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- 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約
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Science May 24, 1996
シュレーディンガーのネコの原子における実現( Atomic realization of Schroedinger's cat)
量子力学では、我々の古典的な現実の描像を覆す可能性のある重ね合 わせとして結合される。有名な思考実験である「シュレーディンガー のネコ」は、放射性崩壊実験 を伴うシールされた箱の中に置かれていた。そして 、その結果はネコの生死を決定するのである。厳密にいえば、検出器が崩壊現象を記録し た後でさえ、我々は、ネコの生死について述べることはできない。ただ言えることはそ の確率だけである。量子力学のこの側面をより良く理解する努力として、 Monroe たち (p. 1131; Taubesによる解説記事p.1101を参照のこと)は、ある原 子的な系(調和振動子ポテンシャル中に保持されたレーザー冷却された一個のベリ リウムのイオンを構成した。それは、原子の電子的状態と運動状態とを、 シュレーディンガーのネコに類似の方法で絡ませることができる。このような 系は、量子的非可干渉性、すなわちこれらの状態の統計 的混合状態への進化を研究することに用いることができる。(Wt)
組み立てライン( Assembly lines)
親水性・親油性すなわち両親媒性の分子の自己配列により、表面上において高度に秩序だった膜 になる現象は、バイオセンサーや腐敗防止材などを含め様々な応用がある。 Poirier and Pylant (p. 1145; Chiangによる「展望」 p. 1123を参照のこと)は、走査型トンネル顕微鏡を用いてこのよう な単分子層の配列のメカニズムを研究し、二段階の成長モードを観察した。より高密度な層への 相転移は、被覆率が増加するにつれ発生する。(Wt)
古代有蹄類目(Older hoofed order)
有蹄類(ひずめをもつ哺乳類)目(もく)は、第3紀(約6500年まえ)の初期にまで 遡ることが出来る。系統発生の解析によって、Archibald(p.1150;及び、Petersonに よるニュース解説p.1102)は、8500万年前からのウズベキスタンのBissekty層群の化 石にまで遡って関連付けることが可能になった。これら化石の堆積物は胎盤性哺乳類 の草食獣の始まりを示すものかも知れない。(Ej & Og)
海洋の炭素の制御( Ocean carbon control)
大気中の二酸化炭素が光合成により生物物質へ組み入れられることを含め、海洋表面は、多くの 生物活性が活発な場所であり、生物起源の炭素の一部は、海洋の深みへと運ばれていく。Rivkin たち (p. 1163)は、the Gulf of St. Lawrenceにおいて、生物起源の炭素輸送量は、草食性あるい は雑食性の食物の連鎖からのものに類似しており、新規の光合成による生産量には直接的には比 例していなかったことを示した。この新規光合成の量は春の開花期を通して劇的に増加するであ ろう。生物原生の炭素の輸送の量と性質とを予測しうるモデルは、何か他のパラメータに依存す る必要がある。(Wt)
銅を集める(Collecting copper)
世界有数の豊かさを持つ銅鉱床のいくつかは、下行性流水が溶解し、続いて、マグマ 性熱水系由来の銅鉱物を濃縮する低い温度で形成されるが、このプロセスは浅成濃縮 (supergene enrichment)と呼ばれる。 Sillitoeたち(p.1153)は、北部チリの銅鉱床 において、銅鉱床の浅成濃縮に細菌が関与している形態的証拠---基本的には金属化 した細菌の化石であるが---、および、細菌が深部における銅の固定化を促進したと 思われることを見つけた。(Ej & Og)
ゴルジへ向かう(Going for the Golgi)
小胞や細胞小器官は、細胞内輸送の発芽や融合のイベントを制御するアドレス タグ を持っていなければならない。Subramaniamたち(p.1161)は、ターゲティング受容体 として作用するシス-ゴルジ網タンパク質を同定した。このタンパク質は、小胞体 から発して、シス-ゴルジ体に融合する、小胞の認識に関わっていると思われて いる。(Ej & Kj)
TGF-β受容体の盗聴(Tapping the TGF-β receptor)
腫瘍(トランスフォーミング)成長因子-β(TGF-β)は、多数の異なる細胞型の 機能を制御し、潜在的な治療へ の応用可能性を秘めているが、TGF-β受容体からのシグナルが伝達される経路につい ては、よくは理解されていない。この受容体そのものは、セリン スレオニン キナー ゼであり、マイトジェン活性化タンパク質 キナーゼ キナーゼ キナーゼ(MAPKKK)フ ァミリーの一つでTAK1として知られているものを活性化する。MAPKKKは一連のタンパ ク質キナーゼを活性化し、こうすることで、細胞表面の色々な受容体からのシグナ ルを核に伝達させる。Shibuyaたちは、MAPKKKと相互作用し、かつ、今まで知られて いるどのタンパク質にも属さない、TAB1と呼ばれる新しいタンパク質を同定した。 TAB1はTGF-βによるTAK1活性化に関与し、MAPキナーゼ カスケード メンバーが 活性化され得るような、新しいメカニズムを提供しているように見える(Ej & Kj)
抗原の情報伝達を制御する(Regulating antigen signaling)
抗原がT細胞受容体(TCR)を活性化する場合、細胞内のチロシン リン酸化をトリガー することによって、免疫応答(T細胞増殖)を惹起する。2つの報告によれば、フォ スファターゼによるキナーゼ活性の負の調節もまた、惹起される。Marengere(訳注 :2番目のeはumlaut) たち(p.1170)はTCR活性化の後、その表面発現が増加するCTLA-4は、チロシン ホスフ ァターゼSYPに付随していることを示した。CTLA-4付随のSYPは、TCRとRAS経路の 両方を下方制御している。Plasたち(p.1173)は、T細胞活性化が、チロシン ホスフ ァターゼSHP-1 をチロシン キナーゼZAP-70に結合させることを示した。このキナー ゼはTCR活性化によって刺激されるが、SHP-1結合は、その活性を減少させる。(Ej & Kj)
不可解な起源(Cryptic origins)
癌は、起源的には単クローン性であると思われている、すなわち、単一の突然変異体 細胞とその子孫から癌が生じる。Novelliたち(p.1187)は、XO/XYモザイクを持ち、同 時に、家族性腺腫性ポリープ症(familial adenomatous polyposis)を持つ、希な患者 を研究することによって、この仮定をテストした。なお、この家族性腺腫性ポリープ 症は、大腸に複数の前癌性マイクロアデノーマ(microadenoma)を形成する障害である 。Y染色体-特異的プローブによる組織切片のin situハイブリッド形成法による研究 によって、腸の陰窩が単クローン性の起源を持っていることが明らかになったが、驚 いたことに、多くのマイクロアデノーマは多クローン性起源であることが解った。(E j & Kj)
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