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- 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約
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Science April 26, 1996
土星の環の縁からの眺め( An edge-on view of Saturn's rings)
およそ15年ごとに、地球と太陽と土星とは、土星の環が縁から見えるように 配置する。ハッブル宇宙望遠鏡を用いて、1995年の基準系のこのまれな組み合 わせが利用された。 (表紙と Murrayによる展望 p. 507を参照のこと). Bosh and Rivkin (p. 518)は、5月に生じた最初の地球と環の面と交差の期間 中に、F環の内側の衛星 Prometheusが予測される位置よりおよそ20度遅れてお り、A環の外側の衛星Atlasが予測される軌道よりおよそ25 度進んでいることを 見出した。8月における2回目の地球と環の面との交差と、11月の太陽との 交差の間に、 Nicholson et al. (p. 509)は、Prometheusの遅れを確かめた。 これは、この衛星がF環と衝突しているのではなくて、かわりに、同じ軌道に ある衛星と遭遇した可能性を示唆している。彼らは、また、よりかすかなF,E, G環の構造について研究した。 Hall et al. (p. 516)は、8月の交差の直前に ハッブル上の微光天体の分光器を用いて、それらの環を包む薄いOHガス雲の 形状をよりはっきりと定めた。この雲は隕石の衝突により引き出さ れた可能性がある。(Wt)
適切な接続( Proper connections )
カーボンナノチューブは、グラファイトのように、電気的には伝導性のものである が、しかし、その伝導度の正確な測定は困難である---非常に小さなプロープが必要 であり、かつチューブへの接触抵抗それ自体が測定結果を支配してしまう可能性が ある。 Dai et al. (p. 523)は、リソグラフィー法を用いて、ナノチューブを露出させ る一方、ナノチューブの残りの部分は金の伝導層の中に保持しておいた。伝導性の プローブチップを用いて、露出したナノチューブと接触させて、その構造の地図 を描いた。伝導性の測定は、数ヶ所で行われ、その結果、接触抵抗をくくり出し てしまうことが可能となった。ナノチューブ中のよじれは、その抵抗を大きく増 加させる。(Wt)
溶けた鉄が動いて( Moving molten iron)
地球や他の惑星中の鉄のコアの形成は、珪酸塩の豊富なマントルから鉄の豊富な 溶融金属が、初期の段階で分離したことを意味しているのであろう。 Minarik et al. (p. 530)は、鉄の溶融物が分離するには、惑星の大規模な溶融が必要で あることを示唆する、実験的な証拠を与えた。この著者達は、11ギガパスカル までの橄欖石の中では、鉄の豊富な溶融物は大きな濡れ角を持つことを見出し た。これは、小さな体積の溶融物は、固体の橄欖石の間を相互接続するネット ワークの形成は不可能であろうことを示唆している。(Wt)
ホメオボックス相関図(Homeobox connection)
ホメオボックス(homeobox)を持つ(Hox)遺伝子は、発生期間中に(個体)形状の形成 を制御する。しかし、今日までヒトの突然変異がHox遺伝子と結び付く例は知られて ない。Muragakiたち(p.548)は、遺伝性の手足異常症として知られているsynpolydact yly が、HOXD13 の突然変異によって起こされていることを見つけた。この表現型は 、ホメオドメイン(homeodomain)の外側領域のタンパク質にポリアラニン鎖 が挿入した結果である。(Ej)
小脳における感覚(Sense in the cerebellum)
小脳は体の動きによって活性化され、これが損傷を受けると動きの制御が出来なくな ることから、運動器官と見なされてきた。Gaoたち(p.545;およびBarinagaによるニュ ース解説p.482)は、人間の被験者が、知覚を伴う動作課題と、伴わない動作課題だけ でなく、知覚を伴う対比課題を遂行するときの側小脳(信号を送り出す歯状核)の 磁気共鳴画像を得た。それによると、知覚を伴う課題の場合だけ側面小脳を活性化し た。一般的に考えられているように、小脳は運動の制御に特化しているのではなく、 むしろ、知覚情報の識別に利用されるような運動課題のみに携わっている。(Ej)
視覚皮質の発達(Visual cortex development)
哺乳類の成長初期段階に片方の目を覆ってしまうと、この目に対応する脳内視覚皮質 の応答を永久に損ねてしまう--脳は開いている方の目にだけ応答するようになる(視 覚優性適応性)。どのようにしてこの様な現象が起きるのかは議論の的であったし、 これに関わる神経伝達物質受容体の一つであるメタボトロピックグルタミン酸受容体 の役割が仮定されていた。HenschとStryker(p.554)は、視覚優性適応性のためには、 受容体の活性化は生体内での必須ではないことを示した。しかし、試験管での長期抑圧 (類似のメカニズムで起きるものと思われている)は、受容体の活性化を必要とする ことを見せた。(Ej)
損傷の制御(Damage control)
紫外線や発ガン性物質に曝すことにより誘発されたDNAの損傷はヌクレオチド切除に よって修復され得る。転写連結修復(TCR)は、ヌクレオチド切除修復が転写に伴って 起きる;大腸菌では、ミスマッチ修復(不適正塩基対修復)遺伝子の 突然変異体はTCR欠損も起こす。Mellonたち(p.557)は、癌体質症候群として知 られている遺伝性非茸腫結腸直腸癌の患者の細胞系を検索して、大腸菌のミスマッチ 修復に必要な遺伝子と相同なヒト遺伝子中に、突然変異体を見つけた。これらの細胞 系はまた、TCRの機能にも欠損が存在する。このことから、ミスマッチ欠損に加えて 、環境的に誘発される欠損も細胞中の修復を邪魔して、散発性癌を増加させると思わ れる。(Ej)
イメージを飾りたて(Fashioning an image)
陽電子放射トモグラフィーと機能性磁気共鳴(functional MR)画像の2通りの脳の画 像化技術は、神経活動結果として生じる血液流変化と、酸素飽和の変化に依存してい る。神経活動と、これらの変化の時間的空間的関連は、今まで未解決の問題であった 。MalonekとGrinvald(p.551)は、決まった大脳皮質応答を生じさせることで知 られている、特定方位の格子をネコに見せている間に、ネコの視覚皮質を可視画像化 した。彼らは、局部神経細胞の好気的代謝が、最初、強く局在化した領域の脱酸素ヘモ グロビンの増加を生じさせることを示唆している。この効果このすぐ近傍の 酸素ヘモグロビンを維持するように血液流の増加のトリガーと なるが、続いて、より広い領域の血液流が起 きるが、これは刺激前のレベルにゆっくりと戻って行く。(Ej,Kj)
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