AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約


[インデックス] [次の年]

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.1


Eコマースを支える情報統合フレームワーク
An Information Integration Framework for E-Commerce

Ilario Benetti, Domenico Beneventano, Sonia Bergamaschi, Francesco Guerra, Maurizio Vincini

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: e-commerce, information retrieval

電子商取引(eコマース)で、人々は物品購入や情報交換などの取引をオンラインで行うことが出来る。eコマースインフラ設計者の大きな課題は様々なロケーションに分散された異なるリソースの情報を共有し検索するに際し統一感のある見え方や操作性を実現することで予想される矛盾や重複を取り除くことである。仮想カタログプロジェとクは、複数の物理的なカタログ上の製品情報を実際にデータベースに登録することなく、複数のカタログ情報からダイナミックに製品情報を検索し統一感のある形態で表示する手段を提供するために着想し開発した。本稿ではMOMIS(Mediator environment for Multiple Information Sources)プロジェクトというメディエイター(仲裁人)ベースの、構造化されたデータと半構造化されたデータの両方のデータ情報源から情報を抽出し、統合するシステムについて報告している。(Na)


BAツール: セマンテックWeb制作の負荷を低減する
The Briefing Associate: Easing Authors into the Semantic Web

Marcelo Tallis, Neil M. Goldman, Robert M. Balzer

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: commercial off the shelf (COTS), markup, Semantic Web

セマンテックWeb(意味構造を持つWeb)は情報消費者にとって明確なメリットがあるが、Web制作者にとっては短期的にはメリットのない余分な仕事が必要になることを意味する。本稿ではポピュラーな市販の(COTS:commercial off-the-shelf)オーサリングアプリケーションを用い、Web制作者が要約を作成する過程でセマンテックマークアップが生成出来るBA(Briefing Associate)ツールを開発した。著者等はセマンテックWeb制作のコストを劇的に削減し、普及することを狙っている。ここBAはマイクロソフトのパワーポイントの拡張機能として開発された。同じくマイクロソフトワード向けの開発も行っている。(Na)


エージェントベースの森林ビジネス向け統合サービス
Agent-Based Integrated Services for Timber Production and Sales

Andreas Gerber, Matthias Klusch

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: agents, distributed systems, e-commerce

iコマースはeコマースの拡張機能であり、カストマーとコントラクター間の情報交換をより密接にして注文内容をより正確に伝達出来る。Casaプロジェクト(Cooperative Agents and Integrated Services for Logistic and Electronic Trading in Forestry and Agriculture)はエージェントベースの情報と通商ネットワーク(ITN: information and trading network)で森林ビジネスと農業ビジネス向けの統合サービスを提供するものである。Casa ITNシステムはマルチエージェントシステムで、複数の自発エージェントがユーザーの代理として他のエージェントと交渉し、オークションに参加して、戦略的な取引行為を行う。(Na)


ITtalks: セマンテックWebとDAML+OILのケーススタディ
ITtalks: A Case Study in the Semantic Web and DAML+OIL

R. Scott Cost, Tim Finin, Anupam Joshi, Yun Peng, Charles Nicholas, Ian Soboroff, Harry Chen, Lalana Kagal, Filip Perich, Youyoung Zou, Sovrin Tolia

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: DAML, DAML+OIL, RDF, RDFS, Semantic Web

Web上で入手可能なマルチメディア情報を効率的に利用するためにはDAML+OIL [DARPA Agent Markup Language Ontology Inference Layer: オントロジー(メタデータ間の関連を記述するもの)作成のためのマークアップ言語]などのセマンテックWeb用のマークアップ言語が必要である。これらの言語を用いると、自動的な情報収集と処理を可能とし、マルチエージェントシステムと既存の情報インフラストラクチャの統合を促進する。著者等はセマンテックWeb技術とDAML+OILの研究の一環として、ITtalksという情報技術関連の講演(talks)、セミナーなどに関連する情報にアクセスする知的なポータルサービスを開発した。ITtalksはDAML+OILを知識ベース、推理機構、エージェント間通信として用いている。本稿では、ITalksシステムについて記述され、セマンテックWebの概念とDAML+OILによりエージェントが支援する知的なオンラインサービスを提供する様々な方法について議論している。(Na)


埋込み文法タグ: 自然言語によるWebアクセスの高度化
Embedded Grammar Tags: Advancing Natural Language Interaction on the Web

Gautham K. Dorai, Yaser Yacoob

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: Internet content, markup languages, natural language speech, Semantic Web, user interface, XML

Webコンテンツは爆発的に増加しているが、活用のための強力な検索とコンテンツ解析エンジンの開発が追いついていない。検索エンジンが効率的にWebページからコンテンツを検索出来るように、マークアップ言語を拡張し、Webページに意味を記述するタグを埋め込む研究が行われている。著者等は、インテリジェントなエージェントが自然言語によるクエリー入力に対して正確で簡潔な検索結果を出力する新しいフレームワークを提案している。このフレームワークの中心は、自然言語によるクエリーを理解するための埋め込み文法タグ(EGT: embedded grammar tags)である。EGTはユーザーが、あるコンテンツを検索するために入力するだろうクエリーを予測してWebページの情報コンテンツを出力する。EGT文法は、音声認識エンジン、セマンテックWebページ表現エンジンと音声出力合成エンジンに対して統一したコンポーネントを提供する。著者等は、EGTによりソフトウエアエージェントが天気予報、株式市況や大学ホームページなどの限られたドメインにおいて、自然言語に反応して結果を出力することを実証している。(Na)


