AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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IEEE Multimedia (IEEE) Vol.4, No.1


3Dディジタルビデオのための仮想ビュー生成
Virtual View Generation for 3D Digital Video

Saied Moezzi, Li-Cheng Tai, and Philippe Gerard (University of California, San Diego)

IEEE MultiMedia, Vol. 4, No. 1, January-March 1997

コンピュータグラフィックスの目的の一つ、および仮想現実感の焦点は、ディ ジタルモデルを用いた現実環境のフライスルーやウォークスルーといった、イ ンタラクティブなビューへの可能性を提供することであった。我々は、実際の イベントと、ダンスのようなパフォーマンスを行っている人間を含むアクショ ンとに対してそのような可能性を提供することを試みた3Dディジタルビデオ システムを紹介する。このシステムの新しい特徴は、3Dグラフィックスに現 実のイベントのダイナミクスを含んでいることである。そのため、任意の視点 から写真のように現実的でインタラクティブな再生を行うことができる。この システムは、複数の視点(perspective)からの与えられたシーンのビデオスト リームを用い、オブジェクトの形状を復元するための体積占有手段(volume occupancy method)を用いている。また、高速グラフィックワークステーショ ンがすべての利用可能なカメラ視点を用いたモデルの色を厳密に定義するため に用いられ、その結果、元の動的なシーンの正確な3D再構成が行われる。我々 のシステムの構成の詳細を述べ、空手のパフォーマンスの3Dデジタルシーケ ンスを示す。


画像ベースの仮想世界生成
Image-based Virtual World Generation

Michitaka Hirose (University of Tokyo)

IEEE MultiMedia, Vol. 4, No. 1, January-March 1997

本論文においては、3D幾何モデルの代わりに、2Dの写真画像(photographic image)から3D世界を生成する方法論についての紹介を行う。これらの方法は、 現実の3D世界を写真のように現実的に生成するという長所を持っている。つま り、もし我々が従来の方法論を「アルゴリズムを中心とする方法論」と呼ぶな らば、これらの方法は「データを中心とする方法論」と呼ぶことができよう。 本論文においては、「仮想ドーム」「GPSつきカメラ」を含むいくつかのプロ トタイプシステムを「データを中心とする方法論」の例として紹介する。もち ろん、二つの方法論は、それぞれ長所を持つ。そこで、二つの方法論のトレー ドオフの関係、および二つの方法論の組合せについても、簡単に論じる。


仮想現実感:実シーンからの仮想世界の生成
Virtualized Reality: Constructing Virtual Worlds from Real Scenes

Peter Rander and Takeo Kanade (Carnegie Mellon University) P.J. Narayanan (Centre for Artificial Intelligence and Robotics)

IEEE MultiMedia, Vol. 4, No. 1, January-March 1997

仮想現実感は、実世界のイベントを仮想的に再構築したもの、すなわち実世界 の仮想的なモデルへユーザを『埋め込む』、新しい視覚的メディアである。こ のメディアは、固定された視点および二次元的ビューといった、動画やビデオ のような他の視覚的メディアの持つ二つの基本的な制限に対処している。仮想 現実感により、ユーザはそのイベントを撮影するために用いられた実際のカメ ラ位置に依存することなく、任意の時点における自分の視点を選択することが できる。また、仮想現実感は、イベントのステレオ的な再構成を提供し、その ためユーザをその仮想的なイベントに完全に『埋め込む』ことも可能になる。 仮想現実世界モデルは、実画像と、その実画像から計算された深さ情報とから 構成される。この深さ情報は、おのおのの画像における見える表面を表現する 3D三角メッシュに変換される。仮想カメラ画像は、この3Dメッシュを家蔵 カメラにレンダリング(描画)し、さらに実画像をそのメッシュにテキスチャと してマッピングすることによって生成される。よって、この仮想画像は、かな り複雑なシーンの視覚的な現実性を保持するものである。対照的に、典型的な 仮想世界は、人手によって、あるいはCADを用いて築き上げられる。そのよ うな仮想世界は、単純であり、しばしば視覚的な現実性を欠く傾向にある。仮 想的な空間における現実的な訓練は、仮想現実感の重要な応用領域である。例 えば、外科手術の訓練は、訓練を受ける人々が随意に仮想的な手術を行うこと を可能にすることによって効果を高めることができる。 エンターテイメントの新しいメディアも仮想現実感によって進展する可能性が ある。このメディアにより、ユーザがステージの隅に座ってからバレエを鑑賞 することや、コートに立ったり特定の選手と一緒に走りながらバスケットボー ルを観戦することができるようになるだろう。


