AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.1


丁寧なパーソナルエージェント
Polite Personal Agents

Silvia Schiaffino, ISISTAN Research Institute, Universidad Nacional del Centro de la Provincia de Buenos Aires, and Consejo Nacional de Investigaciones Cientificas y Tecnicas, Argentina, Analia Amandi, ISISTAN Research Institute, Universidad Nacional del Centro de la Provincia de Buenos Aires, and Consejo Nacional de Investigaciones Cientificas y Tecnicas, Argentina

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 12-19 , January February 2006

Keywords: intelligent agents, personalization, user profiles, human-computer interaction

多くの人は自分の仕事を手伝ってくれる個人的なアシスタントを歓迎するだろう。しかし自分の仕事を助けてくれるというのがソフトウェアである場合には、多くの人はこのアシスタントからの提案の価値を疑ってしまう。ソフトウェアアシスタントが、自分の現在の仕事に関係ない情報を提示したり、必要ない提案をすることによって仕事を邪魔された経験により、人々はこのコンセプトを信用しなくなっている。ソフトウエアエージェントはユーザーが自分で解決したがっている場合にはどんなアクションをとれば良いかのサジェスチョンを提供し、またユーザが求めるものが解法である場合には、取り扱う問題について警告を発することもできる。ソフトウェアアシスタントが人々に受け入れられるためには、システムは単にユーザの興味や優先順位を学習するだけではなく、様々なコンテキストにおいて、ユーザと共にどのように仕事をし、どのように反応するのが適当かを学習する必要がある。本稿で提案する新しいユーザプロファイリングアプローチでは、ユーザーと彼らのパーソナルエージェント間の相互作用をパーソナライズし、強化する。このアプローチでは、コンテキストを考慮したアシストを提供できるように、またコンテキストを考慮してユーザ作業への割り込みが適時にできるように、エージェントを設計する。

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セマンティックウェブを探して:オントロジーに基づいた近似クエリ処理
Searching the Semantic Web: Approximate Query Processing Based on Ontologies

Olivier Corby, INRIA, Rose Dieng-Kuntz, INRIA, Catherine Faron-Zucker, I3S, UMR CNRS, Fabien Gandon, INRIA

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 20-27 , January February 2006

Keywords: Semantic Web, Web search, approximate queries, RDF Schema, RDF, conceptual graphs

セマンティックウェブのコンテキストにおいては、実行可能な多くのクエリがリソース検索に全く用いられない。これはオントロジーデザイナー、アノテーションデザイナー、そしてウェブサーチを実行するユーザの視点が、必ずしも一致しないためであり、これは間違えた検索結果を導く。それゆえ近似クエリ処理はセマンティックウェブを効率的に検索するための最も重要なものである。Coreseのオントロジーに基づいたサーチエンジンにより、RDFスキーマ、OWL LiteおよびRDFメタデータの一部を扱い、近似クエリを処理する。

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知的なレコメンデーション技術によりモバイルWebアクセスを強化する
Enhancing Mobile Web Access Using Intelligent Recommendations

Baoyao Zhou, Nanyang Technological University, Siu Cheung Hui, Nanyang Technological University, Kuiyu Chang, Nanyang Technological University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 28-34 , January February 2006

Keywords: mobile browsers, cell phones, Web usage mining, sequential Web-access patterns, Web recommendation, trie

携帯電話が世に普及し続けることにより、携帯電話はユーザーに最も好まれるインターネットクライアントになりえるだろう。特に広く普及した第三世代のモバイルサービスを考慮すると、この推測は妥当と思われる。携帯電話のディスプレイスクリーンはウェブサーフィン用途としては不適切に小さいが、これは携帯性の要求から来るものである。レコメンデーションを用いることでモバイルウェブサーフィンを助けることができる。クラスタリングと関連付けルールのマイニングを用いる殆どのウェブレコメンデーションアプローチと異なり、我々のアプローチは、頻出する連続ウェブアクセスのパターンを同定する。パターンツリーと呼ばれるツリー構造により、このパターンを格納し、レコメンデーションリンクを生成する。実験的な評価によりこのアプローチの効果を例証する。

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CinemaScreenレコメンデーション・エージェント:協調フィルタリングとコンテンツに基づいたフィルタリングの結合
CinemaScreen Recommender Agent: Combining Collaborative and Content-Based Filtering

James Salter, University of Surrey, Nick Antonopoulos, University of Surrey

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 35-41 , January February 2006

Keywords: decision support, intelligent agents, information filtering, recommender systems

CinemaScreen映画レコメンデーション・エージェントシステムは協調フィルタリングとコンテンツに基づいたフィルタリング技法を結合し、これにより、ユーザの地元の映画館で新しくリリースされた映画のレコメンデーションを可能とする。このエージェントは協調フィルタリングを用いて、ターゲットユーザと同じ嗜好をもつユーザ群を見つけだし、予想されるユーザによる評価の初期セットを生成する。そしてこのセットをコンテンツベースのフィルタリング処理にかけ、映画間の関係に従って、このセットを拡張し、微調整を行う。他のスキームとの比較では、一般的な映画のレコメンーションではほぼ同等の精度と再現率を持ち、新作映画ではより高い精度を達成した。

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セマンティックウェブデータとオントロジーの自動クリーニングの基礎的挑戦
Foundational Challenges in Automated Semantic Web Data and Ontology Cleaning

Jose A. Alonso-Jimenez, Universidad de Sevilla, Joaquin Borrego-Diaz, Universidad de Sevilla, Antonia M. Chavez-Gonzalez, Universidad de Sevilla, Francisco J. Martin-Mateos, Universidad de Sevilla

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 42-52 , January February 2006

Keywords: data cleaning, Semantic Web, certified reasoning

セマンティックウェブにおけるデータクリーニングのための自動化されたリーズニングシステムを適用しようとすると、データクリーニングのためのエージェントの設計に関する多くの基礎的かつ挑戦的な課題が見えてくる。本稿ではこれらの課題について議論し、セマンティックウェブは、保証されたリーズニングに基づく場合にのみ、論理的な信頼が置けることを示す。

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ナレッジマネジメントとセマンティックウェブ:シナリオからテクノロジーへ
Knowledge Management and the Semantic Web: From Scenario to Technology

Paul Warren, BT Research

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 53-59 , January February 2006

Keywords: Semantic Web, knowledge acquisition, knowledge maintenance, knowledge modeling, knowledge publishing, knowledge retrieval, intelligent agents, Internet reasoning services

元々セマンティックウェブはサービスを提供するためのツールであった。ここでいうサービスとは多くの場合電子商取引(eコマース)に関するものである。最近セマンティックウェブは、ナレッジマネジメント環境としてとらえられている。セマンティックウェブをこのような用途に用いるためには、新たな要求を考慮する必要がある。たとえば半自動的にオントロジーを学習する能力や、メタデータを抽出する能力である。これは、ユーザが新しい知識を創出する際のサポートとして、そしてユーザがウェブ上の大量の旧来のデータを扱うためのサポートとして必要である。これらの要求を満たすために、どのような技術が必要とされるかを明らかにするために、現在のセマンティックウェブ技術を俯瞰することが有効だろう。これにはオントロジー言語、ツール、実際のオントロジー、そしてこれらの技術を利用し、分類を実装した製品を含む。知識集約的な業務の本質とセマンティック関連の技術とを結びつけることは、セマンティックウェブをナレッジマネジメントに利用するための挑戦的課題の一つである。

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MASACAD:情報カスタマイズのための複数エージェントに基づいたアプローチ
MASACAD: A Multiagent-Based Approach to Information Customization

Mohamed Salah Hamdi, University of Qatar

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 60-67 , January February 2006

Keywords: academic advising, information customization, multiagents, neural networks, Web mining, expert systems

World Wide Web (WWW)で利用可能な大量のコンテンツ情報は、その効果的な利用についての重要な問いかけを発している。このような環境に対応するために、情報カスタマイズシステムの有望性は非常に魅力的になってきている。MASACADはウェブ情報をマイニングすることで学生に対してアドバイスを出すためのマルチエージェントシステムである。マルチエージェントパラダイムと機械学習、ユーザモデリング、およびウェブマイニングの視点を用いて情報カスタマイズを試みる。

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モニタリングエージェントを利用したスペースシャトル地上作業
Space Shuttle Ground Processing with Monitoring Agents

Glenn S. Semmel, NASA Kennedy Space Center, Steven R. Davis, NASA Kennedy Space Center, Kurt W. Leucht, NASA Kennedy Space Center, Daniel A. Rowe, NASA Kennedy Space Center, Kevin E. Smith, NASA Kennedy Space Center, Ladislau Boloni, University of Central Florida

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 68-73 , January February 2006

Keywords: Space Shuttle, autonomous agents, NASA Engineering Shuttle Telemetry Agent, pattern matching, predicate logic, expert systems, rule-based systems

スペースシャトルとその全ての関連サブシステムが発射への準備が整っていることを保証するため、ケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center: KSC)の技術者達は、地上における作業に関して万を超えるテレメトリー計測値をモニタしなければならない。この大規模なデータモニタリングは、地上作業期間中継続して行われるが、発射前の数日、数週間にピークを迎える。このような24時間体制の多数の測量モニタリング作業をサポートするため、近年NASAシャトル遠隔モニタリングエージェント(NASA Engineering Shuttle Telemetry Agent: NESTA)がKSCで開発され、使用されている。NESTAは年中無休で稼働し、あらかじめ定められた注目データパターンをスキャンし、即座にシャトル技術者にemailかポケベルを通じて連絡する。

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調達処理とHCC(Human-Centered Computing)の密接な関係
HCC Implications for the Procurement Process

Robert R. Hoffman, Florida Institute for Human and Machine Cognition, William C. Elm, ManTech International

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 74-81 , January February 2006

Keywords: procurement process, human-centered computing, requirements specification

殆どのシステム設計者と人的要因の解析を行う技術者は、結果として短期コストの強い制約を受けたシステムを作ってしまうようなプロジェクトに参加した経験がある。情報処理及び、複雑な社会技術理論領域における知識技術を調達する場合、人間中心のアプローチを実践するための短期コストは将来重くなる。このコストは、技術者やプロジェクトマネジャーなどよりも、更に重くユーザの肩にのしかかる。本稿ではアメリカ気象サービス(US National Weather Service)の高度気象情報処理システム(Advanced Weather Information Processing System)の例をあげて説明する。HCCの概念を設計上の課題もしくは技術調達のポリシーとすることにより、人間中心のITを実現し、ITを更に知的なものとすることができる、と本稿の著者は主張している。

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セマンティックウェブ技術を薬品の安全性評価に適用する
Applying Semantic Web Technologies to Drug Safety Determination

Susie Stephens, Oracle, Alfredo Morales, Cerebra, Matthew Quinlan, Cerebra

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 1, pp. 82-86 , January February 2006