セマンテックWeb開発を目指したオントロジー言語の比較分析
Ontology Specification Languages for the Semantic Web

Asuncion Gomez-Perez, Oscar Corcho

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: languages, ontology, semantic Web

セマンテックWebとして知られている第3世代のWWWの成功は、Web上の全てのリソースを通して発信されている情報を構造化出来るかどうかに依存している。この新しいWebではオントロジーが重要な役割を果たすだろう、又、この情報を記述することの出来る表現力が高く、且つ効率的で簡単な言語が必要とされており、この分野で様々な言語の開発が促進されるだろう。著者等は、WWWという面で開発されたオントロジー言語の最も代表的なものについて表現力の高さを研究し、共通フレームワークを用いて比較を行っている。比較された言語はXOL(Ontology Exchange Language)、SHOE(Simple HTML Ontology Extension)、OML(Ontology Markup Language)、RDF(Resource Description Framework)、 RDFS(RDF Schema)、OIL(Ontology Inference Layer)とDAML+OIL(DARPA Agent Markup Language+OIL)である。(Na)


ExperNet: 大規模なWAN管理のための知的なマルチエージェントシステム
ExperNet: An Intelligent Multiagent System for WAN Management

Ioannis Vlahavas, Nick Bassiliades, Ilias Sakellariou, Martin Molina, Sascha Ossowski, Iv´n Futo, Zoltan Pasztor, Janos Szeredi, Igor Velbitskiyi, Sergey Yershov, Igor Netesin

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 1, January/February 2002

Keywords: languages, ontology, semantic Web

全国規模のTCP/IPベースネットワークの運用はその規模と複雑さにより既存のネットワーク管理ソフトでは手に負えない。そのような大規模WANを管理するためにはユーザーフレンドリーでインテリジェントな診断と意思決定機能の優れたネットワークマネージメントソフトウエアが必須である。著者等はウクライナ国立WANの管理のためにEUの共同プロジェクトであるExperNetと呼ばれる大規模データネットワークの管理を支援するマルチエージェントのエクスパートシステムを開発した。このシステムはネットワークオペレータを支援し、WANの様々なノードでハードウエア問題とネットワーク通信問題を検出、診断し、最も妥当な解決策をWebベースのインターフェースで提供することが出来る。(Na)

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.2


情報抽出システムSUISEKIのフレームベースのモジュール
The Frame-Based Module of the SUISEKI Information Extraction System

Christian Blaschke, Alfonso Valencia

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: frame-based systems, information extraction, protein interactions, SUISEKI

科学的な新発見はいかに既存の知識を活用して、その上に構築する能力に左右される。分子生物学やバイオ医薬品分野では、大量の知識がフリーフォーマットのテキストで記録されているが、再活用が難しい。SUISEKIは科学文献中のタンパク質の相互反応に関連する情報を検出し抽出するシステムである。このシステムは有機体固有の名称辞書を用いずに、形態情報、構文情報、文脈情報と、タンパク質の相互反応が文中でどのように表現されやすいかの実践的情報とともに用いて遺伝子やタンパク質の名称を検出する。著者等は現在のシステムに使われているルール(フレームと呼ぶ)の固有の値、適用範囲や性能を含めた詳細について記述している。細部において、このアプローチは異なるセンテンスに含まれる相互反応の一部しか検出できないが、相互反応の検出頻度と入手出来た情報の精度の間には明確な関連性があり、頻繁に現れる相互反応については20%程度のエラー率以内で検出が可能である。従い、著者等は、あらかじめ定義したフレームと、統計的手法と言語学的手法を組み合わせることで、分子生物学文献に記述される相互反応ネットワークの分析に関する有効な手法となることを示している。


多次元データ統合と関連性類推を持つバイオ情報システム
Multidimensional Data Integration and Relationship Inference

Kunbin Qu, Nan Lin, Yanmei Lu, Donald G. Payan

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: bioinformatics, data warehouse, ontology, protein-protein interactions

ヒトの染色体全体の配列情報を解読することを目的とした、ヒューマンゲノムプロジェクトは膨大な情報を生成している。例えば、このプロジェクトでは3GBもの遺伝子DNAを調べ、ヒトの染色体にはおよそ3万の遺伝子があると予測したりしている。本分野の今後の主要な研究課題は生物学的経路における遺伝子の機能と役割を決定することである。遺伝子の機能を同定することが出来れば医薬品研究をさらに効率的に行うことが出来るようになる。著者等はデータウエアハウス基盤に基づいて多次元データ解析を可能とするバイオ情報システムの概要につき報告している。本稿で報告するバイオ情報システムは多次元データ解析により遺伝子の機能を発見し、クラスター解析により遺伝子間の関連性を類推するものである。


タンパク質解析のためのコンピュータ支援教育
A Machine-Learning Strategy for Protein Analysis

Pierre Baldi, Gianluca Pollastri

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: contact map, evolutionary information, protein structure prediction, protein contacts, recurrent neural networks, secondary structure, solvent accessibility

ヒトゲノムプロジェクトや他の配列解読プロジェクトは洪水のようにDNAやタンパク質の配列データを作り出す。著者等はタンパク質に関連する課題に対するコンピュータ支援教育手法についての概略を説明している。彼等はタンパク質の3D座標の完全な予測を行う新規な手法について概説した。この手法は構造特徴の予測、位相(topology)特徴と実際の座標化という3つの連続した段階を持つ。


遺伝制御ネットワーク解明のためのベイジアンネットワーク
Bayesian Methods for Elucidating Genetic Regulatory Networks