ネットワーク仮想環境の分類
A Taxonomy for Networked Virtual Environments

Michael R. Macedonia (Fraunhofer Center for Research in Computer Graphics) Michael J. Zyda (Naval Postgraduate School)

IEEE MultiMedia, Vol. 4, No. 1, January-March 1997

複数ユーザがネットワークによって接続された仮想世界の発展は、コンピュー タや通信の分野における興味の大きな部分を占めるようになった。しかし、分 散型の仮想環境(virtual environments, VEs)を理解するための枠組を提供す る努力はほとんど行われてこなかった。本論文においては、ネットワーク通信 や、ビューや、データや、プロセスといったものが、分散環境の設計に重要で あるということを強調しつつ、それらをどのように配置するかということを論 じる。本論文において述べられているほとんどのシステムが、ごく小数のユー ザに供するように設計されていることがわかった。また、実時間の対話を支援 しつつ強いデータの一貫性、因果関係、信頼性のある通信を要求するシステム が、なぜあまりうまく設計されていないようであるかについても論じる。さら に、システムが地理的に分散されているような場合には、高速でマルチキャス トの通信が要求される。


等時性イーサネット−マルチメディアのためのATMブリッジ
Isochronous Ethernet--An ATM Bridge for Multimedia Networking

Debra J. Worsley (National Semiconductor) Tokunbo Ogunfunmi (Santa Clara University)

IEEE MultiMedia, Vol. 4, No. 1, January-March 1997

QoS(サービス品質)の保証されたマルチメディアアプリケーションのためのオー ディオ、ビデオ、データの統合伝送に関しては、さまざまな技術的にクリアす べき事項が存在する。マルチメディアを統合したデータの伝送は、公的なもの や専用のものの双方において、LANとWANの双方に及ぶことが予想される。IEEE 029.9a ISLAN16-T (isoEthernet)のイーサネットを用いた等時性サービスは、 LANにおけるメディア統合データ伝送の要求に対して提供されるものである。 非同期伝送モード(ATM)は、高速広帯域広域伝送の要求に応じて提供されるも のである。このように、すべてのマルチメディアネットワークの技術的な要求 を処理するISLAN16-TとATMとのブリッジにより、マルチメディアアプリケーショ ンが、LANからWANに渡って存在するユーザ間で実行することができるようにな る。本論文は、マルチメディアアプリケーションのためのオーディオ、ビデオ、 データを、LANにおけるISLAN16-TおよびWANにおけるATMに及ぶことができるよ うにすることのできるブリッジ手段について述べる。


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IEEE Multimedia (IEEE) Vol.4, No.2


医用画像のためのネットワークマルチメディア
Networked Multimedia for Medical Imaging

Stephen T.C. Wong and H.K. Huang University of California, San Francisco

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

生物医用画像の発展により、医学の実践および介護サービスは革命的に変化し た。しかし、次なる変化の波は、医用画像とマルチメディア技術との融合から 発生するだろう。本記事においては、この進化する分野にとっての情報インフ ラおよび要求について述べる。四つ異なるタイプの診療への応用例により、画 像支援医療のネットワークマルチメディアシステムの利用および有用性につい て説明する。