Keywords: Semantic Web, drug safety, RDF data model

薬品の安全性を決める際に、望ましくない結果をもたらすシグナルを見つけ出すことは、研究の歴史から見ても最も重要な課題の一つと言える。これは薬効の発見および開発過程、そしてその薬品が市場へ投入されてから、の両方の期間において重要である。このシグナルを見つけるために必要とされる情報には、実は共通性が少なく、異なる機能グループ中の複数のデータリポジトリに分散してしまっている。データリポジトリが異なる組織にまたがって分散してしまっていることさえある。セマンティックウェブは、データ統合のための新しい能力を持っている。これは明示的に定義されたセマンティクスと、良好に定義されたオントロジーを利用するものである。これらの技術により、異種データの統合処理を簡単化し、データから更なる考察が論理的に推測できる見込みがある。Oracle RDFデータモデルをCerebra Serverと統合する。これは薬品の安全性情報を仲介することに起因する複雑性を取り扱うための複合的な解法である。ユースケース記述により、現在の状況と、この複合的な解法がどのように助けとなるかを例証する。

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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.2


ゲスト編集者の紹介:自己組織化による自己管理
Guest Editors' Introduction: Self-Management through Self-Organization

M?rk Jelasity, Universit? di Bologna Ozalp Babaoglu, Universit? di Bologna Robert Laddaga, Massachusetts Institute of Technology

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 8-9 , March/April 2006

Keywords: autonomous computing, cellular automata, distributed systems, self-organization

今日の情報システムの規模と複雑性を考えると、これらのシステムが、自ら知的かつ自動的にシステム管理及びタスク管理の諸問題に対処する能力を持つことは極めて重要な意味がある。本特集号では、 既に我々の周りに存在する自己管理システムを観察することで、様々な分散システムにおける自己管理機能の実装に注目する。このようなシステムとしては例えば多細胞器官、社会的昆虫、市場経済、 人間社会、生態系などがある。これらのシステムは局所ルールに従う部分により構成されるものであり、局所観察に基づいて活動を行うが、これは時に自己中心的な振る舞いに帰着する。このシステムは全 体としてみると、自己治癒、自己調整そして自己組織化などの大域特性を示す。これらのシステムから得たアイディアを洗練させ、情報システムに取り入れることで、安価で効果的、且つ頑健性の高いソリュ ーションが得られることがある。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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センサー/アクチュエータネットワークにける調整された創発(engineered emergence)のためのインフラ
Infrastructure for Engineered Emergence on Sensor/Actuator Networks

Jacob Beal, Massachusetts Institute of Technology Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory Jonathan Bachrach, Massachusetts Institute of Technology Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 10-19 , March/April 2006

Keywords: wireless sensor networks; concurrent, distributed, and parallel languages; distributed systems; dataflow languages

創発現象(emergent phenomena)を制御する能力は、このような現象を、独立した処理(engineering)からの影響を受けやすいいくつかの視点に分解することにかかっている。アモルファス媒 体抽象化(amorphous medium abstraction)により、連続空間に求められる挙動と、この空間を近似するセンサー/アクチュエータネットワークに、この挙動がどのように実装できるか、という2 者を分離して考えることができる。Proto言語を用いることで、自己組織化プリミティブをアモルファス媒体上に構成することができる。これにより、このアプローチはこの処理に関する問題を以下の3つの成分に 分離する。1. アモルファス媒体のエミュレートとコード配布のための離散カーネル、2. Proto言語のコンパイラ、3. 高位調整及び恒常性(ホメオスタシス)プリミティブの実装。このような分離により、空 間挙動を制御するプログラムの簡明な表現が得られる。このフレームワークの実装を通じ、プログラムを書き、それを1万以上のノードを持つデータおよびMica2 motesのネットワークを用いたシミュレーショ ンにより、検証した。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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集合的構築(Collective Construction)における拡張スティグマジー(stigmergy)
Extended Stigmergy in Collective Construction

Justin Werfel, Massachusetts Institute of Technology Radhika Nagpal, Harvard University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 20-28 , March/April 2006

Keywords: distributed artificial intelligence, coherence and coordination, multiagent systems

エージェント群は、環境を操作することでその部分の振る舞いを調整することができる。これはスティグマジー(stigmergy)として知られる。環境要因を拡張し、情報を蓄積、処理そして通信する能力を与 えることにより、このアプローチの実効性を向上させることができる。これを我々は拡張スティグマジーと呼ぶ。ロボット群は、これらのいずれかのアプローチを用いることができ、それにより、正方形のブロック (building block)を組み合わせることで、自動的に二次元の剛体によるユーザ特有の構造を構築することができる。異なる方式でブロックを構成する3つのアルゴリズムの性能の比較評価を行い、こ の拡張スティグマジーの有効性を例証する。このアプローチにより、モバイルロボットにおける非局所情報の可用性を高め、構築にかかわる時間を短縮し、エージェント群、ロボット群の並行処理を利用できる 機会を向上させている。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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SLACER:Peer-to-Peerネットワークのための自己組織化プロトコル
SLACER: A Self-Organizing Protocol for Coordination in Peer-to-Peer Networks

David Hales, University of Bologna Stefano Arteconi, University of Bologna

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 29-35 , March/April 2006

Keywords: coordination, cooperation, P2P, social networks, self-organization

高度にダイナミック且つオープンなpeer-to-peer(P2P)システムにおける協調動作の構築と維持は大きな課題である。P2Pノード間の協調動作を維持することは、協調作業の部分問題として認識さ れている。一般的に、研究者は各ノードの協調的動作か、reputationシステムの利用のいずれかを前提とする。前者では事前に変更できない形で正しい協調動作が定義(ハードコード)されているこ とが必要である。後者では共有履歴機構の維持管理が必要である。SLACERは、プロトコル全体のハードコードや共有履歴無しに、与えられた条件下で協調動作と協働を行うためのシンプルなプロトコル である。システム全体で最適な出力を得るためのP2Pネットワークシミュレーションにおける、端末点間の協働が必要とされる一般的なテストケースでは、SLACERにより、結合協働及び頑健なネットワークが 自己組織することができた。新しいアプリケーションの可能性に加え、SLACERはPPアプリケーションに適した協働ネットワークを維持することもできる。このようなネットワークは現在のところ人間の社会ネットワ ークにより完全自律な自己管理システムに変換することが必要とされている。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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スズメバチ(wasp)およびオープンソースコミュニティにおける自己組織化パターン
Self-Organization Patterns in Wasp and Open Source Communities

Sergi Valverde, Pompeu Fabra University Guy Theraulaz, Universit? Paul Sabatier Jacques Gautrais, Universit? Paul Sabatier Vincent Fourcassi?, Universit? Paul Sabatier Ricard V. Sol?, Pompeu Fabra University and Sante Fe Institute

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 36-40 , March/April 2006

Keywords: social networks, self-organization, open-source software development

ソフトウェア開発コミュニティの複雑な振る舞いを理解するためには、目的と拘束条件を基準として動作する相互作用エージェントのネットワークとして、これらの組織を見ることが必要である。これらのコミュニティ は特定の特徴に加え、全体としてのパターンを示している。これは自然界及び人工システム両方における他の組織タイプで見られるのと類似したパターンである。ソフトウェア開発者と社会的昆虫を、複雑な ネットワーク中で相互作用するエージェントとして検討することにより、共通する統計的な組織のパターンが見えてくる。これらのパターンを研究することで、スズメバチのコロニー及びオープンソースコミュニティにお ける社会階層形成に至るシンプルな自己組織化プロセスが分かる。更にこの発見により、各個の学習に基づいた、スズメバチの社会階層形成のシンプルなモデルを検証することもできる。これは、オープンソー スコミュニティにおいて、中心となる小数のメンバーと他とを明確に区別する同時に異なる強化機構も明らかにする。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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顧客起点のセンサー管理
Customer-Driven Sensor Management

Tracy Mullen, Pennsylvania State University Viswanath Avasarala, Pennsylvania State University David L. Hall, Pennsylvania State University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 41-49 , March/April 2006

Keywords: sensor management, market-based approaches, combinatorial auctions, level 4 data fusion, genetic algorithms, local stochastic search

顧客起点のセンサー管理は、電子商取引(e-commerce)のコンセプトと利点をセンサー管理に適用することを提唱するものである。電子商取引では顧客要求が生産プロセスを駆動する。センサー管理 はこれまで市場主義的プロセスに従うところが少なく、それゆえ生産物としての情報(information “goods”)を予め定められたシステムの目的と特性に従って生成するものでしかなかった。本稿では 顧客起点の市場要求に基づいたセンサー管理のアプローチの導入による可能性と利点のいくつかを検証する。本稿は自己管理システム特集号の一部である。

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学際的研究:自己組織化の役割
Interdisciplinary Research: Roles for Self-Organization

M?rk Jelasity, Universit? di Bologna Ozalp Babaoglu, Universit? di Bologna Robert Laddaga, Massachusetts Institute of Technology Radhika Nagpal, Harvard University Franco Zambonelli, Universit? di Modena e Regio Emilia Emin G? Sirer, Cornell University Hakima Chaouchi, National Institute of Telecommunication Mikhaill Smirnov, Fraunhofer FOKUS

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 50-58 , March/April 2006

Keywords: distributed systems, research, self-organization, amorphous computing, adaptive structures, self-adaptive systems, distributed systems, resource management, resource optimization, self-management, adaptation, automation, reconfiguration, autonomic communication

学際的研究:自己組織化の役割
必要とされる大域的挙動を実現するための局所相互作用機構を設計するための一般的な法則やガイドラインはこれまでのところ存在しない。しかしいくつかのコミュニティではニッチアプリの分野でこの問題に 迫る方法が開発された。彼らの研究開発における自己組織化の役割をレビューするために、左記コミュニティの代表者を招聘し議論した。
自己組織化形状とパターン:細胞からロボットまで
多細胞組織は本質的には生滅を繰り返す細胞の集合にすぎないが、全体としての機能も持つ。もし仮にこのようなシステムを作りたいと望むならば、各細胞にどのような命令を下すべきか?マサチューセッツ 工科大学アモルファスコンピューティングプロジェクトでは、この問いに答えるべく研究を行っている。
“無個(Nonself)”の自己管理及び多面性
自己管理システムにおける自己-○○○と呼ばれる特徴の殆どは、人間をシステムに関係の無い“無個”としてとらえている。このような特徴の例としては、自己構成、自己適応、自己治癒、などがある。自律 的コンピューティングはこのアーキテクチャを引き継ぎ、それゆえ人間の管理者をシステムで置き換えることを殆どしない。生物学からアイディアを得た自己組織化システムの開発は行き詰まり感がある。自己管 理システムの問題に対する生態学的な視点を導入することで、他の通常コンポーネントを凌駕する知識と能力を持った“管理者”コンポーネントをシステムに組み込むことができる。
有害と目されるヒューリスティクス:分散システムにおけるリソース管理のための数学的最適化
分散システムは時にリソース管理に関する困難な課題に直面することがある。これには通信帯域やストレージ容量、計算能力などの重要なリソースを、競合するタスク間で分割する問題も含まれる。従来の 方法では、このような問題は、問題領域特有のヒューリスティクスを用いて解消されてきた。このようなヒューリスティクスは、負荷の特性の揺らぎに対して頑健ではなく、また、リリース後のシステムの緊急時特性 に関する決定論的意味付けを行うこともできない。数学的最適化はより理論に則ったアプローチを分散システムのリソース管理に与えるものであり、これはリソース配置問題に最適なものである。本稿の著者 は解析的モデリング、最適化、そして実装実用性に基づいた一般的アプローチの概略を説明する。このアプローチを様々な領域に適用したところ、性能と頑健性において定性的な改善がみられた。
自律通信:ビジネス駆動革命
自律通信は近年発展してきたコンセプトであり、増大し続けるネットワーク制御とその管理の複雑性を取り扱うためのものである。本稿の著者は既知のネットワーク自己管理特徴において、上記コンセプトを 説明する。このような特徴の例としては自動化、自己適応、そして自己再構成などがある。本稿で著者は、自律通信はネットワーク自己管理の自然な発展だが、これは同時に通信サービスにおいて革命 を起こしうるものであると主張する。またユーザとビジネスプロセスにより統御される完全自律通信システムに向けた概念レベルのロードマップも示す。