Alexander J. Hartemink, David K. Gifford, Tommi S. Jaakkola, Richard A. Young

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: Affymetrix GeneChip, annotated Bayesian network, annotated graphical model, annotation, computational functional genomics, gene expression array, genetic regulatory network, genomic binding location data, genomic expression data, model validation

遺伝子のもつ、最も興味深い役割は、どの遺伝子がある特定の時間にタンパク質として発現するかを正確に制御する、遺伝制御である。著者等は遺伝制御ネットワークをモデル化するためのグラフモデルとベイジアンネットワークの活用法を示している。ベイジアンネットワーク手法は、変数間に一対以上の関連をもつ場合のモデル化の能力、overfittingに対するガード能力と雑音の多いデータに対する耐久性などが優れているため、この領域の計算に適している。著者等は、モデル間を直接比較することの出来る本質的なスコアを生成するために、どのように遺伝発現と結合位置データを組み合わせるかについて議論している。彼等は生理学的要素間のモデルの統計的依存性を高精度で記述するエッジに付記する注釈を含むベイジアンネットワークスのセマンテックを拡張する手法を開発した。彼等は実際の遺伝データが与えられた場合において、これらのアノテーションを記述されたベイジアンネットワークのスコアを計算する本質的な手法を導いた。彼等は、酵母菌属,サッカロミセスcerevisiae galactose の制御システムにおいて制御ネットワークモデルを検証するために彼等の開発したスコア計算フレームワークを応用している。


情報検索技術と遺伝子解析の進歩
Information Retrieval Meets Gene Analysis

Hagit Shatkay, Stephen Edwards, Mark Boguski

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: gene-related publications, genome, genomic research

過去10年間で、コンピュータと生物学的研究手法の進歩などにより遺伝子研究には大幅な変化が起きた。遺伝子配列自動検出測定器により染色体の配列研究は数ヶ月単位、ある場合には数週間で完了する。最近の遺伝研究では膨大なデータが作られ、大量の遺伝子関連文献が出版されている。これら豊富な情報の山は一方では、データ解析技術に対し大きな課題を与えている。究極の目標は、全ての発見された遺伝子とタンパク質情報の複雑な生物学的相互関連性を完全に理解することである。この目標を達成するためには、個々の遺伝子情報に関する大量の書物の入力と大量の専門家集団が要求される。最近、いくつかの研究グループが報告しているように、これらの文献から関連する重要な情報を自動的に抽出するシステムが既存のシステムを補完し、解析の速度を向上し、遺伝プロセスの理解を大幅に向上させることが出来る。著者等は文献から染色体の規模で遺伝子間の機能的な関連性を定義する蓋然性に基づく情報検索手法について示している。酵母の遺伝子について記述されている文献を用いたて、本手法と従来手法で研究された遺伝子の機能を比較し、この手法の効果が実証された。


セマンテックWebに付加する注釈情報の有用性を高める8つの質問
Eight Questions about Semantic Web Annotations

Jerome Euzenat

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 2, March/April 2002

Keywords: background knowledge, content representation, ontology, search by content, Semantic Web

セマンテックWeb(注釈情報を付加したWeb)の重要な目的の一つは情報検索の性能を向上させることである。しかしながら活用面を十分考慮せずに注釈をつけても必ずしも生産性が向上するとはいえない。十分計画を立てて実施しなければ(ロボットを走らせ、抽出されたコンテンツに対して自動的に記述する場合は特に)、一貫しない情報を生成するリスクが高くなる。著者は実際に注釈を記述する前に8つの質問に答えることを推奨している。彼は、本アプローチの実用的な応用を提示し、この質問を既存のシステム(Medline、MUC、Escrire、SHOE、KA2)で検証している。

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.3


連合活動のための知識システム会議(KSCO: Knowledge Systems for Coalition Operations meeting)の紹介
Guest Editors' Introduction: Knowledge Systems for Coalition Operations

Austin Tate, Jeffrey M. Bradshaw, Michal Pechoucek

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: KSCO, knowledgesystems for coalition operations,

現代や未来の軍事任務には多国籍軍の関与がますます増加する。理想的には、このような多国籍軍は必要に応じて短期間で、柔軟に展開可能としたい。さらに、これらの多国籍軍は、防衛、治安、人道的任務など国内や海外でダイナミックに変化する多様な目的に対応する必要がある。これらの任務は、しばしば国連のような国際機関による合意を必要とする。これらの任務には複雑で複数の目的を達成するために機敏性や限られたリソースの効率的な使用が要求される。参加者(KSCO2002の参加者)には、参加国の利益や非政府組織とその能力を反映した仮想組織の構築と運用を行うことが必要とされる。 注: IEEE Intelligent Systemsの本号はKSCO2002(Knowledge Systems for Coalition Operations meeting)からのいくつかの論文を紹介している。KSCO2002のurlは以下、 http://www.aiai.ed.ac.uk/project/coalition/ksco/ksco-2002.html


多国籍軍形成のための知識ベースアプローチ
A Knowledge-Based Approach to Coalition Formation

Michal Pechoucek, Vladim?r Mar?k, Jaroslav B?rta

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: acquaintance models, agents, alliances, coalition formation, knowledge disclosure, multiagent systems, social knowledge