可視人間画像の圧縮と伝送
Compressing and Transmitting Visible Human Images

George R. Thoma and L. Rodney Long National Library of Medicine

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

本論文においては、国立医学図書館(Tnational Library of Medicine)の Visible Human プロジェクトの色彩 cryosection 画像に関する圧縮および伝 送について述べる。これらの画像は、合計約235Gバイトの量であり、それゆえ、 従来の構造化・蓄積・検索・伝送・流布手段に解決を促している。圧縮技術は、 組織内において開発されたマルチソケット技術と同様に、改善されたTCPアプ ローチの特徴を利用するように設計された、可逆・非可逆双方を含む。


医療におけるビジュアルコンピューティングへの好機
Opportunities for Visual Computing in Healthcare

Frederick Lee Kitson, Tom Malzbender, and Vasudev Bhaskaran Hewlett Packard Laboratories

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

グラフィック、画像、オーディオ、ビデオ、まとめてマルチメディアといった タイプのデータは、ほとんどのコンピュータのインタフェースやアプリケーショ ンの標準的な構成要素になってきている。特に医療アプリケーションは、情報 スーパーハイウェイの一部として存在している、データベースおよびサーチエ ンジンや、情報炉(furnace)と力を合わせて、これらマルチメディアデータの 可能性を利用することができるようになるであろう。専門家と患者とを電子的 に結び付けることが可能になることにより、遠隔診断から遠隔手術といった領 域まで医療が可能になる。MRI、体積レンダリング(volume rendering)や表面 レンダリング(surfacerendering)、コンピュータビジョン、画像処理といった 従来のビジュアルコンピューティング技術も、診療所や研究者らにとって、そ れらが電子的に局所的になるにつれ、利用可能になっていくであろう。ビデオ グラフィックや3次元グラフィックは、電子的に局所的な環境を大いに強固な ものにするであろう。ビデオは、最も存在感あるいは視覚的現実感を提供する が、その高い伝送量・蓄積量・要求される演算量のため、ディジタルによって 供給することがいまだに最も困難である。発展した3次元グラフィックは、一 般的に不十分であり、高価である。本記事は、PCやワークステーションやネッ トワーク装置が、実時間でビデオとグラフィックを処理することを可能にし、 そのため電子的に局所的な環境を支援するであろう、メディア処理およびクラ イアント−サーバ技術における最近の技術革新のいくつかを、医療に関連して、 述べるものである。


放送ネットワークにおいてマルチメディアはモバイルになる
Multimedia Goes Mobile in Broadcast Networks

Richard Rebhan, Sofie Olsson, Bjo"rn Wergeland, Pierre Karlsson, and Olle Franceschi TERACOM

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

ディジタル革命は、Eureka 147 DAB (digital Audio Broadcasting)のような ディジタル放送の導入とともに放送の分野に達した。このようなディジタル放 送システムは、実際の放送サービスを伝送システムから分離し、そのためオー ディオ、ビデオ、静止画、グラフィックス、テキストといったあらゆる種類の ディジタルデータを、固定の端末や持ち運び可能な端末に分散させることを可 能にし、従来の放送を変えるものである。これにより、サービスプロバイダは、 同時に、かつそのロケーションに依らずに、多数のユーザに達するようになる。 現在のマルチメディアサービスは、双方向・対称的・ほとんどエラーフリーな 通信接続に基づいている。しかし、移動体受信における無線システムでは、エ ラーフリーであるとか伝送が途切れないとかいうことは決して保証されないし、 放送伝送は対称的ではない。それゆえ、放送の利点を利用し、無線伝送の特質 を考慮する新しい概念を開発しなくてはならない。本記事は、放送システムに 基づいた、モバイルな、対話的システムを実現しようとする場合の概念や、可 能性や、難しさに光を当て、マルチメディアシステムモデルの概要を述べ、コ ンテンツプロバイダ、サイビスプロバイダ、ネットワークプロバイダの三つの 主要な部分について論じる。また、対話的伝送や、条件つきアクセスや、シス テム管理といった機能の重要性を指摘する。著者らは、DABをシステムの一例 として焦点を当てているが、著者らの結論は、あらゆる種類のディジタル放送 システムに当てはまる。


