炭素-炭素を炭素-窒素へ (Carbon-carbon to carbon-nitrogen)
炭素-窒素結合は現代の医薬品において不可欠なものであり、化学者はその結合を作るためのより効率的な方法を絶えず追及している。今回2つの研究が、炭素-炭素二重結合を切断して、その場所に炭素-窒素三重結合を形成する今までと異なる方法を報告している。Bräggerたちは、超原子価ヨウ素試薬を用いてニトリル生成物を作り、他方、Chengたちは、不均一系銅触媒を酸素と組み合わせて用いた。2つの場合とも、炭素-炭素二重結合は、多岐にわたる複雑な分子の変換に対して使い勝手の良い手段として働いた。(MY)
- 超原子価ヨウ素試薬:ヨウ素は、通常のI価以外にIII価やV価をとることができ(超原子価状態)、このようなヨウ素が含まれる試薬のこと。ここではヨウ素が3つの化学基と結合しているIII価のヨウ素を含んだものが使われている。
- ニトリル:R−C≡N で表される構造を持つ化合物のこと。
- 不均一系触媒:固体のまま直接用いられ、反応系に溶けず固体表面で反応を起こす触媒。