高度に協調関係にある組織と、それほど密接に関係を持たない非政府組織が多数関与する多国籍連合で人道救出作戦を立てることは非常にチャレンジングな課題である。著者等は、人道的かつ、平和維持目的のための活動のために多国籍連合を形成するための知識ベースアプローチについて報告している。著者等は、本ドメインの持つ、各々の機関を代表するエージェントは、結局は協力せざるを得ないが、自身の知識やリソースの共有を好まない、という性質を考慮に入れエージェントのコミュニティをいくつかの同盟関係に分類することで問題の複雑さを簡略化することを試みた。彼等は多国籍連合の形成をより単純化、効率化し、各々のエージェントの秘密情報を保持することを目的にCplan Tと呼ばれるマルチエージェント知識ベースシステムを開発した。


多国籍軍エージェント実験: 多国籍軍におけるマルチエージェント協調実験
Coalition Agents Experiment: Multiagent Cooperation in International Coalitions

David N. Allsopp, Patrick Beautement, Jeffrey M. Bradshaw, Edmund H. Durfee, Michael Kirton, Craig A. Knoblock, Niranjan Suri, Austin Tate, Craig W. Thompson

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: coalition, command, infrastructure, integration, international, interoperability, joint, military, multiagent systems, software agents

多国籍軍は、すばやく構築され、環境変化を反映して柔軟性高く変更される大規模で多面的な仮想組織である。多国籍軍エージェント実験(CoAX: Coalition Agents Experiment)は、マルチエージェントシステムが、多国籍軍の敏捷で頑強な作戦や、実際の軍隊の持つ、過去の遺産的な側面と近代的な側面等を含む、不均一な構成要素間の相互運用を可能とするなど、複雑な実世界のさまざまな問題を扱う効率的な手法であることを実証するために行われている。CoAXはDARPAのエージェントベースシステムによる制御(CoABS: Control of Agent-Based Systems)プログラムの援助で実施されている。CoABSのGridフレームワーク上に構築されており、CoAXエージェント基盤はエージェントを実世界の組織的、機能的、国別などを反映したいくつかのドメインにグループ化することで、エージェントや情報に対するセキュリティ条件やアクセス条件などが複数レベルの政策により管理される。2012年、アフリカの架空の州であるBinniを舞台とした、様式化されているが、現実的な平和維持執行活動シナリオで、複雑さが増加する一連の段階的なデモンストレーションが行われた。これらのデモンストレーションは、どのようにエージェント技術が、情報収集、可視化、作戦行動、先頭と作戦計画立案と実施などの多国籍軍命令システムを短期間に、協調構築に役立つかを示している。


Infoshpereにおける多国籍軍相互連携のための青写真
Force Templates: A Blueprint for Coalition Interaction within an Infosphere

Robert E. Marmelstein

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: coalition, force templates, infosphere, interoperability, joint, publish, subscribe

未来の軍事作戦は異種な部隊、多国籍軍、その他民間の非政府組織などの間で緊密な協調関係や情報共有が要求されるが、このような要求を支援するインフラは欠如している。本稿ではJoint Battlespace Infosphere (JBI)のための新規な軍事テンプレートモデルを提案し、どのように多国籍軍活動の成功をサポート出来るかを議論している。JBIとはコマンドセンターから前方部隊までの全ての階層に対して情報を統合し、蓄積し伝達するためのシステムを集めたシステムである。JBIのようなInfosphereのアーキテクチャは、指揮、規制と情報活動を合理化するためのWebとe-commerce技術を改善する。著者等は、戦闘空間エンティティ(およびそれらのクライアント)をJBI中に短時間で統合する主要なメカニズムとしての軍事テンプレートの概念を紹介している。さらに、軍事テンプレートがJBI中でいかに適切な情報伝達を保証するかを示している。リソースの交換と制御に重点を置いているため、軍事テンプレートは臨機応変に構築される多国籍軍メンバーへの効率的な情報共有の要求を柔軟に提供する。


推論エージェントによるダイナミックなアライアンス連合編成
Dynamic Coalition Formation among Rational Agents

Matthias Klusch, Andreas Gerber

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: coalition, rational agent, coalition formation, DCF

著者等はインターネットやWebといったオープンで不均一な分散環境における推論ソフトウエアエージェント間でアライアンス連合をダイナミックに編成 (DCF: dynamic coalition formation) する手法を提案している。彼等は意思決定理論、社会的論法やコンピュータ支援教育といったDCF問題のほんの一部を解決するためのアプローチについて議論している。最終的に、彼等は斬新なDCF体系を概説し、DCF全体を解決するための将来研究のいくつかについて詳述している。DCFはユビキタスやモービルコンピューティング環境でより効果的である。モービルコマースでは、個々のビジネスパートナーを代表するパーソナライズされたエージェントが、顧客の購買や交渉戦略を強化する利益追求型の暫定的な連合を編成する。


多次元分散解析にデータ圧縮を応用する
Using Data Compression for Multidimensional Distribution Analysis

Kentaro Onizuka, Tamotsu Noguchi, Yutaka Akiyama, Hideo Matsuda

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: linear compression, mean-force potentials, multidimensional distribution, spherical Bessel, spherical harmonics

立体構造生物学では多次元分散解析が重要である。分子生物学の対象は3Dである。これら3D同士の関係は6Dとなる(3Dの位置関係と3Dのオリエンテーション)。従い、それらの多次元分散を表現する係数やパラメータの数は爆発的に増大する。この問題を回避するために著者等は、データ圧縮技術を用いて多次元分散解析を行う手法を提案している。この手法は、ある拡大係数に従って、多次元分散を線形に拡大する。この拡大の手続きでは、高次の直交性を無視し、係数の総数を減少させて分散を表現する。この圧縮方法はコンピュータビジョン分野のDCTベース画像データ圧縮の応用である。著者等は、この手法により、タンパク質配列構造互換性を求めるために、真に6Dでタンパク質残基間のmean-force potentialsを計算することに、おそらく始めて成功した。


