グリップに運命を委ねて(Getting a grip)
毛細管のような複雑な組織の一部である細胞は、細胞外基質に付着してい
る必要があり、もしそうでなければ死滅する。これは、基質が、細胞の形
や、伸展の度合を決定しているからなのか、或は、基質(多様なインテグ
リン)に結合している受容体が関わっている細胞内部に生命維持信号を伝
達しているからなのか?。Chenたち(p.1425; 及び、Ruosla
htiによる展望p.1345参照)は、前者が本当であることを見つ
けた。細胞の詳細な付着領域が決まると、接着が重要であるが、もし基質
の接触領域が限局的接着のサイズ(ここには、細胞表面にインテグリンを
持っている)にまで小さくなり、そしてこの接触領域が、より広い領域に
広がるなら、DNA合成(細胞の健康度の指標)は細胞と基質接触領域
ではなく、細胞全表面と直接的な相関を持つようになる。つまり、細胞限
局接着体サイズのアイランド間の間隙を変えることによって(細胞の形状
を変化させて)、細胞が成長するか死滅するかを決定している。(Ej,K
j)
(訳注)限局的接着のサイズとは、アイランドのサイズのことで、このサ
イズが減少するほど細胞の死滅する確率が高くなる。この限局的接着を生
じる範囲が広がると、今度はDNA合成が活発になる。