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計算論的ユーモア
Computational Humor

Kim Binsted, University of Hawaii Benjamin Bergen, University of Hawaii Seana Coulson, University of California, San Diego Anton Nijholt, University of Twente Oliviero Stock, ITC-irst Carlo Strapparava, ITC-irst Graeme Ritchie, University of Aberdeen Ruli Manurung, University of Edinburgh Helen Pain, University of Edinburgh Annalu Waller, University of Dundee Dave O'Mara, University of Dundee

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 59-69 , March/April 2006

Keywords: computational humor, frame shifting, embodied conversational agents, affective computing, communication-related disabilities

いつの日か、コンピュータが人間と自然かつ効果的にコミュニケーションが取れるものであるならば、コンピュータはユーモアを解するものでなければならない。更に言うならばユーモアは、人間が実世界の複雑かつ クリエイティブな言語をどのように処理しているかに関する洞察を与えるものである。コンピュータにおけるユーモアの生成及び理解をモデル化することにより、単にユーモアだけでなく、人間の脳が一般的な言語と 認知をどのように扱っているかをより良く理解することができる。本稿はTrends & Controversiesの一部であり、ユーモアの様々な側面と応用にフォーカスしている。

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インターネット上におけるデジタルコンテンツのレコメンデーション
Digital Content Recommender on the Internet

Sung Ho Ha, Kyungpook National University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 70-77 , March/April 2006

Keywords: digital content, personalization, recommender system, data mining

殆どのデジタルコンテンツレコメンデーションシステムが、コンテンツの類似性を利用しているのに対し、本稿で説明するシステムはユーザプリファレンスによりレコメンデーションを行う。同システムは設定を各ユーザの 好みに合わせてカスタマイズすることができ、ニュースサイトなどに加え、インターネットサービスプロバイダーにも利用可能な方法論である。ユーザプリファレンス値を用いることで、ユーザプリファレンスへの関連度に 従ってレコメンデーション結果を順位づけする。インターネット上の英語のニュースサイトに対して適用したプロトタイプシステムにより、この方法論の実現可能性と効果を試験した。

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ラフ集合理論と主成分解析に基づいた知識獲得
Knowledge Acquisition Based on Rough Set Theory and Principal Component Analysis

An Zeng, Guangdong University of Technology and South China University of Technology Dan Pan, Guandong Mobile Communication Co. Ltd. Qi-Lun Zheng, South China University of Technology Hong Peng, South China University of Technology

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 78-85 , March/April 2006

Keywords: collective correlation coefficient, principal component analysis, rough set, knowledge acquisition

ラフ集合(rough set: RS)理論により、知識獲得のためのアプローチが得られる。殆どのラフ集合に基づいたリダクションアルゴリズム(reduction algorithm)は、条件特性と意思決定特性 との間の依存性のみから導出されたヒューリスティクス知識を用いて、最小の特性削減(minimal attribute reducts:知識表現の最小サブセット:訳者注)を見つけるためのものである。最小 特性削減に基づくルールは、熟練者の知識を表現するには単純すぎる。より強い一般化能力を持つルールを得るために、ラフ集合と主成分解析(knowledge acquisition based on RS and Principal Component Analysis; KA-RSPCA)を提案する。KA-RSPCAは集合相関係数(collective correlation coefficient)をヒューリスティクス知識 として用いて、特性削減(attribute reduction)と特性値削減(attribute value reduction)をサポートする。この係数は主成分解析に基づいた定量的指標であり、各条件特 性の、状態空間への寄与率を測るものである。この状態空間は決定木における条件特性全体により構成されるものである。他のアルゴリズムとの比較のために2つのテストデータセットを用い、KA-RSPCA アルゴリズムの試験を行ったところ、僅かな使用ルール数の増加はあるものの、誤り率の削減が確認された。

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産業界におけるエージェント技術:AAMAS 2005インダストリートラックでのベストペーパー
Agents in Industry: The Best from the AAMAS 2005 Industry Track (HTML)

Michal Pechoucek, Czech Technical University Simon G. Thompson, BT Jeremy W. Baxter, QinetiQ Graham S. Horn, QinetiQ Koen Kok, Energy Research Center of the Netherlands Cor Warmer, Energy Research Center of the Netherlands Ren? Kamphuis, Energy Research Center of the Netherlands Vladim? Mar?, Rockwell Automation Research Center, Prague Pavel Vrba, Rockwell Automation Research Center, Prague Kenwood H. Hall, Rockwell Automation Advanced Technology Laboratory Francisco P. Maturana, Rockwell Automation Advanced Technology Laboratory Klaus Dorer, Whitestein Technologies Monique Calisti, Whitestein Technologies

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 86-95 , March/April 2006

Keywords: agents, agent technologies, multiagent systems, logistics, control, UAV, unmanned aerial vehicles

マルチエージェントシステムとエージェント技術は、新しい実装パラダイムと直ぐに利用可能な様々な技術、開発プラットホーム、そして実装テクニックとアルゴリズムをもたらすものである。Fourth International Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systems (AAMAS) 2005のインダストリートラックは、産業分野でのエージェント技術を用 いた広範なアプリケーションをカバーする。本稿は、上記トラックでの議論に基づき、エージェント技術がどれだけビジネス分野での実使用のための準備ができているかにつていくつかの示唆を与える。UAV (unmanned aerial behicle:無人飛行機)制御、路地スティクス、製造業、そして配電システムにおけるエージェントの展開について簡単に説明する。

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ITSC05:現在の研究課題とそのトレンド
ITSC 05: Current Issues and Research Trends

Shuming Tang, Shandong Academy of Sciences Fei-Yue Wang, University of Arizona Qinghai Miao, Chinese Academy of Sciences

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 2, pp. 96-102 , March/April 2006

Keywords: intelligent transportation systems

IEEE知的運輸システムに関する第8回年次国際会議(the IEEE eighth annual International Conference on Intelligent Transportation Systems: ITSC05)は昨年ウィーンで開催された。ITSC05では、運輸システムの安全性、効率、そして品質を向上することを目的とした、この10年でのITSの理論とアプリケーションの飛躍的な進 歩についてディスカッションが行われた。

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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.3


人工知能分野で注目するべき10の技術
AI's 10 to Watch

David L. Waltz, Center for Computational Learning Systems, Columbia University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 5-14 , May/June 2006

Keywords: artificial intelligence, human-level AI, linguistics, social networks, human cognition, genetic programming, description logics, multiagent coordination, the Semantic Web, algorithmic biology

IEEE Intelligent Systems主催“10の注目するべき技術賞”の受賞者(Eyal Amir, Regina Barzilay, Jennifer Golbeck, Tom Griffiths, Steve Gustafson, Carsten Lutz, Pragnesh Jay Modi, Marta Sabou, and Richard A. Watson)による、現在の研究及び人工知能研究の将来についてのディスカッションを紹介する。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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学習と教育:人工知能のフロンティアはまだ続く
Learning and Education: A Continuing Frontier for AI

Oliver G. Selfridge, Massachusetts Institute of Technology Media Lab and BBN Technologies

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 16-23 , May/June 2006

Keywords: machine learning, human learning, cognition, education, software design, purposes

機械学習は人工知能において最も重要な要素技術であり、これまでに大きな進展を見せている。しかしこの技術はまだ発展の余地がある。人工知能分野の学習過程における特定の課題と問題を検討するための基本研究は引き続き行われるべきである。もちろん学習は大きな研究トピックではあるが、人間の学習形態が必ずしも機械にとってのベストな学習形態ではないことは肝に銘じておくべきである。教育の役割とは、人間もしくは機械が、その能力の限界を乗り越えるための学習を可能にすること、及び学習者にモティベーションを与えることである。システム自らが学習し、また教育を受けることで自ら能力向上ができるソフトウェアシステムを検討する必要がある。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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社会へのサポート分野におけるロボット工学と知的システム
Robotics and Intelligent Systems in Support of Society

Raj Reddy, Carnegie Mellon University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 24-31 , May/June 2006

Keywords: Robotics, intelligent systems, speech, natural language processing, digital libraries, human computer interaction, computer vision

過去半世紀以上にわたり、ロボット工学と知的システムに関する大規模な研究がおこなわれてきた。これらの研究の多くは特定の技術課題をターゲットとしたものであった。これら2つの学術領域における発展は、今後、社会に大きなインパクトを与えるシステムやソリューションをもたらしうるものである。本稿では、人間社会の各サービスにおけるこのようなエコ技術の利用のいくつかの例を紹介する。またこれらの例はロボット工学、音声認識及び合成、視覚処理、ヒト—コンピュータインタラクション、自然言語処理、及び人工知能の各分野におけるものである。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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実体を持つエージェントのための記号論的ダイナミクス
Semiotic Dynamics for Embodied Agents

Luc Steels, Vrije Universiteit Brussel and Sony Computer Science Laboratory Paris

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 32-38 , May/June 2006

Keywords: multiagent systems, intelligent agents, artificial intelligence, semiotic dynamics, intelligent systems

記号論的ダイナミクス(semiotic dynamics)には、ユーザのグループや人工エージェントが、共通の記号系(semiotic system)を集合的に見つけ、やり取りするプロセスも含まれる。この記号系は、ユーザやエージェントが互いに通信したり、情報の組織化を行うために用いられる。タグ付けシステム(例えばFlickr、Cite ULike、del.icio.us、connoteaなど)は、インターネット技術などを使った仕事における、人間の記号系の例を示している。この仕事は同時に、ヒトや情報の“つながり”を強めている現在の世界における新しい集合的活動にも支えられている。記号論的ダイナミクスは、これまでの多くの人工知能の成果に立脚している。例えば、1970年代のセマンティックネットワークと知識表現に関する技術、1980年代後半のエージェントへの実体付与及び基礎研究(grounding)、そして1990年代のマルチエージェントシステムの視点などに対する洞察である。これらの全ての視点をまとめ、知能に関する新しい一つのビジョンを構成する。このビジョンは、その中心的なアイディアとして社会的且つ集合的な表現構成のダイナミクスを伴うものである。これらの新しい人工知能分野の技術開発は、各個独立に存在するものではない。これらは言語学、心理学そしてネットワークに関する数学的研究の最新の成果と共に発展したものである。本稿では記号論的ダイナミクスの現在の研究、そこから得られる技術、そして現在および将来の知的システムアプリケーションに与える影響について簡単に紹介する。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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人工知能と類似性
AI and Similarity