MFMによるセンサー検証技術
Discrete Sensor Validation with Multilevel Flow Models

Bengt ?hman

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: diagnosis, multilevel flow models, operator support systems, real-time, sensor validation

産業プラントにおける多数のセンサーの発するアラームを管理する手法についての報告である。GoalArt研究所は複数レベルのフローモデル(MFM: multilevel flow model)を用いたオンラインのセンサー検証アルゴリズムを開発した。MFMはフローの質量又はエネルギーによりシステムを記述し、明示的にプロセスのゴールを表現する。そのアルゴリズムはプロセスのアクティブアラームをモニターし、MFMが表現する通常の依存度に対するチェックを行う。アルゴリズムが不一致を観察すると、潜在的なエラーとしてアラームを発生し、オペレータと支援要員に状況を報告する。


3つのルール
The Triples Rule

Robert R. Hoffman, Patrick Hayes, Kenneth M. Ford, Peter Hancock

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 3, May/June 2002

Keywords: human-centered computing

AIは万能ではなく、人間、コンテキストと機械の3つのルールが重要。世界は機械に置き換わる、という極端な悲観論は不要だ。人間(認識力、知覚力、目標)、機械(計算能力、インターフェイス)とコンテキスト(要求、制限、機会)には適切な組み合わせがある。その場合、人間の認識力、知覚や共同作業能力が増幅される。1947年の産業疲労研究委員会(IFRB: Industrial Fatigue Research Board)の報告書に初めて人間要素(human factor)という単語やマン-マシンシステム、という概念が用いられた。

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.4


Marie-4: 高い再現率で自己改良を行う、キャプションを用いて画像を検索するWebクローラー
Marie-4: A High-Recall, Self-Improving Web Crawler That Finds Images Using Captions

Neil C. Rowe

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: Images, captions, World Wide Web, software agents, data mining, digital libraries, information filtering, keywords, parsing, image processing, probabilistic reasoning, servlets

マルチメディア情報はテキストに比べ、コンテンツによる検索が難しく、また付加される説明文についても一貫性がないことが多いので、ウエブ上のマルチメディアオブジェクトの検索は文書の検索に比べて非常に難しい。著者等は、彼等の開発した、イメージに付加された説明文(キャプション)とおぼしいテキストと、そのキャプションで関連付けられたイメージオブジェクトを検索するMARIE-4と名づけた「ウエブクローラー」と「キャプションフィルター」について記述している。彼等のシステムは既存のイメージ検索システムのように少ない種類の特徴だけを調べるのでなく、新規なものも含む広範囲な判断基準を用いることで、通常は正解抽出率(precision、全回答中の正解率)を目指している競合システムに比べ、高い再現率(recall、全正解中の抽出された正解率)を達成した。著者等はこれらの基準について注意深い実験を行い、4585ヶの代表イメージから8140ヶのキャプション候補を抽出した。そしてキャプションから得られるヒントについての相対的な値の数値化を行った。クローラー自身は得られた肯定的なヒントと否定的なヒントを統計的に処理することで自己改良を行う。通常の画像検索エンジンでは画像データベースがあらかじめインデックス化されている必要があるが、Marie4は自律的にWebを検索し知的な推論を行ってキャプションを探す。著者等は公に入手可能な667,573枚の海軍のWeb画像全てに対するWebサーチエンジンを実装してデモを行った。


キャラクターベースでインタラクティブにストーリーを生成する
Character-Based Interactive Storytelling

Marc Cavazza, Fred Charles, Steven J. Mead

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: interactive storytelling, synthetic characters, planning, computer games, speech understanding.

著者らは、彼等の開発した、あらかじめ決められたストーリーの流れに沿ってユーザーがインタラクティブにストーリーを生成出来るプロトタイプシステムについて記述している。このシステムはストーリーの筋というよりキャラクター(登場人物)ベースであり、個々のキャラクターの役割は階層的タスクネットワークス計画法を用いてダイナミックに計算される。キャラクター間の相互作用により基本となる物語の様々な場面を生成する。ユーザーは物理的な割り込みか音声認識による介入をいつでも行うことができる。プロトタイプに用いられている基本的なAI技術について紹介し、その後ユーザー割り込みの様式について議論し、システムが生成したストーリーの例を紹介する。


戦略ゲームAIsを改善する定性的空間推論
How Qualitative Spatial Reasoning Can Improve Strategy Game AIs

Kenneth D. Forbus, James V. Mahoney, Kevin Dill

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: Qualitative spatial reasoning, visual reasoning, knowledge representation.

AIsという戦略ゲームにとって、空間的推論は最も困難な課題である。この課題を解決するためには定性的な空間推論技術が有益と思われる。このアプローチの潜在的なメリットは、より表現豊かな空間表現、よりよく意図を伝える能力、経路の発見能力と再利用可能な戦略ライブラリーである。戦略ゲームの定性的な空間記述を計算するのに有益なビジュアルなルーチンプログラムが用意されている。


インタラクティブな次世代の仮想人物
Toward a New Generation of Virtual Humans for Interactiv eExperiences

Jeff Rickel, Stacy Marcella, Jonathan Gratch, Randall Hill, David Traum, William Swartout

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: emotions, intelligent agents, perception, spoken dialogue, virtual humans.

