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- 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約
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Science August 30, 1996
3次元ディスプレー(3D displays)
リアルタイムに3次元( 3D)データを可視化する 方法は、しばしば、空間的、時間的分解能により 制限されるか、あるいは、制限された可視化領域 か(バーチャルリアリティーのディスプレイのよう に)特別のヘッドギアをつけることが必要となる。 Downing たち (p. 1185 ;Glanz ( p. 1172)によ る解説記事を参照のこと)は、任意の視野から、 カラーイメージの真の3Dの表示が可能 である、インタラクティブな装置を与えている。 このデバイスは、透明な希土類をドープした重金 属を含むフッ化物ガラスを含んでいる。この中で は、赤、青、緑の大きさのある体積要素(volume element)を、別々にレ ーザーダイオードでアドレッシングすることができる。(Wt) (注:2つの異なる波長(λ1,λ2)のレーザーで同時に照射したとき その場所(体積要素)に存在する希土類がλ1+λ2だけ ポンピングされ発光する)。
RNA編集のためのガイド(Guides for RNA editing)
トリパノソーマ類では、ミトコンドリアのほとんどのプレメッセンジャーRNA(mRN A)はRNA編集を受ける。成熟した機能的mRNAを形成するために、ウリジン(U)残 基は、1次転写物内の正確に決まった位置で挿入され除去される。Kableたち(p.1189 ;およびSollner-Webbによる展望,p.1182)は、Trypanosoma brucei におけるU付加の機構 を解明した。編集はガイドRNA(gRNA)によってコントロールされており、このgRNAは 編集される配列に相補的な短いRNAであるが、このgRNAはmRNAのエンドヌクレアーゼ 切断を指示する。上流の切断生成物は遊離のウリジン三リン酸からのU残基を加え、m RNAの両切断片は再連結反応する。この反応は、以前思われていたようなエステル転移 反応を利用してはいない。(Ej,Kj)
超微量タンパク質分析(A trace of protein)
アットモル(10^-18モル)と言えば細胞1つの微量成分の量に相当するが、この微量の タンパク質の分析は、生物分析化学の重要な目標である。Valaskovic たち(p.1199) は、粗製血液から分離された炭酸脱水酵素のアットモル量の試料の高分解能質量スペ クトルの報告をしている。この装置のキーコンポーネントは、ナノリットル以下の試 料を分離出来るキャピラリー電気泳動法のシステムと、超低速流を使う薄壁エレクト ロスプレーイオン化チップの2つである。(Ej,Kj)
流体の応答(Fluid response)
ストライク−スリップ断層におけるジョッグ(jog=スリップベクトルに直交する高 まりのこと)は、その方向に応じて、局所的な圧縮あるいは伸長を引き起こす。こ の変形は、深さに応じて流体の圧力に影響を及ぼす可能性がある。Peltzer たち( p. 1202 ;表紙参照のこと)は、開口合成レーダー干渉計による、1992年のカリフォ ルニア andersにおける地震での破裂時のジョッグの像を与えている。大地表面は、 伸長的なジョッグでは、徐々に数センチメーター隆起したが、一方、圧縮的ジョッグ では、陥没した。この変形のパターンと速度は、伸長領域での流体の流入と、圧縮 領域の過剰圧縮された流体の流出として説明することができる。(Wt,Og)
冷血動物の鼻(Cold-blooded noses)
恒温動物の吸熱代謝は一般的に高い代謝速度を持っており、肺の高い換気速度に適応 するため鼻の通気道が広くなっている。Rubenたち(p.1204)は、多様な恐竜化石の頭 蓋骨を調べ、彼らは、現代の外温(変温)動物と同じように、鼻の通気道が狭く、鳥 類や哺乳類に見られる、通気道の表面積を広げるための構造である呼吸のための鼻介 骨を持っていないことを示した。(Ej)
植物の歴史(Plant histories)
生物の化石の記録や、現在生きている近親種のゲノムから、ある生物学的な固体群の進化の歴史に ついて推論することができる。Richman たち ( p. 1212 )は、現存しているゲノムから情報を 引き出す新しい方法を加えている。平衡選択で維持されている、花の咲く植物の複雑な 自己非適合性遺伝子座を解析することにより、古代の固体群のボトルネックの跡が、現存する対立遺 伝子の配列から推論されうることを示している。(Wt)
エストロゲン応答(Estrogen responses)
エストロゲンの減少は閉経後の女性の骨の欠損や循環器病を起こし易い。raloxifene のようなある種の薬剤は、生殖組織の中でエストロゲンの作用と拮抗するが、実際は 骨や他の組織の中でエストロゲンの効果と似た作用をしている。生殖組織中ではエストロゲ ン受容体はエストロゲン応答エレメント(ERE)として知られているDNA配列に結合し、 標的遺伝子の転写を増強する。Yangたち(p.1222;およびPennisiによるニュース解説p .1171)は、骨細胞内でエストロゲン受容体に依存して制御される腫瘍成長因子β3(TG F-β3)遺伝子の制御について研究した。彼らの提出した証拠によれば、TGF-β3遺伝 子の中では別の応答エレメント(raloxifene応答エレメント=RRE)が存在し、この遺伝 子は内在性ホルモン17β-エステラジオール(E2)によるよりもraloxifeneによってよ り効率的に活性化される。生殖組織においてはE2はEREを通して作用するが、 raloxifeneとE2以外 の内在性エストロゲンの代謝産物は、RREを通してその組織特有の応答を作 り出すのかも知れない。(Ej,Kj)
言った通りにしなさい(Do as I say)
ショウジョウバエにおける神経形成中に、成長中の神経細胞は側方抑制と呼ばれるプロ セスを通じて、隣接細胞が神経の潜在力を実現すること、つまり隣接細胞が神経細胞 になることを防いでいる。Rookeたち(p.1227)は、側抑制に必要な新しい遺伝子"kuzb anian"(kuz) を性状決定した。このkuz遺伝子は、現在生まれつつある神経細胞から の抑制シグナルを細胞が受け取るために必要である。更にまた、神経細胞の発生時、 神経細胞に隣接する細胞からのポジティブシグナルを受け取るためにも必要である。 (Ej,Kj)
ホルモン感受性(Hormone sensitive)
植物ホルモンのアブシシン酸は、様々な発生、あるいは生理的反応を制御している。 Cutlerたち(p.1239)は、アブシシン酸に対する感受性を高める遺伝子突然変異を同定 した。この遺伝子はタンパク質ファルネシル転移酵素をコードしており、ファルネシ ル化がアブシシン酸に対する感度を制御するための必要なステップであることを示唆 している。(Ej,Kj)
合成開口レーダーを測量に(Synthetic aperture radar for geodesy)
合成開口レーダー干渉(InSAR)が、GPSに替わる測量機器として注目されている。軌道 に直交する方向に少しずつ変化させた複数のSAR画像間の位相差の干渉を使って、広 い範囲の地勢を一気に測定しようと言うものである。これはGPSが一点一点の高精度 データを与えるのと相補的な特徴を持っている。MeadeとSandwell(p.1181)の解説に よれば、InSARは地震に伴う断層、収縮する火山、氷河の流れと言った素晴らしい画 像を提供している。理想的な状況では、50〜100Km幅で、3〜10cmの変位を検出できる 。こうなれば地盤に蓄積する歪を計測できるし、地下水低下による地盤沈下も測定可 能である。(Ej)
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