Edwina L. Rissland, University of Massachusetts

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 39-49 , May/June 2006

Keywords: similarity, explanation, examples, concepts, concept change, case-based reasoning, hypotheticals, open-texture, AI and law

人工知能技術を真の意味で頑健なものとするために、類似性に基づく理由付け、類比(analogy)、そして説明(explanation)に対する理解を深める必要がある。本稿はいくつかの可能性のある研究の方向性を紹介する。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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心ない知能
Mindless Intelligence

Jordan B. Pollack, Brandeis University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 50-56 , May/June 2006

Keywords: evolution, embryogenesis, ectomental, autopoesis, self-organization, artificial life, artificial intelligence

人工知能研究は、誤ったゴール設定でスタートした学術分野である。ときに研究者自身が自らを内省的に観察し、認知構造を模倣することで人間レベルの知能を実現しようとすることは、ソフトウェア実装上の制約により実際的には不可能である。しかし自然界の多くの処理が人間の記号的思考(symbolic thought)よりも遥かにパワフルである。進化や胚発生(embryogenesis)などの極度に反復的なシステムでは、論理、文法、そして他の擬人化された認知構造の仕組みは必要とされない。旧来の考えと同じように人間レベル知能を目指すのではなく、人間の心の外で構成されたものとして知能を研究することは、より科学的に信頼性の高いものであり、コスト的にも有利である。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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「助けになる環境」:地理的に散在した協調知的エージェント
The "Helpful Environment": Geographically Dispersed Intelligent Agents That Collaborate

Austin Tate, Artificial Intelligence Applications Institute, University of Edinburgh

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 57-61 , May/June 2006

Keywords: artificial intelligence, emergency response, safety net, ubiquitous computing, sensor grids, intelligent agents

洗練されたセンサーと、保護および修復のためのシステムからなるネットワークが、服や通信機器、車や他の移動手段、ビル、そして環境に統合されている未来を想像してみてほしい。これらは分散型かつ適応力ある、そして弾性運用可能な「助けになる環境」のための基礎を構成するものである。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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コミュニケーションの文化
Communicating Culture

Toru Ishida, Kyoto University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 62-63 , May/June 2006

Keywords: machine translation, cultural transmission, globalization, cultural preservation, glocalization

今日、従来のコカコーラやポケモンとは異なった形でのグローバリゼーションが世界中で始まっている。我々の「小さな世界」では、情報が地球を駆け回るように人々もまた世界中を旅している。様々な文化的背景を持つ人々が、様々な地域の文化を理解し、楽しんでいる。これには例えば日本の相撲などがあげられる。相撲を楽しむ人の数は、その住む地域にかかわらず増えてきている。この意味において相撲の伝統を日本人だけで守り抜く必要はなくなっている。同じように、様々な文化的背景を持つ人も、他の地域の伝統を保護する役割を負うことができる。このような状況下で利用される言語は多岐にわたる。英語を共用語として利用することは一理あるが、他の言語を理解するための努力を行うこと自体が、文化を理解するうえでの大きな助けとなる。しかし世界では数百の言語が利用されており、我々だけでこの課題に取り組むことは困難である。機械翻訳でこの課題を解消することは可能であろうか?本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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集合的知識:全ては数値として
Collective Intelligence: It's All in the Numbers

Karen Sp?rck Jones, University of Cambridge

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 64-65 , May/June 2006

Keywords: statistics, probability, information, social intelligence

統計的及び確率的手法は人工知能において重要な役割を果たしている。将来の多くの情報システムはこれらの手法に依存し、社会知識を取り扱うことになるだろう。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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進化、社会生物学、そして人工知能の将来
Evolution, Sociobiology, and the Future of Artificial Intelligence

David L. Waltz, Columbia University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 66-69 , May/June 2006

Keywords: learning, artificial intelligence, human-computer interaction, Turing Test, cognitive prostheses

人工知能技術の発展は、研究開発グループの能力と予算に依存するものであり、また、知的ロボット、システム、コードそしてアルゴリズムの再利用性にかかっている。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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機械に意味を持たせる
Getting Meaning into the Machine

Yorick Wilks, University of Sheffield

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 70-71 , May/June 2006

Keywords: Semantic Web, artificial intelligence, machine translation, connectionism, machine learning, information extraction

従来の人工知能に対してセマンティックウェブが持つ改善の主な可能性は、初期段階では、追跡性を高めるために表現能力を犠牲にすることにより(この表現能力は他の技術が以前に与えたものだが)、セマンティックウェブの可能性をかなり控えめに表現した形で示される。このような技術としては、例えばWWW上の検索技術や機械翻訳(さらに言うなら会話認識などの技術)などであろう。これら各個の技術は、不完全であるものの極めて有用であり、これらなしの生活など想像もできないものである。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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人工知能の将来:ビジネスと社会にイノベーションを与えるもの
AI's Future: Innovating in Business and Society

V. Richard Benjamins, Intelligent Software Components (iSOCO)

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 72-73 , May/June 2006

Keywords: innovation, technology transfer, artificial intelligence

人工知能の将来は、成熟した技術を作り出すため、そしてエンドユーザをクライアントとして扱うために、ビジネスと社会にイノベーションを与える能力に依存している。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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知的推測
Intelligent Guessing

Daniel E. O'Leary, University of Southern California

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 74-75 , May/June 2006

Keywords: artificial intelligence, research and development

推測とは、問題に対する解を得るために論理と情報が充分な洞察を与えてくれない場合に、人間が採る手段である。合理的プロセスに結び付けられた推測などの知的推測に関する現在の理論と研究は、限定的でありかつ相互の関係を持たないものである。知的推測のための統合的理論により、現在人工知能の様々な部分学術領域で行われている研究を組織化するための方法論が得られる。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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人工知能と科学の領土
AI and Science's Lost Realm

Colin Hales, Melbourne University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 76-81 , May/June 2006

Keywords: artificial intelligence, artificial general intelligence, phenomenality

科学を経験科学的に扱うことにより、科学そのものに対する過度の確信を明らかにする。現象の心象(phenomenal consciousness)の物理的側面に対する、ひねくれた視点を持つものとして、上記の科学の効果を示す。異常値を取り除くために、双対の視点を持つ科学フレームワークを提案する。このフレームワークを人工知能に対して実装することは、もし科学が古いフレームワークのものとで発展を続けるならば、人工知能は知らないうちに過度の確信された科学システムの一部として取り込まれてしまう可能性がある。それゆえ人工知能の性能の関する期待は、正当性のない理由により大きな影響を受ける可能性がある。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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記号論的ロボットシステム:人間、ロボット、そしてスマートな環境
Symbiotic Robotic Systems: Humans, Robots, and Smart Environments

Silvia Coradeschi, Orebro University Alessandro Saffiotti, Orebro University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 82-84 , May/June 2006

Keywords: ambient intelligence, robotics

記号論的ロボットシステムはロボット、人間、そして(スマートな)環境からなるものであり、これらが協調的に動作する。ロボットが、スマートな環境や人間と協働動作することができれば、与えられたタスクの実行が格段に単純化できる可能性があるが、同時にこれは新しい研究の方向性を示す新しい課題をも示している。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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変量としての表現:次の半世紀における人工知能の課題
Representation as a Fluent: An AI Challenge for the Next Half Century

Alan Bundy, University of Edinburgh Fiona McNeill, University of Edinburgh

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 85-87 , May/June 2006

Keywords: knowledge representation, ontology matching, fault diagnosis, multiagent systems, planning

無限に複雑で変化し続ける世界に対応するため、そしてリッチで複雑なアプリケーションに対応するために、人工知能システムは、その内部表現を自動的に操作することができねばならない。この操作とは、単に確信度を更新したり、古いコンセプトから見た新しいコンセプトを学習したりすること以上のものである。この操作では、オントロジーのもとになるシンタックス及びセマンティクスを変更する能力が求められる。この研究は既に初期成果をあげているが、自律マルチエージェントシステムの開発要求のため、更なる発展が早急に必要である。この能力を理解し自動化することは次の半世紀において人工知能研究の主な注力トピックとなるだろう。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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セマンティックウェブにおける知識の発行とそのアクセス:社会技術的解析
Knowledge Publishing and Access on the Semantic Web: A Sociotechnological Analysis

Enrico Motta, The Open University, UK

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 88-90 , May/June 2006

Keywords: Semantic Web, ontologies, publishing, sociotechnological issues, knowledge representation, semantics

セマンティックウェブは、現在のウェブにセマンティック層を追加することで拡張するものであり、これはセマンティクスを処理できるエージェントにより理由付けされる。中心となるアイディアは、このセマンティック層により、タスクとユーザサポートを、現行のウェブに比べかなりの割合で自動化することができるようになるというものである。本稿で著者は、知識発行と知識アクセスに対するセマンティックウェブの潜在的重要性について検討する。これは大量のセマンティックデータがウェブ上にあることを前提としている。特に著者はオントロジー駆動型の世界が、形式知の生成に対するコンセプト側からの視点を持つようになる仕組みを検討している。これは実はウェブにおける知識発行の民主的な性質を脅かすものである。しかし著者は同時に、セマンティックウェブが元々持つ柔軟性と、セマンティックウェブ技術に関連する“賢さ”を研究者が上手く利用し、セマンティックウェブの構成プロセスと、現在のウェブを形づける社会的ダイナミクスとをつなぎ合わせることができれば、このリスクは回避できるとも述べている。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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中国における人工知能研究:50年先にあるもの
AI Research in China: 50 Years down the Road

Ruqian Lu, Chinese Academy of Sciences Daniel Zeng, Chinese Academy of Sciences and University of Arizona Fei-Yue Wang, Chinese Academy of Sciences and University of Arizona

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 91-93 , May/June 2006

Keywords: AI in China, geometrical theorem proving, intelligence science, computer art and animation, knowware

2006年は近代の人工知能研究が産声を上げてからちょうど50周年に当たる。中国人研究者は数十年にわたり人工知能研究を行ってきた。本稿で著者は、現在中国人研究者が行っている研究の中でも最も有望ないくつかの技術領域について取り上げ、関連する将来の研究活動について議論する。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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ITSで将来を切り開く
Driving into the Future with ITS

Fei-Yue Wang, University of Arizona and Chinese Academy of Sciences

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 94-95 , May/June 2006

Keywords: artificial intelligence, intelligent systems, transportation

知的輸送システム(intelligent transportation systems: ITS)では、過去20年以上にわたり様々な人工知能技術を輸送インフラと車両そのものに取り込んできた。ITSが発展すれば、スマートカーがスマートロードをエージェントベースのITS制御に基づいて走るような未来もありうるだろう。多くの既存の運送問題が、未だ人工知能技術によるコスト対効果比の良いソリューションを求めており、また、新たな問題は更に人工知能技術によるソリューションへの依存度を高めている。人工知能はITSを実現するための中心的な役割を担っている。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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セマンティックウェブ再訪
The Semantic Web Revisited

Nigel Shadbolt, University of Southampton Tim Berners-Lee, Massachusetts Institute of Technology Wendy Hall, University of Southampton

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 3, pp. 96-101 , May/June 2006