インタラクティブな仮想世界はエンターテイメントだけでなく経験学習にも強力な媒体である。ミッションリハーサルエクササイズ(MRE)と呼ばれるプロジェクトのゴールは、ユーザーと様々な役割を持つバーチャルな自律エージェントのインタラクションにより、そのような仮想世界の現実感を高めるものである。この目標達成は困難だが、その部品となる技術は既に存在している。MREプロジェクトはタスクを知識表現する技術を中心としたキー技術を積極的に統合するものである。本稿では、統合された仮想世界と、その中の平和維持シナリオを構成するキャラクター達によりプロジェクトを紹介している。


物語に登場するもっともらしいエージェントを設計する行動記述言語
A Behavior Language for Story-Based Believable Agents

Michael Mateas, Andrew Stern

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: behavior language, believable agents, reactive planning language.

行動記述言語(ABL: A Behavior Language)はOzプロジェクト言語Hapを基にした反応性のプラニング言語であり、もっともらしく、豊富な個性を表現できるエージェントキャラクターをオーサリングするために設計された。今回は、Fa?adeと呼ばれるドラマチックな物語の世界のインタラクティブな役割を果たすキャラクターの設計が目的である。ここで著者等はHapの概要を説明し、ABLの新しい機能、特に複数のキャラクターの協調関係をサポートする機能について説明している。彼等はインタラクティブな物語におけるキャラクターの行動を体系付けるために用いるABMの熟語についても記述している。


コンピュータゲームに高級なコンピュータ能力を必要としないAI技術を応用する
Applying Inexpensive AI Techniques to Computer Games

Aaron Khoo, Robert Zubek

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: entertainment, game agents, behavior-based networks.

著者等はコンピュータゲームのキャラクターを開発するための2種類のAI技術アプリケーションについて記述している。ここで説明されているシステムはシンプルで高速の計算能力を必要としない機構を用いており、ゲーム開発に使われるコンピュータ能力の制限に適合する性能特性で、キャラクターの行動を定義することが出来る。著者等は、彼等がこのアプローチにいたった動機を解説し、Half-Lifeというゲームでデスマッチを演じるエージェントのGrooとCounter-Strikeというゲームに登場する14才の口汚い、おしゃべりな、たかりやMoronという2つの実験的なシステムについて記述している。


脊椎動物のプロモータを認識するための知的システム
An Intelligent System for Vertebrate Promoter Recognition

Vladimir B. Bajic, Allen Chong, Seng Hong Seah, Vladimir Brusic

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 4, July/August 2002

Keywords: DNA analysis, promoter recognition, gene finding, multisensor integration, artificial neural networks, composite models.

ドラゴンプロモーターファインダーは脊椎動物のプロモーター認識のための高度なシステムである。このシステムはマルチセンサー統合、信号処理と人口神経ネットワークなどのいくつかのモデルを用いている。このシステムはDNAのある特定の機能領域におけるオリゴヌクレオチドの位置分布の統計的概念に基づいた新規に開発されたセンターを用いている。これらの分布は最上位のオリゴヌクレオチドの位置ウエイトマトリックスの集合としてモデル化されている。著者等は、偽陽性予測の数を最小化するために、前もって決定したいくつかの感度レベルごとにシステムを校正した。大規模で広範囲なヒトの配列の組み合わせで評価したところ、一般的に入手可能な汎用のプロモーター認識システムより数倍高い精度を示した。

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.5


社会言語学的手法で空港の効率を高める
Ethnography, Customers, and Negotiated Interactions at the Airport

Roxana Wales, John O'Neill, Zara Mirmalek

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: human-centered computing, customer as participant, ethnographic methods, air travel, airline operations reliability, airline delays, HCC design

空の旅というものは、圧倒的に複雑で色々問題が多い。旅客にとっては疲労が多く、航空会社にとっても常に新しい問題を提供する。これらの問題の解決は研究者にとって興味深い。我々はどのように航空運行の信頼性向上に貢献できるだろうか。可能性のある回答を提供するために、著者等は、旅客を関係者とみなすことと、人間中心のコンピューティング(HCC: human-centered computing)モデルの必要性を強調している。彼等の研究は航空会社のシステムドメインと運行の遅れの性質を理解するために社会言語学的手法を適用し、エアライン運行についての作業システムモデルがないことを明らかにした。HCCデザインにおいて航空会社の従業員と旅客のやり取りを分析するために社会言語学的手法を用いることで、研究者が航空会社の各部門を経由する旅客の流れを分析する助けとなり、ひいては旅客と従業員双方にとってより良い、新しい手法や組織構造を構築することを可能とする。


宇宙ミッションの生命維持システムの知的制御システム
Intelligent Control of Life Support for Space Missions

Debra Schreckenghost, Carroll Thronesbery, Peter Bonasso, David Kortenkamp, Cheryl Martin

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: NASA, human-centered computing, space missions, lunar rover, Johnson Space Center, life support

本稿はNASAジョンソンスペースセンター(JSC)における人間中心の知的制御ソフトウエアの開発成果について記述している。この知的システムは、宇宙飛行士の生命維持システムを、必要に応じて人間による割り込み操作を可能としながら殆どの時間自律的に制御出来ることを目的としている。著者等はJSCで開発され、現場で使われた2種類の制御システムについて記述している。一つは空気再生システムで90日間の有人実験に用いられ、もう一つは水再生システムで1年以上の地上実験で用いられた。この制御ソフトウエアを開発し実施したときに採用した人間中心コンピューティングで学んだ事柄について議論している。さらに、これらのシステムの経験を生かして開発した、半自律制御ソフトウエアとユーザーとの分散型インタラクションシステムのアーキテクチャに関する新しい研究についても概説している。


作業のやり方をモデル化しシミュレートすることで作業システムを設計する手法。
Modeling and Simulating Work Practice: A Method for Work Systems Design

Maarten Sierhuis, William J. Clancey

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: human-centered computing, human-centered systems, multiagent language, modeling, simulation, work practice, mission operation design, space missions.

