サンゴの病気耐性に関する遺伝学 (Genetics of coral disease resistance)
白化と病気の勃発は、サンゴ礁にとって最大の脅威である。サンゴの熱耐性における遺伝的差異は報告されているが、病気耐性を構成する遺伝的基盤についてはあまりよく分かっていない。Vollmerたちは、絶滅の危機に瀕しているカリブ海のスタッグホーン・サンゴであるAcropora cervicornisにおける白帯病(white band disease)への病気耐性に強く関係する10のゲノム領域と73の一塩基多型を同定した。10の遺伝子領域が病気耐性と関係しており、そこにはサンゴの免疫と病原体検知に関与する4つの遺伝子の機能性タンパク質のコード変化を含んでいる。上位10のゲノム遺伝子座から得られる多遺伝子スコアは、観察された病気耐性を正確に予測することができ、サンゴの人工造礁に向けて、A. cervicornisの野生株及び種苗株の病気耐性を向上させるのに適用できるだろう。(MY,nk,kj,kh)
【訳注】
- スタッグホーン・サンゴ:枝分かれ構造を有するサンゴで、ミドリイシとも呼ばれる。
- 多遺伝子スコア:単一遺伝子の変異では説明できず多遺伝子が関係する病気などの特性に対し、関係する全ての遺伝子群のバリアントを評価して1つのスコアにまとめ、それらの特性の発現性や進展性などを予測する手法。
Science, adi3601, this issue p. 1451; see also adk2492, p. 1415