Keywords: Semantic Web, semantic networks, standards, e-science, Web services

Scientific American誌におけるセマンティックウェブに関する最初の論文は2001年に発表された。この論文は、ウェブというものが、人間が読むべき多量の文書からなるものから、コンピュータが取り扱うべきデータと情報を含むものへと進化することを説明している。セマンティックウェブとは、記号を解釈するための意味論(semantic theory)により得られたデータからの導出された情報としての、“活動情報(actionable information)”のウェブである。残念ながら、このシンプルなアイディアは殆ど実現されないまま今日を迎えている。Shopbotは、今日のウェブで多数見受けられるオークションで利用されるボット(auction bot)であるが、基本的には特定の目的のために人間の手で作成されたものである。このようなシステムは異種情報や異種データに対する対応性が低い。なぜならば、大規模なエージェントベースの仲介処理が未だ開発されていないからである。幾人かのコメンテーターはセマンティックウェブがこの仲介処理の開発に失敗したと主張している。本稿で我々は、エージェント技術は標準がきちんと規定されたときにのみ有効に利用できるものであること、及び共有の意味表現のウェブ標準の開発はこの5年間で着実に進展してきていることを主張する。更に我々はe-scienceコミュニティにおけるオントロジーの利用がセマンティックウェブの大きな成功の前兆であると見ている。これはあたかもCERN分子物理コミュニティにおけるHTTPの利用が、ウェブの革命的成功につながったことに似ている。本稿は人工知能の将来についての特集号の一部である。

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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.4


人工知能のセマンティックな未来
A Semantic Future for AI

Rudi Studer, Institute AIFB, University of Karlsruhe; FZI Research Center for Information Technologies; and Ontoprise GmBH Anupriya Ankolekar, Institute AIFB, University of Karlsruhe Pascal Hitzler, Institute AIFB, University of Karlsruhe York Sure, Institute AIFB, University of Karlsruhe

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 8-9 , July/August 2006

Keywords: human-centered computing, the Semantic Web

例えば各ユーザにパーソナライズされた情報の提示や、複数の機器や様々なサービスを制御するときに、ユーザ個人の好みを反映したりすることで、コンピューティングはもっと人間中心の様式にならねばな らない。情報のセマンティクスの適切な表現と、機器及びサービスの機能の適切な表現は、両方とも上記のパーソナライズされたコンピューティングに必要不可欠なものである。記号論理に基づく人工知能 手法により、ここで必要とされるセマンティック表現と理由づけのための能力を与える素晴らしい手法を構成する。

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ゲスト編集者の紹介:機械の倫理(Machine Ethics)
Guest Editors' Introduction: Machine Ethics

Michael Anderson, University of Hartford Susan Leigh Anderson, University of Connecticut

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 10-11 , July/August 2006

Keywords: artificial intelligence, computational ethics, ethics, machine ethics

機械の倫理(machine ethics)は、機械が人間や他の機械に対してどのようにふるまうべきかを考えるものである。これは、適切な倫理の原則か、機械が採りうる行動について意思決定を行うこと ができるような原則に従う機械を作成することを目的としている。倫理の専門家は、倫理のジレンマにおいてどのようにすれば正しい振る舞いができるかについて合意すること目標に議論を続けてきた。これと 同じように機械の倫理の分野の研究者は、これらの知見をコード化することを目的に活動してきた。この課題を今特集号の8本の論文で議論する。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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なぜ機械に倫理が必要か?
Why Machine Ethics?

Colin Allen, Indiana University Wendell Wallach, Yale University Iva Smit, E&E Consultants

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 12-17 , July/August 2006

Keywords: artificial intelligence, machine ethics, ethics, computers, robots, artificial moral agents

機械の倫理、機械のモラル(machine morality)、人工モラル(artificial morality)、そして計算倫理(computational ethics)は全て、コンピュータ及びロボットにモラル に基づいた意思決定機能を実装することを目的とした研究分野であり、これは近年発展してきている分野である。機械の倫理とはSFの世界のものではなく、近年、自律型ソフトウェアエージェントや自律 型ロボットの複雑さが急速に増大していることを考えても、真剣な検討が必要とされる課題であるといえる。本稿で著者は、この新しい分野を定義するべく、人工モラルエージェントの開発に関する研究課 題を述べる。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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機械の倫理の性質、重要性、及び課題
The Nature, Importance, and Difficulty of Machine Ethics

James H. Moor, Dartmouth College

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 18-21 , July/August 2006

Keywords: machine ethics, computer ethics, ethical agents

機械の倫理はコンピュータ技術においては、たとえば病院のデータベースにおける詳細データの管理から、災害後の救助チームの動きの把握まで、様々な実現手段がある。機械の倫理の側面から考えると 、機械を、倫理に感応できるエージェント、暗黙的な倫理を持つエージェント、明示的な倫理を持つエージェント、そして完全な倫理を持つエージェントとして捉えることができる。この研究は重要であるが、 倫理、機械学習及び知覚に関する深い理解なしにこれを行うことは極めて困難である。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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個別主義(particularism)と識別、そしてモラルケースの再識別について
Particularism and the Classification and Reclassification of Moral Cases

Marcello Guarini, University of Windsor

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 22-28 , July/August 2006

Keywords: analogy, case-based reasoning, ethics, generalism, particularism, principles, simple recurrent neural networks

モラルの原則を用いないでモラル的に許容できることと許容できないことの区別を学習することは可能であろうか?Jonathan Dancyは(学習を含む)モラルの理由付けは、モラルの原則を用いずに実 現可能であること、そしてニューラルネットが、上記を行う方法を理解する助けとなることを示唆した。本稿は、Dancyの指摘をケース識別のためのニューラルネットワークモデルを用いて検証する。明示的な モラル原則を利用しなくても、いくつかの非自明なケース識別は可能であると考えられるが、ケースを再識別するプロセスは、モラル原則を用いることで最も適切に説明できる。

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倫理の理由付けの計算モデル:課題、最初のステップ、そして将来の方向性
Computational Models of Ethical Reasoning: Challenges, Initial Steps, and Future Directions

Bruce M. McLaren, Carnegie Mellon University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 29-37 , July/August 2006

Keywords: machine ethics, casuistry, artificial intelligence, case-based reasoning

倫理の理由付けの計算モデルは、人工知能分野において未だ黎明期にある。倫理の理由付けは、抽象的な原則、コンピュータ上で簡単には実装できない哲学理論、そして根深い、宗教的といっても よいくらいの信念に依存するがゆえに、人工知能研究者及び技術者にとって、人間の振舞いに関する特に困難な領域である。その上更にこれを困難にするのは、この試みが持つ倫理的側面である。科 学者がコンピュータに倫理の理由付け能力を組み入れることはそもそも適切なことであろうか?倫理の理由付けの計算モデルを構築する試みから考えると、上記のタスクは極めて困難であると考えられる。 特にTruth-Teller及びSIROCCOプログラムでは、倫理の理由付けの人工知能計算モデルを取り込んでおり、これら2つのプログラムいずれも決定論として知られる倫理のアプローチをモデル化する ものである。Truth-Tellerでは、2つのtruth-tellingケースを比較する。SIROCCOでは、新たな倫理のジレンマが与えられたとき、関連する過去のケースと原則を検索する。Truth- Tellerの元になる計算モデルは、知的な倫理の指導サービス(tutor)の基盤として利用できる。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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倫理的に正しいロボットを作るための一般的な理論主義の方法論
Toward a General Logicist Methodology for Engineering Ethically Correct Robots

Selmer Bringsjord, Rensselaer Polytechnic Institute Konstantine Arkoudas, Rensselaer Polytechnic Institute Paul Bello, Rensselaer Polytechnic Institute

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 38-44 , July/August 2006

Keywords: robots, ethics, artificial intelligence, logic

ロボットがどんどん高性能になってきていること、及び、倫理的に高度な配慮を要する状況下でもロボット用いることが増えてきていることは、否定しがたい事実である。しかしたとえば病院などでは、倫理的 に不適切な行動をロボットがとった場合、人間に対して恐ろしい結果を招くことがありうる。ロボットが常に倫理的に正しく行動することを保証する方法はあるだろうか?人間の監視者により選ばれた倫理コ ードによってロボットの行動が拘束され、またロボットの行動の判断基準が自然言語で明確に表されることを、事前に知る方法はあるだろうか?人間が選んだロボットの義務に関する論理を用いて、ある行 動が倫理的に問題あるかどうかをチェックし、問題の無い行動のみロボットに許す、というアプローチが一般的である。この、義務に関する論理とは、上記倫理コードをコンピュータが利用できる形式で定式 化したものである。道徳家自身が、倫理の論理とジレンマを宣言形式で表すこと、及び形式的及び非形式論理を用いてこの情報の理由付けを行うことで倫理の研究を行っている。本稿で著者は論理 主義の方法論を一般的な形式で説明する。この説明では特定のシステムに肩入れしたりせずに、集中治療室(intensive care unit)におけるロボットの行動に関する重要な課題を、前記ア プローチで解消できることを示す。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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カント哲学機械への期待
Prospects for a Kantian Machine

Thomas M. Powers, University of Delaware

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 46-51 , July/August 2006

Keywords: machine ethics, rules, nonmonotonic reasoning, commonsense reasoning

ドイツの哲学者カントのように、ルールに基づいた倫理論理を利用することは、その判断の計算構造ゆえに、機械の論理に対する有望なアプローチであると考えられる。カントのカテゴリ命令法(Kant’s categorical imperative)は、単純な整合性試験により、行動計画(maxims)を古典的な義務に関するカテゴリ(禁止、許可、必須)に対応付ける手順である。しかしこの試験そのもの は自明なものである。宣言型の支持(buttressing)ルールの組みを追加することで、この試験を拡張する。ルールに照らし合わせた結果としての倫理的判断がこの整合性試験の出力である。この 種の試験は非自明な結果を与えることがあるが、単に上記支持ルールの作成者の偏見を反映しただけのものであることもありうる。機械は理由付けを字句どおりに行うが、知的に行えるわけではない。より 有望な(考察による)方式は、単調でない推論を行う能力を持った機械を構築することである。しかしこの方式はあまりに形式的な課題に向けたものとなっている。著者はこれらのルールに基づいた機械の 倫理の課題を、カントのフレームワークを出発点として議論する。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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RobotにはI(自己)はない:ロボットと功利主義
There Is No "I" in "Robot": Robots and Utilitarianism

Christopher Grau, Florida International University

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 52-55 , July/August 2006

Keywords: machine ethics, robots, utilitarianism, personal identity

“I, Robot”という映画を出発点として、本稿ではロボットの功利主義の実現可能性を検討する。これは倫理を持つロボットを作成するに当たり必要となる道義的責任であり、ロボット—ヒトのインタラ クションに対するロボット—ロボットインタラクションのための明示的倫理(distinct ethics)の可能性となるものである。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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コンピュータ倫理へのアプローチ
An Approach to Computing Ethics

Michael Anderson, University of Hartford Susan Leigh Anderson, University of Connecticut Chris Armen, Amherst College