分散型マルチメディアシステムにおける適応化
Adaptation in Distributed Multimedia Systems

Jan Gecsei Universite' de Montr'eal

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

分散型マルチメディアシステム(distributed multimedia systems, DMS)にお ける資源管理は、連続性のあるメディアの実時間要求のため中心的な問題であ る。しかし、複雑な移動通信システムにおいては、効果的な資源の予約 (reservation)はほとんど不可能である。本記事は、DMSにおける適応化をとり まく問題を調査し、一般化するものである。背景として、まず、異種ネットワー クおよび適応化の背後にある原理について論じる。そして、基本的な共通の説 および含まれるメカニズムについて説明し、実装例を挙げる。これにより、適 応化に対する標準化されたシステムサポートの重要性が明らかになる。そして、 いくつかの未解決の研究課題を論じることにより、まとめとする。


IMMPS: マルチメディアプレゼンテーションデザインシステム
IMMPS: A Multimedia Presentation Design System

Timothy K. Shih Tamkang University Ruth E. Davis Santa Clara University

IEEE MultiMedia, April/June 1997 Vol. 4, No. 2

本記事においては、インタラクティブなマルチメディア開発システムを紹介す る。ここでは、プレゼンテーションを制御の視点および知識の継承の視点とい う二つの視点からとらえている。プレゼンテーションの制御は、プレゼンテー ションのウインドウ同士のメッセージ伝送に基づいており、一方、共通の情報 および知識は推論システムを通じてプレゼンテーションのウインドウによって 継承/共有される。ユーザがプレゼンテーションを見ている間、基礎をなす推 論システムはユーザの反応を見て学習を行う。このメカニズムによって、ユー ザの背景知識などにしたがってプレゼンテーションの調節を行うことが可能に なり、結果としてプレゼンテーションが動的にカスタマイズ可能なものになる。 オブジェクト指向マルチメディアデータベースは、資源やプレゼンテーション の構造化を可能にし、データベースのブラウザはデータベースのオブジェクト の再利用を容易にする。このデータベースシステムは、マイクロソフト社の Windows95のもとに実装されており、多目的のプレゼンテーションや、教育、 学習、製品デモといった特殊な領域においても用いることができる。


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IEEE Multimedia (IEEE) Vol.4, No.3


Webコンテンツのビジュアルサーチ
Visually Searching the Web for Content

John R. Smith and Shih-Fu Chang Columbia University

IEEE MultiMedia, July - September 1997 Vol. 4, No. 3

WWW (World Wide Web)上の画像・動画像を検索するプロトタイプシステムにつ いて述べる。画像・グラフィクス・アニメーション・ビデオといった形式にお ける新しい視覚的情報が予想以上のスピードで増え続けている。しかし、これ らの情報すべてについて目録を作るのは、現在のテキストベースのWebのサー チエンジンの能力を超えている。本記事においては、Web上の視覚的情報を自 動化されたエージェントによって収集し、目録を作り、高速探索や検索のため の索引をつける完璧なシステムについて述べる。Webから50万以上の画像や動 画像の目録作成に基づく初期的な評価結果を示す。


マルチメディアデータベース管理システム−要求事項と問題事項
Multimedia Database Management Systems - Requirements and Issues

Donald A. Adjeroh The Chinese University of Hong Kong Kingsley C. Nwosu Lucent Technologies

