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- 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約
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Science February 2, 1996
量子驚愕 (Quantum surprises)
高温超伝導の研究は、磁場内のスピン相関の研究を含む凝縮物性物理の分野で再び 活気を帯びてきた。Dagotto & Rice(p.618)は、鎖状物質による方形の格子によって出来た最近の「梯子」 構造の研究のレビューを行った。1次元の準長距離秩序反磁性対スピンのチェイン (chain)から、真の平面格子内長距離秩序に到るまでいろいろ観察した(例えば、 Sr2Cu3O5の3脚梯子構造や、SrCu2O3の2脚梯子構造)。ドープの条件が適当であ れば、梯子状化合物は、キャリアーの対生成を行い、超伝導性を示す。
超臨界炭酸ガス中の水とタンパク質 (Water and proteins in supercritical CO2)
超臨界状態の二酸化炭素(scCO2)は、多様な用途に使われている溶剤の、 環境に優しい代用物として役立てることが出来るが、通常は疎水性化 合物用にしか使えない。Johnstonたち(p.624;およびBeckmanによる展望 p.613)は、scCO2内で水の微粒滴を安定化させる無毒の界面活性剤を見つ けた。タンパク質やイオン化物質がこの微粒滴に溶解するから、これら の化合物はscCO2による方法で処理することができる。
土星の珍しい嵐 (Rare storms on Saturn)
1994年7月から12月にかけて、2回の珍しい、土星大気中の大規模な嵐が観察された。 Sanchez-Lavegaたち(p.631)は、フランス、日本、スペイン、米国の4つの地表の 天体望遠鏡と共に、ハッブル宇宙望遠鏡の画像を利用して空間と時間の解像度を 上げ、雲の進化、上層大気の速度構造、嵐の継続時間を研究した。
変形 I (Distortions I)
6つの同一メチル基がタングステン原子やレニウム原子に結合しているとき、 何が起きるか? 古典的な結合理論によれば8面体構造を取るが、最近の最初から の計算によれば、規則的な3角柱構造が形成される。これら極めて不安定な化合物 の結晶学的実験証拠によると、構造は依然予測とは異なっている。Pfennig & Seppelt(p.626)によれば、この3角柱構造の変形により、格子の対称性が低くなってい る が、現在の理論では説明できないとしている。
変形 II (Distortions II)
圧力増加に伴って、ルチル(金紅石)型からフルオライト(蛍石)型への相変化 はSnO2やPbO2のような二酸化金属で起きることが広く信じられてきた。Haines たち(p.629)は、これが当てはまらない結晶学的証拠を報告した:高圧相の構造 はフルオライト構造から大きくずれていると。この発見は二酸化金属の構造分類 学にとって重要なだけではない。これはSiO2の高圧型構造のような、他の二酸化 物の普遍的な高圧型の立方晶形相についても示唆を与える。
インシュリン耐性 (Insulin resistance)
腫瘍壊死因子α(TNF-α)はインシュリン受容体によるシグナリングを阻害する が、これによって、肥満症や糖尿病患者のインシュリン耐性にも寄与する。 Hotamisligilたち(p.665)は、TNF-αの効果があるためにはインシュリン受容体 基質1(IRS-1)が必要であることを見いだした。このIRS-1は通常、インシュリン受容体か ら生物化学 的シグナルを伝達するのに関わっているタンパク質である。TNF-αで処理された 細胞では、IRS-1はセリン残基でリン酸化され、インシュリン受容体の チロシンキナーゼ活性を阻害した。肥満ラットの筋肉と脂肪組織から取り出され 、受容体キナーゼ活性を阻害した。従って、IRS-1は、インシュリン受容体からの シグナル発信の役割だけでなく、TNF-αに反応して 受容体機能の阻害の仲介もしているように見える。
Rhoとともに進む (Go with the Rho)
小さなグアノシントリホスファターゼRhoは、細胞接着、細胞質分裂、細胞周期や転写を 含 む種々の細胞のプロセス制御に関与している。しかしながら、Rhoによる制御機構の分子 標的は知られていない。Amanoたち(p.648)およびWatanabeたち(p.645)は、各々 別の方法を使って、Rhoと相互作用するタンパク質を検出した。両グループとも プロテンキナーゼN(PKN)を同定した。これはプロテンキナーゼCファミリーの メンバーに関係するセリン-スレオニンキナーゼに関係している。活性化された RhoがPKNに結合することが、キナーゼを活性化させるようだ。Watanabeたちは、 活性化されたRhoに結合し、PKNに似た配列を持つもう一つのタンパク質であるrhophilli nを同定 した。これらのタンパク質は、Rhoの色々な細胞効果を仲介しているのかも知れない。
分子診断法 (Molecular diagnosis)
現在進行している癌研究の鍵となる目標の1つは、癌の初期診断を可能にする ような、悪性細胞内の遺伝学的な変化を敏感に検出する方法を開発することで ある。兆候から見て膀胱癌の疑いのある25人の患者に付いての試験的研究か ら、Maoたち(p.659)は、従来の尿中の癌細胞検出法より高感度で低コストの、 マイクロサテライトDNAマーカーをモニターする分子診断評価法を見つけた。 当然もっと多くの患者での研究が必要であるが、この初期の結果は、この分子 評価法が膀胱癌検診に利用できる可能性を示している。
分子シャペロン (Molecular chaperones)
分子シャペロンとして知られている一連のタンパク質の助けによって、タンパク質 は正しい最終的なコンフォメーションに畳まれるが、これを支配するメカニズムは よく解ってない。シャペロンの役割の可能性としては、タンパク質が正しく畳み込 まれる前の開かれた状態で、この状態を保持することが考えられる。別の可能性として は、間違って畳み込まれたタンパク質を、もう1度正しく畳み込むために シャペノンが開く(解き放たれる)と言うことである。Zahnたち(p.642)は、2つの異な ったシャペロン が、実際、両方の役割をやっていることを示した。SecBとGroELとして知られている 細菌シャペロン(bacterial chaperone)は、実際に部分的に畳まれたタンパク質に結合し て、 間違った畳まれ方や凝集を防いでいるばかりでなく、正しい最終的コンフォ メーションを達成出来るように、間違って畳まれたタンパク質を開くことができる。
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