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 56-63 , July/August 2006

Keywords: computational ethics, machine ethics, philosophical foundations

我々は、倫理をコンピュータで扱えるようにするために、倫理のジレンマが発生した場合にどのようにふるまうかを決めるための複数の第一原理(prima facie duty)についての検討も行ってきた。こ のアプローチは、単一の絶対原理(absolute duty)による倫理論理よりも、倫理的意思決定の複雑性を上手くとらえるものであると信じている。しかしこのアプローチでは、前記の複数の原理が相 反する指示を出した場合に、倫理的に正しい行動を規定するための意思決定プロセスが必要とされている。この問題を解消するために、帰納法に基づくプログラムを利用し、特定の倫理のジレンマに関 する倫理の専門家の直感から得た情報を抽象化する能力を機械に付与し、これにより意思決定原理を与える。MedEthExというコンセプトを評価・証明するためのシステムにおいて、上記方法を試験 した。この試験では3つの第一原理の18種類の可能な組み合わせからなる倫理のジレンマを用いている。このシステムは僅か4つの訓練ケースのみを必要とし、これにより、残りの14種類のケースをカバー するための倫理的に顕著な意思決定原理を生成することができる。本稿は機械の倫理の特集号の一部である。

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宇宙空間における人工知能技術の利用の将来
The Future of AI in Space

Steve Chien, Jet Propulsion Laboratory Richard Doyle, Jet Propulsion Laboratory Ashley Gerard Davies, Jet Propulsion Laboratory Ari J?nsson, NASA Ames Ralph Lorenz, University of Arizona

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 64-69 , July/August 2006

Keywords: artificial intelligence, space technology

2つの重要な飛行技術に関する実験:遠隔エージェント実験(Remote Agent Experiment: RAX)と自律科学飛行実験(Autonomous Sciencecraft Experiment: ASE)により、将来のロボットもしくは人間による月面、火星、および他の惑星の探索における人工知能に基づいた機能の適切な利用を検証した。将来の探索ミッションのサーベイにより、これらのうちのい くつかを紹介する。

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Sensemakingの理由付け(making sense)1:代替となる視点
Making Sense of Sensemaking 1: Alternative Perspectives

Gary Klein, Klein Associates Division of ARA Brian Moon, Klein Associates Division of ARA Robert R. Hoffman, Florida Institute for Human & Machine Cognition

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 70-73 , July/August 2006

Keywords: curiosity, comprehension, mental model, situation awareness, definitions of sensemaking

このエッセイでは、理由付けの意味を検討する。これには知的意思決定支援システムの定義と応用も含む。理由付けの意味を探る上での視点としては、心理学、人間中心コンピューティング、自然主義 の意思決定などがある。本エッセイでは理由付けに関してこれまでの一般的な考え(例えば”理由付けは点間を結ぶような(簡単な)ものではない”)についても議論し、専門家の意思決定に関する実証 的な証拠により、これらの考えを反駁する。

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人間の能力からアイディアを得て作成されたロボット
Human-Inspired Robots

Silvia Coradeschi, Orebro University Hiroshi Ishiguro, Osaka University Minoru Asada, JST Erato Asada Synergistic Intelligence Project and Osaka University Stuart C. Shapiro, State University of New York at Buffalo Michael Thielscher, Dresden University of Technology Cynthia Breazeal, MIT Media Lab Maja J. Mataric, University of Southern California Hiroshi Ishida, Tokyo University of Agriculture and Technology

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 4, pp. 74-85 , July/August 2006

Keywords: robotics, cognitive simulation, natural language processing

将来、ロボットは病院、老人ケアセンター、学校、そして家庭で働くことになるだろう。人間が、ロボットに関する知識を持たない他のユーザとの関係を利用できるように、ロボット開発においても人間からアイ ディアを得ることができる。しかし人間に似た外観はときに、ロボットが実際にできること以上のことを人間が求める原因ともなるだろう。それゆえ人間に似たロボットの開発は、ロボットの認知的、社会的、そ して知覚的能力の発展とともに行われなければならない。本稿では、人間の能力からアイディアを得たロボットに関するさまざまな視点を検証する。

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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.5


人形芝居v.s.創造論:何故AIはこの隔たりを越えなければならないか
Puppetry vs. Creationism: Why AI Must Cross the Chasm

Rick Hayes-Roth, Naval Postgraduate School

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 7-9 , September/October 2006

Keywords: agents, autonomy, continuous improvement, learning, the singularity

童話人形の熟練制作者のように、人工知能技術者は非常に優れた機構を作り上げてきた。しかしこれらの人形(人工知能技術を用いた機構)は、未だ限定的な能力しか持たず、不安定である。はっ きり言えばこれらの機構は、世界を探索する能力を持たず、失敗から学習することもできず、容易に入手可能な情報からでさえ知識を習得することもできず、自らのコンセプトの拡張や向上もできない。こ れらの高度な人形(人工知能による機構)は確かに価値があるが、人工知能生物(artificially intelligent creatures)の世界と我々の現実との間の深い溝を飛び越えさせてく れるものではない。人工創生(artificial creationism)とはかなり特殊なものであり、自ら環境に適応し、学習し、自らを発展させることができる人工生物(artificial being)の 開発が必要である。この目標を適当な時間内で達成するためには、これらの人工生物に可能な限りの能力と知識を付与するべきである。最も重要なことは、これらの人工生物が、周囲の環境から学習 できる能力持ち、それにより様々なタスクをクリアする中で継続的な改善を自ら行う能力を担保することである。

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ゲスト編集者の紹介:インタラクティブエンタテイメントのための知的システム
Guest Editors' Introduction: Intelligent Systems for Interactive Entertainment

Dina Goren-Bar, Ben-Gurion University of the Negev and Center for Scientific and Technological Research, Trento Oscar Mayora-Ibarra, CREATE-NET

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 10-12 , September/October 2006

Keywords: intelligent interactive entertainment, intelligent user interfaces, human-computer interaction, games, AI

本特集号は、これまであまり刊行物で紹介されてこなかった、インタラクティブエンタテイメント(Interactive Entertainment: IE)の新しい側面の研究を紹介する。このIEでは、人間が行 うように、自ら考え、行動し、インタラクションを行うシステムが求められているため、人工知能研究者の注目を集めている。本特集号の招待論文では、知的IEにおける困難な課題、重要なトレンド、そし て将来の方向性について議論する。その他の論文は、以下に述べるような様々なトピックを取り扱う。テレビゲームにおけるプレーヤー以外のキャラクターの非反復性挙動。スピーチ、姿勢、ポインティング、 2次元への投影のための意図しない動きをする三次元仮想キャラクター。ダイナミックなシナリオにおいて複数のソフトウェアエージェントを管理するための、映画セットのメタファーの利用。位置情報を利用し たゲームにおける、活動の同期とターン交代としての空間的及び時間的整合性。テキスト情報に基づいたアプリケーションに対するユーモアのある気のきいたジョーク。そしてユーザの注意に適応して動作す るオブジェクトを持つユーザインターフェース。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の一部である。

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知的なインタラクティブエンタテイメントの大きな挑戦
Intelligent Interactive Entertainment Grand Challenges

Mark Maybury, MITRE Oliviero Stock, Trentino Cultural Institute Center for Scientific and Technical Research Wolfgang Wahlster, German Research Center for Artificial Intelligence

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 14-18 , September/October 2006

Keywords: games, art, sports, cinema, travel, education, interactive entertainment, artificial intelligence

人工知能研究の発展とヒト—コンピュータのインタラクションにより、古典的なエンタテイメント様式の拡張と、新しいエンタテイメントの創造のための空前絶後のチャンスが到来している。しかしこのチャンスを 生かすためには、いくつかの基本的な科学的及び技術的な障害を乗り越えなければならない。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の招待論文である。

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ロールプレイングゲームにおける自然な周囲環境の生成
Generating Ambient Behaviors in Computer Role-Playing Games

Maria Cutumisu, University of Alberta Duane Szafron, University of Alberta Jonathan Schaeffer, University of Alberta Matthew McNaughton, University of Alberta Thomas Roy, University of Alberta Curtis Onuczko, University of Alberta Mike Carbonaro, University of Alberta

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 19-27 , September/October 2006

Keywords: ambient behavior, nonplayer character, intelligent agents, scripting language, generative pattern, collaborative behavior, computer games

多くのテレビゲームでは、プレーヤー以外のキャラクター(Nonplayer charactors: NPC)の動きを制御するために、手動で書いたスクリプトを利用している。結果としてゲームの脚本家はゲーム 世界における数百、数千のNPCの動作のためのプログラムを書かねばならない。多大なプログラミング労力を必要とせずに、NPCの自然な動作のための、カスタマイズ可能な動作スクリプトを生成すること は困難な課題である。現在のテレビゲームはNPCの動作が簡単すぎており、NPC同士がインタラクションを起こすことは稀である。この課題に取り組むために、生成的挙動パターンを用いるモデルを開発し、 ゲームの脚本家が、リアル且つユーザを楽しませるNPCスクリプトを、短い時間で正確に書けるようにする。このアプローチの利便性は、NPC同士のインタラクションの生成などの困難な課題でも既に証明さ れている。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の一部である。

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トゥルーマンショーにて:ドライブシミュレータにおける動的シナリオの生成
In The Truman Show: Generating Dynamic Scenarios in a Driving Simulator

Ingo Wassink, University of Twente Betsy van Dijk, University of Twente Job Zwiers, University of Twente Anton Nijholt, University of Twente Jorrit Kuipers, Green Dino Virtual Realities Arnd Brugman, Green Dino Virtual Realities

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 28-32 , September/October 2006

Keywords: multiagent systems, artificial intelligence, driving simulation

映画セットの働きからアイディアを得て作成されたエージェントに基づいたソフトウェアフレームワークを用いて、ドライブシミュレータにおける交通シナリオを動的に制御することで、その効果を向上させることがで きる。このフレームワークでは、エージェントをアクタ(舞台の役者)とクルー(舞台裏のスタッフ)に分ける。このフレームワークでは各エージェントの役割が明確に定められているため、システム拡張性と保守性に 優れ、誰でも簡単に理解できる構成となっている。またこのフレームワークは他のマルチエージェントシステム、特にシミュレーションとゲームのアプリに対しても働く。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号 の一部である。

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あなたを笑顔にさせるテクノロジー:テキストベースのアプリケーションにもユーモアを。
Technologies That Make You Smile: Adding Humor to Text-Based Applications

Rada Mihalcea, University of North Texas Carlo Strapparava, Istituto per la ricerca scientifica e Tecnologica

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 33-39 , September/October 2006

Keywords: computational humor, humor recognition, jokes, one-liners, humor in computer applications

ユーモアとは、人間の挙動の一側面であり、また、社会でのコミュニケーションにおける極めて重要な要素であると多くの人は考えている。だが、ユーモアの自動認識、生成及び利用に関する、ヒト—コンピュ ータのインタラクションの研究は、これまで全くと言っていいほど行われてこなかった。本稿では言葉で表されたユーモアの利用と認識に関する3つの重要な研究課題を取り扱う。これによりこれらの課題に対 してコンピュータシステムを利用したアプローチが有効であることを実証的に示す。この研究により、ユーモアある文書の大規模なコレクションを自動的に生成することが可能であり、また、自動識別手法によ り、文書のユーモアの有無を判別することが可能であること、そしてコンテキストを考慮して作成されたユーモアのある文書を選択し、付与することは、ユーザ体験(user experience)を向上させるこ とが示される。またこれは、2つの広く用いられているコンピュータアプリケーションの品質も向上させる。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の一部である。