IEEE MultiMedia, July - September 1997 Vol. 4, No. 3

マルチメディアコンピューティングやマルチメディア情報処理の出現により、 マルチメディアのデータベース管理システム(DBMS)への要求が起きてきた。マ ルチメディアDBMSには、十分なマルチメディアデータの蓄積容量や操作能力が 備わっている。マルチメディアデータは、通常、テキスト、画像、音声、グラ フィクス、動画といった異なる形式で現れる。マルチメディアデータの構成は、 新たな要求や問題を引き起こし、その要求や問題は従来のDBMSのものとは異な る。マルチメディアデータの空間的(データ構造)、時間的(データ構造)、蓄積、 検索、統合、プレゼンテーションそれぞれへの要求は従来のデータへの要求と 非常に異なる。本記事においては、マルチメディアデータの本質を吟味し、マ ルチメディアDBMSに必要なものを強調する。さらに、マルチメディアDBMSを開 発するために必要な要求事項と問題事項について論じる。


マルチメディア向けのオブジェクトデータベース管理システム(DBMS)の評価
Evaluating Object DBMSs for Multimedia

Paul Pazandak Object Services and Consulting Jaideep Srivastava University Of Minnesota

IEEE MultiMedia, July - September 1997 Vol. 4, No. 3

マルチメディアアプリケーションの開発のためのオブジェクトデータベース管 理システムの適合性を定義するために使う機能について述べる。最も理想的な データベースソフトでさえもオペレーティングシステムやネットワークやハー ドウェアから独立に動作することはできないので、ハードウェアおよびソフト ウェアのすべてのレベルにおける支援について論じる。現在の商用および研究 段階のオブジェクトデータベース管理システムによって提供されるマルチメディ ア支援についても論じる。


メディアサーバにおける初期待ち時間(latency)の削減
Reducing Initial Latency in Media Servers

Edward Chang and Hector Garcia-Molina Stanford University

IEEE MultiMedia, July - September 1997 Vol. 4, No. 3

マルチメディアサーバは、ビデオ・映画・ゲームといったプレゼンテーション を配送し、広帯域で連続的な実時間配送を提供する。本稿は、プレゼンテーショ ンの初期待ち時間、すなわち、プレゼンテーションへのリクエストの到着から プレゼンテーションの開始までの時間を削減する技術について紹介する。従来 は、初期待ち時間にはあまり注意が払われていなかった。これは、マルチメディ アサーバのひとつのメジャーなアプリケーションは「映画オンデマンド」であ り、そこではひとつの新しい何時間もの映画が始まる前の数分の遅延は許容範 囲だからである。しかし、ビデオゲームや、マルチメディア文書のブラウジン グといったインタラクティブなアプリケーションにおいては、待ち時間の削減 が重要になってくる。さまざまな待ち時間削減方法が検討・提案されており、 その性能が比較されている。分析の結果、オンディスクパーシャルデータ応答 (on-disk partial data replication)技術は、スループットへの悪影響なしに、 初期待ち時間をかなり削減する(場合によってはほとんどなくしてしまう)こと ができることがわかった。ここで提案されるオンディスクパーシャルデータ応 答手法は、これまでのどの初期待ち時間を削減する試みよりもコスト的にはる かに効率的である。


構造化されたビデオの座標表示
On Coordinated Display of Structured Video

Martha L. Escobar-Molano University of South Florida Shahra Ghandeharizadeh University of Southern California

IEEE MultiMedia, July - September 1997 Vol. 4, No. 3

ビデオクリップの表示に対して構造的なアプローチを用いると、プレゼンテー ションは、描画特徴(rendering feature)とともに空間的/時間的構成概念を 用いて制約された(constrained)背景物体と役者(actor)(の三次元表現)の集ま りで構成される。空間的な制約は、画面上の表示されたオブジェクトの位置を 定義する一方、時間的な制約はオブジェクトの描画された時間を示す。ストリー ムベースと呼ばれる、ビデオクリップをフレームの並び(sequence)と概念化す るアプローチと比較すると、構造化アプローチは、他のプレゼンテーションに おけるオブジェクトの再利用性や、関連データの検索に対する効率的な問い合 わせ処理技術を与えるといえる。オブジェクトの表示があらかじめ記述された 時間的/空間的な制約を考慮している場合、プレゼンテーションの表示は座標 化されている(coodinated)と呼ばれる。これまでの研究により、単ディスクアー キテクチャのための構造化されたプレゼンテーションの座標表示を保証する最 適資源スケジューリング技術が導かれた。本記事では、その従来の研究をマル チディスクアーキテクチャに拡張する。資源スケジューリングの分類について 述べ、座標表示を支援するスケジューリング技術を提案する。提案技術のサブ セットは、利用可能な複数のディスクを通じたデータ配置操作を行う。他の技 術とのトレードオフを数量化するシミュレーション研究を行う。その結果を理 論的最小値と比較し、提案技術の一つがこの理論的最小値を近似するというこ とを示す。


