enhanced: It Takes More Than Two to Nogo

   Clifford J. Woolf and Stefan Bloechlinger
p. 1132-1134.

分岐する断層の終端(Split Fault Ends)

沈み込み帯(Subduction zones)は、あるプレートが他のプレートの下に押し込まれる、重 要なプレート境界である。破壊力が最も高い地震の多くは、これらの境界上で発生し、そ のうえ津波を引き起こす。Parkたち(p.1157)は、フィリピン海プレートがユーラシアプレ ート(日本の南東海岸に沿った)下に沈み込む場所にある南海沈み込み帯の断層構造につい て、人工地震反射波によるプロファイルを作った。彼らは、沈み込み帯から外縁隆起帯 (Outer Ridge)と呼ばれる海底地形の高地(topographic high)にある海洋上の地殻表面ま で枝分かれした分岐断層(splay fault)の像を形成した。この分岐断層(splay fault)は 、沈み込み帯の地震から変形を受け、津波を引き起こすことがあり、外縁隆起帯における 冷水湧出(cold seep)によって存在が示される流出口を生じる。(TO)
Splay Fault Branching Along the Nankai Subduction Zone
   Jin-Oh Park, Tetsuro Tsuru, Shuichi Kodaira, Phil R. Cummins, and Yoshiyuki Kaneda
p. 1157-1160.

ホットメタルドットを点在させる(Spotting Hot Metal Dots)

分子にラベル付けをして、拡散研究のようにこれを長時間観察する上での問題点は、ラベ ルが時間とともに暗くなってしまい、観察が困難になることである。蛍光染料は漂白する し、半導体のナノ粒子は一時的に光りはするがすぐに暗くなる。金属粒子は漂白すること はないが、レーリー散乱のようなコロイドの散乱を利用した画像的手法を利用するには 、粒子サイズが大きい必要がある。もし、そうでなければ、似たようなサイズの粒子の散 乱にシグナルが埋まってしまう。Boyerたち(p. 1160)は高周波変調と分極干渉を組み合わ せた光熱シグナルを利用して直径2.5ナノメートルサイズの金属粒子を画像化する手法を 開発した。異なる径の粒子は、加熱エネルギーの差による飽和条件の差によって分別され る。(Ej,hE)
Photothermal Imaging of Nanometer-Sized Metal Particles Among Scatterers
   David Boyer, Philippe Tamarat, Abdelhamid Maali, Brahim Lounis, and Michel Orrit
p. 1160-1163.

気まぐれ電荷(Fickle Charges)

弱く結合した電気的に中性の複合体は、荷電複合体に比べるとずっと容易に作られるが 、荷電複合体は多くの場合、多くの化学反応に見られる反応中間体と関連している 。Linnartzたち(p. 1166)は、ArとN2の陽イオン複合体をプラズマの超音速ジ ェット中に十分な量だけ供給することが出来るようになった。これによって高解像赤外ス ペクトルが得られた。また、彼らはN-Nの伸長周波数を決定し、このデータの1部を利用し て、[Ar-N2] + 複合体は正電荷のほとんどがAr原子側に存在する 基底状態にあることを示した。この研究によって従来の光解離現象と反応動力学が解明で き、これから、理論的計算が可能な構造データが得られる。(Ej,hE)
Rotationally Resolved Infrared Spectrum of the Charge Transfer Complex [Ar-N2]+
   H. Linnartz, D. Verdes, and J. P. Maier
p. 1166-1167.

ソースコードを共有する合成(Syntheses That Share Source Code)

3重結合2つと2重結合1つが結合したモチーフを特徴とするエンジイン系 (enediyne)抗生物質は複雑な構造の天然物であり、DNAを切断する能力があることから 、抗腫瘍活性をもつ可能性がある。しかし、その毒性のため、臨床用途が限定されてきた が、生合成経路を操作することで、毒性の少ない効果的薬剤をつくることが可能である 。Liuたち(p. 1170)とAhlertたち(p. 1173)はエンジイン化合物であるC-1027 と calicheamicinそれぞれの生合成のための遺伝子クラスターのクローニングと特徴づけを 行った。C-1027はアポタンパク質とC-1027発色団から成る色素タンパクであり 、calicheamicinは非色素タンパクエンジインである。驚いたことに、C-1027と calicheamicinを合成する遺伝子クラスターは、既知の細菌性ポリケチド合成酵素とは異 なる保存されたポリケチド合成酵素をもっており、このことから、色素タンパク質と非色 素タンパク質エンジインは類似した生合成経路によって作られたと推察される。(Ej,hE)
Biosynthesis of the Enediyne Antitumor Antibiotic C-1027
   Wen Liu, Steven D. Christenson, Scott Standage, Ben Shen
p. 1170-1173.
The Calicheamicin Gene Cluster and Its Iterative Type I Enediyne PKS
   Joachim Ahlert, Erica Shepard, Natalia Lomovskaya, Emmanuel Zazopoulos, Alfredo Staffa, Brian O. Bachmann, Kexue Huang, Leonid Fonstein, Anne Czisny, Ross E. Whitwam, Chris M. Farnet, Jon S. Thorson
p. 1173-1176.

NOが存在するときにはニューロンにとってはノー(When NO Means No to a Neuron)

一酸化窒素はタンパク質中のシステイン残基を修飾することができ、S-ニトロシル化誘導 体を産生する。Guたち(p. 1186)はマトリックスメタロプロテイナーゼ-9 (MMP-9)がこの ような修飾を受けると酵素を活性化することを報告している。MMP-9のニトロシル化と活 性化は、発作を生じたげっ歯類の脳組織中に見られ、培養したニューロンをNO活性化した MMP-9で処置するとアポトーシスを生じた。この活性化経路は、脳虚血や神経変性病に見 られる細胞外マトリックス破壊と関連するニューロンの細胞死に何らかのかかわりをもっ ている可能性がある。(Ej,hE)
S-Nitrosylation of Matrix Metalloproteinases: Signaling Pathway to Neuronal Cell Death
   Zezong Gu, Marcus Kaul, Boxu Yan, Steven J. Kridel, Jiankun Cui, Alex Strongin, Jeffrey W. Smith, Robert C. Liddington, and Stuart A. Lipton
p. 1186-1190.

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