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ジオゲーム(Geogames):古典的なボードゲームからアイディアを得た位置情報を利用したゲーム
Geogames: Designing Location-Based Games from Classic Board Games

Christoph Schlieder, University of Bamberg Peter Kiefer, University of Bamberg Sebastian Matyas, University of Bamberg

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 40-46 , September/October 2006

Keywords: game design, location-based games, state-space analysis, min-max algorithm

位置情報を利用したゲームでは、インタラクティブコンソールゲームには無い要素が導入されている。それはプレーヤーの位置であり、これによるスポーツなどの運動における物理的な効果特性である。本稿 で著者は位置情報を利用したゲームの設計法について述べる。これにより古典的なボードゲームをテンプレートとして用いることで、スポーツなどの運動と戦略的理由付けを統合する。本稿はインタラクティ ブエンタテイメント特集号の一部である。

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仮想空間におけるプレゼンテーション:三次元擬人化プレゼンターのためのアーキテクチャ
Presenting in Virtual Worlds: An Architecture for a 3D Anthropomorphic Presenter

Herwin van Welbergen, University of Twente Anton Nijholt, University of Twente Dennis Reidsma, University of Twente Job Zwiers, University of Twente

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 47-53 , September/October 2006

Keywords: multimodal generation, embodied conversational agents, virtual reality, presenting

複数参加者のインタラクション技術により、エンタテイメント、教育、そして訓練の様相が変化してきている。このような技術のなかで既に展開されているものの例としては、美術館ガイド、ニュースプレゼンター 、教師、受付、保険や家屋、チケットなどの販売員などのための実体化エージェント(embodied agents)やロボットがあげられる。これらのすべてのケースで、実体化エージェントを説明し、記述する 必要がある。本稿では、様々な出力チャネル(スピーチ、姿勢の変化を示すアニメーション、指示、及び無意識の動き)を用いる三次元仮想プレゼンターの設計について述べる。この振る舞いはスクリプトと して表され、プレゼンターが指示した関連する文書と領域(スライド、図など)の2次元表示と同期される。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の一部である。

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仮想現実を利用した芸術における、人工知能の仲介によるインタラクション
Artificial Intelligence-Mediated Interaction in Virtual Reality Art

Jean-Luc Lugrin, University of Teesside Marc Cavazza, University of Teesside Mark Palmer, University of the West of England Sean Crooks, University of Teesside

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 54-62 , September/October 2006

Keywords: artificial intelligence, causal perception, immersive displays, virtual reality art

仮想現実を利用した芸術におけるユーザ体験をサポートするための人工知能技術の利用法についての新しいアプローチを紹介する。これのもとになるアイディアは、ヒト—機械のインタラクションのセマンティッ ク表現を用いて一連の行動を修正し、ユーザに特定の印象を与えるようにすることである。このシステムは没入型ディスプレイのために開発されたゲームエンジンに基づいたものであり、このエンジンのイベント システムを用いて人工知能に基づいたシミュレーションを実時間ユーザインタラクションループに組み込む。いくつかの変換演算子とヒューリスティック検索により、イベント系列(chains of events)を 生成する。ルイス・キャロル(Lewis Carroll)の物語からアイディアを得た、仮想現実を利用した芸術により、本研究を例証する。本稿はインタラクティブエンタテイメント特集号の一部である。

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情報統合における重複の削除:適応的且つ拡張性に優れたフレームワーク
Eliminating Duplicates in Information Integration: An Adaptive, Extensible Framework

Hamid Haidarian Shahri, University of Maryland Saied Haidarian Shahri, University of Tehran

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 63-71 , September/October 2006

Keywords: database applications, data mining, knowledge management applications, uncertainty, fuzzy and probabilistic reasoning, data warehouse and repository

近似的な重複削除はデータ統合における重要なタスクであるが、不確定性と不明瞭性を持つ多くの記録の複雑な比較となるので困難である。これまでのアプローチでは、統計上のルールをシステムに変 更不可能な形で書きこむ必要があったが、これは時間がかかる単調な作業だった。新しい重複削除フレームワークにより、ユーザは柔軟かつコーディングの手間無く、データ中の重複を削除することができる 。ファジー推論固有の能力を利用してこの問題の不確定性を取扱い、そして独自の機械学習能力をこのフレームワークで利用することで、各問題領域に適した特定の類似性に適応することができる。こ のフレームワークは拡張性に優れ、適応的であり、且つユーザが準備する訓練データの有無にかかわらず動作する。更に、これまでの重複削除のための手法の多くを、このフレームワークに基づいて短期間 で実装することができる。

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適応的ウェブ検索:情報発見のためのプログラムの発展
Adaptive Web Search: Evolving a Program That Finds Information

Michael Gordon, University of Michigan Weiguo (Patrick) Fan, Virginia Tech Praveen Pathak, University of Florida

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 72-77 , September/October 2006

Keywords: search engines, information retrieval, genetic programming, adaptation

ウェブ検索エンジンというものは、ユーザのクエリに含まれる単語と、ウェブページに含まれるそれを比較するためのプログラムを持つ。この比較においては、各ページが何についてのものであるか、を示すための文 字情報(textual clues)よりも、相対的出現頻度の低い単語、単一ページ内で出現頻度の高い単語、そしてページの特定の位置にある単語(例えばページのタイトル)などが重視される。検索 結果として、どのウェブページがユーザに提示されるかは、各検索エンジンで異なるが、各設計者が良かれと思う方式で検索されている。これらの検索アルゴリズムはお互いに矛盾した結果を示していないか ?また特定の環境下ではどれかが他の方式を上回る性能を持っているのではないか?残念ながら、これらの問い、つまりどの方式が最も効果的か、の答えを予め知ることはできない。著者はこの問題に機 械学習の観点からアプローチする。語彙に関する手掛かり(lexical clues)の組み合わせを予め決めておくのではなく、ユーザが以前に見た文書の評価に基づいて、この検索がどのように行われる べきかを推論する。従来のシステムと異なり、このアプローチは、遺伝的プログラミングを用いることで、新しい検索プログラムを自動的に発展させる。1週間ないし数カ月情報ニーズが変化しないユーザにとっ て、特に有効であると考えられる。

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携帯電話エコシステム:MITとノキアによる共同研究ベンチャー
A Mobile Phone Ecosystem: MIT and Nokia's Joint Research Venture

Arvind, MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory Jamey Hicks, Nokia Research Center

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 78-79 , September/October 2006

Keywords: mobile phone, cell phone, MIT, Nokia

近い将来携帯電話は、個人的な銀行決済処理、オンラインでの物品の購入、モバイルエンタテイメント、そしてマルチプレーヤオンラインゲームなどのサービスへの最も有力なアクセス手段となるだろう。また 同じように、クレジットカード、現金、IDカードなどが詰め込まれた財布の代わりともなるかもしれない。更に、個人監視装置、個人授業のための装置、そして電子化された医療情報のストレージにもなる かもしれない。このビジョンを実現するために多くの研究開発がなされている。以上がノキアとMITコンピュータサイエンス及び人工知能研究所が共同研究ベンチャーを始めた理由である。この活動では、上 記ビジョンの洗練と必要とされる装置、アプリケーション、そしてサービスの開発を行う。

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中国における知的鉄道システム
Intelligent Railway Systems in China

Bin Ning, Beijing Jiaotong University Tao Tang, Beijing Jiaotong University Ziyou Gao, Beijing Jiaotong University Fei Yan, Beijing Jiaotong University Fei-Yue Wang, University of Arizona and Chinese Academy of Sciences Daniel Zeng, University of Arizona and Chinese Academy of Sciences

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 80-83 , September/October 2006

Keywords: rail transportation, intelligent rail transportation systems, Chinese rail transportation network

知的鉄道運輸システム(Intelligent Rail Transportation System: IRTS)における中国の研究開発は急速に発展している。クライアントサービスシステム、列車制御、急行 輸送システム(dispatching system)などがIRTSの重要なカギとなるサブシステムである。中国の主要な研究機関が鉄道交通制御及び安全性について研究を行っている。

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不確定性とセマンティックウェブ
Uncertainty and the Semantic Web

Giorgos Stoilos, National Technical University of Athens Nikos Simou, National Technical University of Athens Giorgos Stamou, National Technical University of Athens Stefanos Kollias, National Technical University of Athens

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 84-87 , September/October 2006

Keywords: fuzzy knowledge, OWL, Description Logic, reasoning, uncertainty, Semantic Web

セマンティックウェブでは、確率的なもの、ファジーなもの、欠落があるもの、もしくはバイアスがかかった知識などを含む、不確実且つ不正確な情報にさらされるアプリケーションを取り扱う必要がある。これらの 不確実性を取り扱うために、多くの研究者がOWL及び記述論理(Description Logic)の拡張を提案している。OWLのファジー拡張であるf-OWLにより、不正確且つ漠然とした知識をコンピュ ータ可読な形にすることができる。これに付随するファジー理由付けエンジン(Fuzzy Reasoning Engine)により、f-OWLはこれらの知識の背景となる理由も取り扱うことができる。

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Sensemakingの理由付け(making sense)2:マクロ認知的モデル
Making Sense of Sensemaking 2: A Macrocognitive Model

Gary Klein, Klein Associates Division of ARA Brian Moon, Klein Associates Division of ARA Robert R. Hoffman, Florida Institute for Human & Machine Cognition

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 5, pp. 88-92 , September/October 2006

Keywords: frames, causal reasoning, fixation bias, confirmation bias, inference-making, mental models

本エッセイはsensemakingに関する2部からなるシリーズの後半である。本稿ではsensemakingのデータ/フレームモデルを示す。これは知的システムへのアプローチを示唆するものである。これは データ融合(data fusion)や仮説の自動推論(automatic abduction of hypotheses)などを行うためのシステムへのコールにより示唆されるものとは異なる。

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IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.21, No.6


ゲスト編集者の紹介:エージェント技術のヘルスケア分野への適用における革新
Guest Editor's Introduction: On the Evolution of Applying Agent Technology to Healthcare

Antonio Moreno, University Rovira i Virgili

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 8-10 , November/December 2006

Keywords: AI, healthcare, intelligent agents, distributed knowledge, security, e-health

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。エージェント技術は現在、ヘルスケア分野の様々な種類の問題を解消するために適用されている。この特集号は6本の論文からなり、様 々な応用について議論する。この応用は、自動化e-ヘルスサービス発見、臓器移植におけるオーグメンテーション技術の利用、そして機密性と取扱に注意を要する医療データのプライバシーを確保する ためのエージェントに基づいた機構などの、様々な領域におけるものである。

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ヘルスケアのためのエージェントに基づいたセマンティックサービス発見:組織的なアプローチ
Agent-Based Semantic Service Discovery for Healthcare: An Organizational Approach

C?sar C?ceres, University Rey Juan Carlos Alberto Fern?ndez, University Rey Juan Carlos Sascha Ossowski, University Rey Juan Carlos Matteo Vasirani, University Rey Juan Carlos

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 11-20 , November/December 2006

Keywords: artificial intelligence, multiagent systems, intelligent Web services, Semantic Web, ontology, healthcare

