綱渡りの両立 (Balancing act)
大気中の二酸化炭素濃度が増加し、気温が上昇する世界において、植物は炭素増加と水分損失の間の二律背反にどのように対処してきたのだろうか? Liたちは、植物の水利用効率、つまり光合成による正味の炭素同化と蒸散の気孔伝導度の比が、1982年から2000年まで増加したが、その後2001年から2016年までは一定のままであることを示した。著者らは、これを蒸気圧の増加と強まりつつある蒸発散の結果であると解釈している。彼らの結果は、気候温暖化の悪影響がカーボン・ニュートラルの達成をさらに困難にする、もう一つの道筋を示している。(Sk,nk,kh)
- 気孔伝導度:気孔における水蒸気や二酸化炭素などの通りやすさを表す指標。
- 蒸発散:土壌面からの蒸発と植物体からの蒸散によって、地球表面から大気中に水蒸気が移動してゆくこと。