インターフェロンは肺の修復に干渉する (Interferons interfere with lung repair)
インターフェロン(IFN)は、抗ウイルス免疫の中核である。ウイルス認識はIFN産生を誘発し、これが次にIFN刺激遺伝子(ISG)の転写を引き起し、さまざまな抗ウイルス機能に関与する。I型IFN(IFN-αとIFN-β)は広く発現し、ウイルス感染時に免疫病理をもたらすことがある。対照的に、III型IFN(IFN-λ)応答は主に粘膜表面に限定されており、損傷を与える炎症誘発応答を活発にすることなく抗ウイルス保護を付与すると考えられている。したがって、IFN-λは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)と他のそのようなウイルス性呼吸器疾患の治療薬として提案されている(Grjales-ReyesとColonnaによる展望記事を参照)。Broggiたちは、COVID-19患者の罹患率が、肺でのI型とIII型IFNの高発現と相関していると報告している。さらに、合成されたウイルスRNAに曝露されたマウス肺の樹状細胞から分泌されたIFN-λは、致命的な細菌重複感染が起き易くなる肺上皮損傷をもたらす。同様に、インフルエンザ感染のマウス・モデルを用いて、Majorたちは、IFNシグナル伝達(特にIFN-λ)は、p53を誘導し、上皮の増殖と分化を阻害することによって、肺の修復を妨げることを見出した。この状況を複雑にはしたが、Hadjadjたちは、重度で重篤なCOVID-19患者の末梢血免疫細胞がI型IFNを減らし、炎症性インターロイキン6と腫瘍壊死因子α主導応答を増強することを観察した。これは、IFNの局所産生とは対照的に、IFNの全身性産生が有益である可能性があることを示唆している。この3つの研究の結果は、IFN曝露の場所、時機、および期間が、ウイルス性呼吸器感染症の治療法の成功または失敗の根底にある重要な要因であることを示唆している。(Sh,ok,kj,kh)
Science, this issue p. 706, p. 712, p. 718; see also p. 626