本稿は、作業のやり方(すなわち、実際に人々が行うことがら)をモデル化しシミュレートして行う、人間中心作業システムの設計手法について報告している。人間の行動を作業プロセスや仕事(達成すべき作業の機能的な理想形)などに抽象化する代わりに、著者等は一日における人間の活動を包括的に時系列でモデル化している。作業がどのようにして行われたかを、異なる場所と時間における行動の結果として理解する。一方、これらの細部は製品中心の行動分析ではしばしば省略されることがある。この手法は人間がどのように一日の作業とそのやり方を計画するかに焦点を当てるため人間中心である。このアプローチは異なる道具やプロセスの採用などを含む作業システムの変更の提案に最適である。


人間中心の分散情報システムを設計する
Designing Human-Centered Distributed Information Systems

Jiajie Zhang, Vimla L. Patel, Kathy A. Johnson, Jane Malin, Jack W. Smith

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: HCC, EMR system, electronic medial record

人間中心の分散情報システムの設計は、マルチレベル分析の必要な分散認知理論を採用している。この手法はHCC(human-centered computing)システム設計のためのシステマティックな方針、ガイドラインと手順を提供している。著者等はHCCが殆ど使われていない電子的医療記録システム(EMR: electronic medical records)に応用して彼等の手法を実証している。


Webコンテンツフィルタリングのためのニューラルネットワーク
Neural Networks for Web Content Filtering

Pui Y. Lee, Siu C. Hui, Alvis Cheuk M. Fong

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: Fuzzy ART, KSOM, neural networks, Web content filtering, Web page classification

インターネット上の悪意を持った情報の氾濫の悪影響から、疑うことを知らない子供達などを守るための対策が早急に必要とされている。しかしながら、現在のWebコンテンツフィルター技術には重大な欠陥があり、知的コンピューティングはこれらの欠陥を補填することか可能である。例えば、ニューラルネットワークによる学習機能を持つ知的分類エンジンはポルノに関するページとその他のページを高速で正確に分類することが出来る。このエンジンはKohonenの自己組織化マップ(KSOM)かFuzzy Adaptive Resonance Theoryネットワークスの両方で動作する。この2種類のネットワークは知的技術を採用しない場合に比べはるかに高性能である。KSOMの方が分類精度は高いが学習に時間がかかる。


アンケートに対する自由回答をマイニングする
Mining Open Answers in Questionnaire Data

Kenji Yamanishi, Hang Li

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: text mining, survey, questionnaire data, open question, classification rules, association rules, correspondence analysis, data mining

市場調査はマーケッティングやカストマーリレーションシップマネージメントの重要な部分である。その中でも自由記入の回答は重要な情報を含んでおりビジネス決定を行うために重要な情報を提供出来る。著者等は、アンケートデータ中の自由記入の回答を分析する新しい方法を提供するテキストマイニングシステムを開発した。その製品は、ある個別のターゲット群の特徴を高精度に抽出することと、異なるターゲット群間の関連性を高精度に抽出するという2つの機能を提供する。本稿で著者等は、このテキストマイニングシステムの動作原理について記述している。本システムは日本の大企業数社によりホームページ、ビジネスレポートやヘルプデスクのレポートなどに書かれたブランドイメージ、会社のイメージなどに対する質問、製品に対する苦情、コメントなどに対する回答を提供する目的で実際に使用されている。これらの結果、このシステムは的確なビジネス決定を行うために有益であることが分かった。


細胞シミュレーションの計算機上の課題: ソフトウエア工学によるアプローチ
Computational Challenges in Cell Simulation: A Software Engineering Approach

Kouichi Takahashi, Katsuyuki Yugi, Kenta Hashimoto, Yohei Yamada, Christopher J.F. Pickett, Masaru Tomita

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: biology, cell simulation, cellular process, object-oriented design

代謝、信号伝達、遺伝子発現、細胞運動、小胞移動、細胞分裂などの細胞の各プロセスをシミュレートすることは広範で複雑な相互作用が関連しており非常に難しい課題である。これらの細胞プロセスを適切にモデル化するためのシミュレーションシステムにはオブジェクトオリエンテッドな設計手法などを含む幾つかの計算機上の要求事項を満足する必要がある。著者等は細胞全体のモデル化、シミュレーションと分析に必要な理論、技術、ソフトウエアプラットフォームなどを開発することを目的としたE-Cellプロジェクトを開発した。1996年にプロジェクト開始以来、何種類もの細胞モデルを構築した。E-Cellプロジェクトのホームページは、 www.e-cell.org


セマンテックWebのためのオントロジー言語のDAML+OIL
DAML+OIL: An Ontology Language for the Semantic Web

Deborah L. McGuinness, Richard Fikes, James Hendler, Lynn Andrea Stein

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 5, September/October 2002

Keywords: ontology language, markup language, Semantic Web, DAML, OIL, DARPA

Deborah L. McGuinness, Richard Fikes, James Hendler, Lynn Andrea Stein 全ての基準でWebは巨大で驚くべき速度で成長している。この成長により、人間とプログラムの双方共にWeb情報やサービスへのアクセス速度と精度の両面で益々困難で重要な課題となる。用語の意味が埋め込まれたセマンテックWebは効率の良いWebコンテンツのアクセスを行う基礎をつくる。DARPA Agent Markup Language(DAML)プログラムはWebを、情報を提示するだけのプラットフォームから、情報を理解し推論するプラットフォームに変換する言語とツールセットを提供することを目的としている。本稿で、著者等は、用語の意味を獲得することでWebにオントロジー(メタデータ間の関連を記述するもの)言語を与えるDAML言語について記述している。更に、オントロジー言語のDAML+OIL (DARPA Agent Markup Language Ontology Inference Layer) を、いくつかの事例や言語の公理化を含めて紹介している。