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IEEE Multimedia (IEEE) Vol.4, No.4


DataWeb:Webのためのカスタマイズ可能なデータベース作成
DataWeb: Customizable Database Publishing for the Web

Ren仔 J. Miller Ohio State University Odysseas G. Tsatalos and John H. Williams IBM Almaden

IEEE MultiMedia, October - December 1997 Vol. 4, No. 4

DataWebプロジェクトの目標は、広範囲のネットワークやさまざまなメディア におよぶマルチメディアデータベースに対して問い合わせやブラウジングを行 うことである。WWW(World Wide Web)利用が爆発的に普及することにより、Web に興味のある団体(組織)に対して、耐えず増加するユーザに耐えず成長してい くデータの利用方法を提供することができる。ところが、Webは、問い合わせ のための要求が変わってきており、これらの新しい要求はWeb上のアプリケー ションの潜在的要求が満たされる前に明確にされなくてはならない。DataWeb プロジェクトの一部として、我々は、現在のハイパーテキストスタイルのWeb アプリケーションによって支援されたアクセスパラダイムおよび決定支援シス テムに基づくインテリジェントで容易な問い合わせ方法を開発した。この問い 合わせ方法は、これらのアプリケーションの基本的なナビゲーションや抽象化 のメカニズムを拡張可能なものおよび階層的なものに一般化するものである。 データベースのコンテンツにほとんど慣れていないユーザに興味を持ってもら うために、この問い合わせ方法は、データベース作成の試験台を示してマルチ メディアの問い合わせができるようにしている。この試験台は利用可能であり、 ギリシャ国立旅行機構のデータへのアクセスを提供する。このデータには、オ ンラインの小冊子や、スライドや、ビデオクリップや、その他旅行関連情報が 含まれている。


MHEGAM-A マルチメディアメッセージ作成システム
MHEGAM-A Multimedia Messaging System

Brigitte Kervella and Val屍ie Gay Universit;de Picardi Jules Verne

IEEE MultiMedia, October - December 1997 Vol. 4, No. 4

本論文は MHEGAM (MHEG-1 拡張メール)と呼ぶマルチメディアメッセージ作成 システムの全体について述べる。MHEGAMにより、そのメッセージの本文(主要 部分)同士が空間的・時間的に同期して表現されるマルチメディアメッセージ を作成したり、交換したり、返還したりすることが可能になる。このメッセー ジの記述にはMHEG-1標準を用い、本論文はこの標準の概要について述べる。次 に、MHEGAMの特徴について述べる。特に、本論文では、MHEGオブジェクトをど のようにメッセージに含めることができるか、いかにして未知のメディアタイ プを他の構成要素を用いて処理するかについて説明する。MHEGAMは、X.420お よびMIMEという二つの標準メッセージングシステムのもとで利用することが可 能である。そこで、本論文では、MHEGAM-X.420およびMHEGAM-MIMEと呼ぶ二つ のシステムのマルチメディア拡張を紹介する。この二つのシステム双方につい て、このアーキテクチャにおけるマルチメディアメッセージフォーマットおよ び構成要素について紹介する。


ビデオの空間的・時間的なオーサリング・ナビゲーション
Authoring and Navigating Video in Space and Time

Nitin Sawhney Massachusetts Institute of Technology David Balcom IBM Interactive Media Ian Smith Georgia Institute of Technology