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。E-ヘルスケアは知的モバイルサービスの最も速く広まった応用分野での一つである。ヘルスケアに関連するデバイスやタスクには様々な種 類があり、更に増大し続けてきている。それゆえ、自動的にサービスを見つけ出し、呼び出しを行い、そして対応する複数のサービスの調整を行うことが求められている。この結果として、E-ヘルスケアサービ スに関するセマンティックな記述能力の高い言語とツールが求められている。本稿では救急医療管理のためのサービス発見にフォーカスする。セマンティックサービス発見のための新しい機構により、E-ヘルス ケアサービスが用いられる組織的なコンテキストの関連部分を考慮することで、既存のアプローチを補い、これにより緊急時のシステムの有用性を向上させる。このアプローチは、他の応用分野、特に医療 分野においても利用可能である。

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ヘルスケアアプリケーションのための最も簡単な形のエージェントモデル
A Canonical Agent Model for Healthcare Applications

John Fox, Advanced Computation Laboratory, Cancer Research UK David Glasspool, Advanced Computation Laboratory, Cancer Research UK Sanjay Modgil, Advanced Computation Laboratory, Cancer Research UK

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 21-28 , November/December 2006

Keywords: multiagent systems, healthcare

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。本稿で著者らは、単一エージェント及びマルチエージェント環境で利用できる自律エージェントのための最も簡明な形のアーキテクチャを説 明する。このアーキテクチャは、各コンポーネントの不変事前事後条件パターン(入出力パターン)を同定するソフトウェアシグネチャの組みとして特性が説明できるコンポーネントからなる。これらのコンポーネン トは共通データ構造を利用してやりとりを行う。標準インターフェースを決める複雑なデータタイプを用いて、この共通データ構造を定義する。これにより、例えばあるコンポーネントを、設計の異なる他のコンポ ーネントで置き換えることができるようになる。このモデルの最初の実装例を標準的なマルチエージェントのヘルスケア分野におけるシナリオで検証している。これはEUのASPIC(Argumentation Services Platform with Integrated Components)プロジェクトの一部である。

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人間の臓器の移植機会の向上:オーグメンテーションに基づくエージェント討議
Increasing Human-Organ Transplant Availability: Argumentation-Based Agent Deliberation

Pancho Tolchinsky, Technical University of Catalonia Ulises Cort?, Technical University of Catalonia Sanjay Modgil, Cancer Research UK Francisco Caballero, Hospital de la Santa Creu i Sant Pau, Barcelona Antonio L?pez-Navidad, Hospital de la Santa Creu i Sant Pau, Barcelona

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 30-37 , November/December 2006

Keywords: multiagent systems, argumentation, healthcare

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。臓器移植可能な人間の臓器は極めて限られており、これは深刻な問題である。現在の臓器選択と割り当てのためのプロセスでは、多く の臓器が移植に不適切とみなされ破棄されている。しかしこのプロセスでは、ある臓器が移植に利用できるかどうかについての医療専門家の意見を無視している。新しい臓器選択プロセスにより、地理的 に離れた場所にいる移植担当医でさえも臓器の移植利用性に関する討論に参加することができるようになる。このオーグメンテーションに基づいた討論は、Carrel+と呼ばれるマルチエージェントシステム により定式化される。医療分野では安全性が極めて重要であるという事実を鑑み、正式且つ厳密な標準に準拠するために、このシステムは左記の医療担当者による討論を本質的に必要とするものであ る。

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エージェント技術を用いたヘルスケアシステムの起源
Provenance in Agent-Mediated Healthcare Systems

Tam? Kifor, Computer and Automation Research Institute L?szl? Z. Varga, Computer and Automation Research Institute Javier V?zquez-Salceda, Universitat Polit?cnica de Catalunya Sergio ?lvarez, Universitat Polit?cnica de Catalunya Steven Willmott, Universitat Polit?cnica de Catalunya Simon Miles, University of Southampton Luc Moreau, University of Southampton

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 38-46 , November/December 2006

Keywords: computing methodologies, artificial intelligence, distributed artificial intelligence, intelligent agents, computer applications, life and medical sciences, medical information systems, computer applications, Internet applications, healthcare, information technology and systems, information technology and systems applications, workflow management, data dependencies, information technology and systems, database management, workflow management, provenance

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。ヘルスケア情報システムでは、エージェント志向の協調技術、標準化された電子ヘルスケア記録交換プロトコロを用いて、様々な場所に いる様々なヘルスケアサービスの提供者からもたらされる、患者の治療の多面的な情報を組み合わせて利用することができる。Provenance(起源)は複雑な分散型のプロセスにおけるイベント追跡の ための新しいアプローチである。このアプローチでは、左記のようなイベントの相互依存性や、人間の総合判断に関しても追跡する。本稿では、エージェント仲介ヘルスケアシステムにおける、この Provenanceの3つの面について注目する。まずProvenanceを定義し、これをエージェント仲介経するケアアプリケーションにどのようにして適用する方法について述べる。次に、お互いに通信しない 独立した自律ヘルスケアエージェントに、自らのプロセスをドキュメント化するようにさせる。最後に、このアプローチが、プライバシーの適切な取扱を必要とする組織に対してどのような助けになるのかを示す。

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モバイルエージェント技術を用いた分散医療データのセキュアなインテグレーション
Secure Integration of Distributed Medical Data Using Mobile Agents

Pedro Manuel Vieira-Marques, University of Porto Sergi Robles, Universitat Aut?noma de Barcelona Jordi Cucurull, Universitat Aut?noma de Barcelona Ricardo Jo?o Cruz-Correia, University of Porto Guillermo Navarro, Universitat Aut?noma de Barcelona Ramon Mart?, Universitat Aut?noma de Barcelona

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 47-54 , November/December 2006

Keywords: healthcare applications, virtual electronic patient records (VEPR), mobile agents, integration of medical data, security

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。本稿では、従来のシステムにあったデータ可用性に関する問題を克服するモバイルエージェントに基づいた、セキュアな医療情報収集シス テムを提案する。患者に治療を施すことを目的とするサービスにとって、情報の可用性は極めて重要である。なぜならば医師は利用可能な情報に基づいて判断を下すからである。仮想電子カルテ (Virtual Electronic Patient Records: VEPRs)により、医療機関の中でのデータインテグレーションのために必要な手段を提供し、単一のインターフェースで患者の全ての医療記 録を参照できるようにする。しかし、患者は人間であり、動くものである。それゆえ一生涯において複数の医療機関を訪れる。これは収集するべき情報が様々な機関にばらばらに存在することを意味する。 本稿の提案は、モバイルエージェントシステムに基づいており、IEEE-FIPA標準の機関間データ発見、輸送、そして医療情報インテグレーションを与えるものである。本手法は、従来のセキュリティスキー マを組み合わせ、高度なエージェント駆動の自衛機構とユーザの役割に基づいたアクセスコントロールにより、情報を保護する。このシステムは遠隔地にある古いアプリケーションとも通信かのうであり、これに より医療文書のインテグレーションを助ける。本システムは、取扱に注意を要する医療情報を、それを必要とする人のもとへ適切に届ける。

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広範なヘルスケア分野のためのプライバシーを考慮した自律エージェント
Privacy-Aware Autonomous Agents for Pervasive Healthcare

Monica Tentori, CICESE Jesus Favela, CICESE Marcela D. Rodr?guez, Autonomous University of Baja California

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 55-62 , November/December 2006

Keywords: autonomous agents, healthcare applications, privacy-aware computing, pervasive computing

本稿はヘルスケアにおける知的エージェント特集号の一部である。病院施設は自然とユビキタスコンピューティング技術の試行の場の候補となる。しかし病院では通常プライバシーに関して厳密な要求事 項がある。自律エージェントは、プライバシーを考慮したシステムの開発の助けとなる。SALSAエージェントフレームワークの拡張により、カスタマイズ可能なプライバシー機構を利用することで、アプリケーション を特定のプライバシー品質レベルにまで適用することができる。これにより自律エージェントの特性を利用する。コンテキストを考慮したユビキタス病院アプリケーションの実装例により、このフレームワークを利用 することで、開発者がどのようにしてユーザのプライバシーを守れるかを示す。

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エージェント技術のヘルスケアへの適用:GruSMA実験
Applying Agent Technology to Healthcare: The GruSMA Experience

Antonio Moreno, University Rovira i Virgili A?da Valls, University Rovira i Virgili David Isern, University Rovira i Virgili David S?nchez, University Rovira i Virgili

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 63-67 , November/December 2006

Keywords: agent technology, medical services

マルチエージェントシステムグループ(the Multiagent Systems Group:GruSMA)はスペインのRovira I Virgili大学人工知能研究グループに属している。過去5年にわたり、 GruSMAは、ヘルスケアの問題を取り扱うために、多くのエージェントアプリケーションを設計し開発してきた。これには、知的エージェントの性質と、ヘルスケア問題との間の緊密性の強調を含む。この緊密 性としては、エージェント反応性、柔軟性、先行性、機動性、自律性、協調性そして、複雑な問題を解くための分散環境における活動を調整する自律体とのコミュニケーションなどがある。

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ヒットレシオの何が悪いのか?
What's Wrong with Hit Ratio?

Arie Ben-David, Holon Institute of Technology

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 68-70 , November/December 2006

Keywords: Cohen's kappa , hit ratio, classification accuracy

ヒットレシオは現在のところ、最も普及した識別器精度の尺度である。しかしこの尺度では偶然正しく識別された試行を他の正答例と区別することはできない。本稿では2つの多価UCI(カリフォルニア大 学Irvine校)識別データセットと、2つのよく知られた機械学習モデル(C4.5及びネイティブのベイズ識別法)を用いた実際的な実験により、前記の問題の影響を検討する。本稿で著者は、ヒットレシ オが誤った結論を導きやすい事を指摘し、ランダムなヒットを考慮したCohenのカッパ(Cohen’s kappa)を、統計学的に頑健な代替尺度として提案する。他のすべての尺度と同じように、Cohen のカッパは固有の欠点がある。しかし著者は、他のより簡明な代替尺度が見つからない限り、このCohenのカッパは識別器精度に関する全ての科学論文で必須のものであると主張する。

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ソフトウェア工学における知的システムとフォーマルメソッド
Intelligent Systems and Formal Methods in Software Engineering

Bernhard Beckert, University of Koblenz Tony Hoare, Microsoft Research Reiner H?hnle, University of Koblenz Douglas R. Smith, Kestrel Institute Cordell Green, Kestrel Institute Silvio Ranise, INRIA Cesare Tinelli, University of Iowa Thomas Ball, Microsoft Research Sriram K. Rajamani, Microsoft Research

IEEE Intelligent Systems, Vol. 21, No. 6, pp. 71-81 , November/December 2006

Keywords: formal methods, software engineering, program verification, deductive software verification, satisfiability modulo theories, software synthesis

ソフトウェア工学におけるフォーマルメソッド(formal method:数学や論理学に基づいてシステムの評価を行う方法:訳者注)は、知的システムのための重要な応用分野となってきている。この分野は 充分に成熟しており、既に学術界でのケーススタディを必要としておらず、また産業界は大きな関心を寄せている。本稿ではフォーマルメソッドの最新動向を紹介し、アプリケーションを成功に導く開発手法 について議論する。

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