IEEE Intelligent Systems (IEEE) Vol.17, No.6


情報カスタム化(Information Customization)
Guest Editor's Introduction: Information Customization

Javed Mostafa

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: information customization

我々の生活はますます多忙になり、会社の業績にとってタイムリーな情報獲得が重要になるに従い、旧来の情報獲得手法を逆転(少なくとも部分的に)することが要求される。ユーザーが過度の努力を払って適切な情報を探すのでなく、適切な情報が、それを必要としているユーザーを探す、というのが理想である。今日の情報検索システムの機能の多くのものを自動化し、情報の最適利用の機能を提供する情報のカスタム化システム(IC: information customization systemにより上記の要求を満足すること研究している。著者らは、ICより広い概念のコンテキスト-アウェアコンピューティング(CAC)についても記述している。(Na)


パーソナライズしたe-ショッピングのための適応型アシスタント
Adaptive Assistants for Customized E-Shopping

Filippo Menczer, Alvaro E. Monge, W. Nick Street

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: E-shopping, adaptive assistant, customization, persona, learning, relevance feedback, autonomous monitoring, privacy, IntelliShopper

オンラインショッピングは、無数にあるベンダーの数、統一されない情報提供、個々のベンダーサイトの構成のばらばらさ、などにより混乱が多い。ユーザー中心のビジネスモデルに基づく購買エージェントも提供されたが、価格が比較できても、費用を支払うに値するサービスと認識しないために成功していない。それゆえ今日のオンラインショップはショップリストに掲載する費用を払っているベンダーに有利に出来ている。ユーザー中心のビジネスモデルを有効に働かせるためには、購買エージェントがより便利にならなければならない。著者等はIntelliShopperと呼ぶ購買者の異質でダイナミックな購買嗜好をでしゃばらずに観察することで学習する購買アシスタントを開発した。IntelliShopperは、ベンダーのサイトを自律的にモニターすることで発見した新製品情報の提供を行うことも出来る。(Na)


商用Webサイトでカスタム化したインデックスを自動生成する
Online Customized Index Synthesis in Commercial Web Sites

Mamata Jenamani, Pratap K.J. Mohapatra, Sujoy Ghose

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: Web site personalization, Web usage mining, Markov decision process, customized index algorithm.

サイトナビゲーションを行っている最中に様々な関心項目に基づきユーザーを支援して情報の構造を知らせることはWebサイトの利便性を高める。訪れてくれたビジターが、そのWebサイトの商業的目的を達成してもらうことが重要なことである。今日のWebサイトはユーザーにそのような目的を満足してもらえるほど知的な支援を行っていない場合が多い。本稿では、ユーザーの関心を彼等の過去のナビゲーションパターンと、個々のユーザーが行ったページ中のリクエストパターンを基にモデル化している。これらのモデルをベースにして、著者等は、個々のページ要求に対して最も適切なリンク(インデックス)を生成するアルゴリズムを提案している。(Na)


ドキュメントアクセスパターンを利用して最適な情報提供を行う
Using Document Access Sequences to Recommend Customized Information

Travis Bauer, David Leake

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: interest model capture and representation, task and situation modeling, interest modeling over multiple domains, information customization agents

効率的な情報カスタム化システムはユーザーの実行するタスクの背景に適応して反応できなければならない。テキスト分析アルゴリズムのWordSieveはユーザーのブラウジングパターンに基づきユーザーの関心トピックスを提示する。WordSieveは、一連の関連ドキュメントから連想される用語を探すことで、あらかじめ定義されたコーパスなしに、トピックスに適切なキーワードをリアルタイムで学習する。これらのキーワードを用いて検索エンジンに質問することでユーザーに適切なドキュメントを提示することができる。本稿はWordSieveプロジェクトのゴール、アルゴリズムとを概説し、本技術をTFIDF法(term frequency inverse document frequency)、およびLSI法(latent semantic indexing)と再現性と抽出率で比較している。(Na)


Web個人化によるオンラインショッピングの支援システム
Helping Online Customers Decide through Web Personalization

Sung Ho Ha

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: business-to-consumer, collaborative filtering, data mining, e-commerce, personalization, recommender system, Web usage mining

本稿で提案しているWebベースの個人化システムは協調型フィルタリング技術とWebマイニング技術を用い、オンラインショッパーに対して、より知的にパーソナライズした商品購入の推奨を行う。(Na)


ユーザーの反応パターンを利用した適応型電子カタログコミュニティの構築
Building Adaptive E-Catalog Communities Based on User Interaction Patterns

Hye-young Paik, Boualem Benatallah

IEEE Intelligent Systems, Vol. 17, No. 6, November/December 2002

Keywords: adaptation, e-catalogs, personalization, interaction patterns

近年相当の勢いでeカタログ統合の研究が行われている。しかし、研究者たちは適応的なカタログを構築する必要性についてあまり重要視していなかった。また、カタログを設計するシステム設計者たちは、ユーザーのカタログ利用方法について固定的な考え方を持っている。(Na)


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