IEEE MultiMedia, October - December 1997 Vol. 4, No. 4

ビデオを利用したハイパーメディアやハイパーテキストは、情報構造や審美的 プレゼンテーションを表現するため、独特な集会(会合)などの場面とともに発 展してきた。これらの集会は、CD-ROMやWWWによって課せられる技術的制約の 影響を受けてきている。他のアプローチとともに、二つの形式のメディア同士 を統合したり交換したりするためには、形式的方法論が必要である。テキスト およびビデオに時間的/空間的/関連した性質を付加することにより、新しい 表現形態が可能になる。我々は、ハイパービデオと呼ぶ、ビデオおよびテキス トベースのメディアの新しい形式を構造化したり動的に表示したりする一般的 な枠組を提案する。これまでに、ハイパービデオエンジンを開発し、このよう なメディアにおいて利用することのできる一般的な特質(property)や美的技術 の実例として、実験的なハイパーメディア作品「ハイパーワーク」を作成した。 ハイパービデオに関する今後の研究課題とともに、我々のオーサリングアプロー チや、対話を最小限にする技術の設計について述べる。


人々の共鳴を得るマルチメディアのためのマルチレベルのスクリプト
Multilevel Scripting for Responsive Multimedia

Stefan Agamanolis and V. Michael Bove, Jr. MIT Media Laboratory

IEEE MultiMedia, October - December 1997 Vol. 4, No. 4

人々の共鳴を得るマルチメディアとは、試聴者本人、環境、設備、振舞いに対 して、ある方法で反応する能力を持つメディア形式を融合することを指す。最 新の、人々の共鳴を得るマルチメディア作品は、しばしば、さまざまな専門知 識を持つ多くの人々の共同制作を含み、新しいセンサあるいはディスプレイ技 術を組み合わせるといったレベルからメディアオブジェクトやその振舞いの構 造化といったレベルまでの多くのレベルにおける革新を要求する。それゆえ、 ツールは、オーサリングおよびユーザベースの双方の点から、これらのプロジェ クトのマルチレベルの特性を支援するように設計する必要がある。本記事にお いては、この目標を意図して設計したスクリプト環境、およびこの環境を用い た、対話的物語からライブ通信システムといった範囲におよぶいくつかの主な マルチメディアプロトタイプを開発する実験について紹介する。


インタラクティブなビデオオンデマンドのための分割/融合プロトコル
The Split and Merge Protocol for Interactive Video-on-Demand

Wanjiun Liao National Taiwan University Victor O. K. Li The University of Hong Kong

IEEE MultiMedia, October - December 1997 Vol. 4, No. 4

真のビデオオンデマンド(欲しい時に欲しいビデオが得られるサービス(VoD)) は、ビデオ番組の選択をもでき、あらゆるVCRのようなユーザとの対話を行う ことにより、ビデオサービスに究極の柔軟性を与えるものである。真のVoDを 可能にすることにより、利用者おのおののためのビデオストリームを得る一つ のアプローチとなる。このアプローチは、特に複数の同一のビデオストリーム が同じビデオにアクセスする複数の利用者に送られる場合にコストがかかる。 商用的に実行可能にするには、VoDサービスは、現存するレンタルビデオサー ビスと比較できるような価格でなくてはならない。 バッチ処理は、このコストを削減するために利用できるかもしれない。バッ チ処理は、複数のユーザが同じビデオストリームを共有して同じビデオにアク セスすることを可能にする。現在のバッチ処理手順は、近似的な(near)VoDサー ビスのみを可能とするものである。我々のアプローチは、対話ユーザをバッチ から分離し、そのユーザにそのユーザのためのビデオストリームを与えるもの である。切り離された個々のユーザが再び通常の再生を行う時に、ユーザを再 びバッチストリームにマージするという革新的な方法を開発した。


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