Science August 28 2020, Vol.369

ウイルス防御のための原核生物の酵素 (Prokaryotic enzymes for viral defense)

原核生物とウイルスとの間の武器競争は強い進化の推進力を提供し、抗ウイルス性免疫応答を仲介する多様な酵素活性を生み出す。これらの免疫要素はしばしば宿主ゲノム中で集まってクラスターとなり、防御系の拡大をもたらす。Gaoたちは、進化における防御系のモジュール性を利用して、最もありふれた細菌および古細菌のゲノム中の防御遺伝子を生物情報学的に予測した。さらに加えて、彼らは、新たに特定された系を大腸菌で再構成し、特定バクテリオファージに対する大腸菌の防御機能を証明した。特に、彼らは、幾つかの予測されたヌクレオシド三リン酸分解酵素に関する防御機能の特性を明らかにした。(MY,ok,nk,kj,kh)

Science, this issue p. 1077

植物細胞壁の建設部隊 (Plant cell wall construction crew)

植物は、グルコース重合体であるセルロースが主成分の複雑な細胞壁を作り出す。セルロース繊維は、1本鎖セルロースが密充填されたもので形成され、幾つかのイソ型で存在するセルロース合成酵素の多量体(18かそれ以上のサブユニット)により作られることが提案されてきた。Purushothamたちは、単一種のイソ体からなる三量体のセルロース合成酵素の低温顕微鏡構造を決定した。大きな溝が、セルロース鎖が膜に埋め込まれた複合体を通るセルロース鎖の通路を形成する。この構造はまた、少量体の境界面を明らかにし、植物の膜で見られる多量体をモデル化するための基礎構造を与える。新生糖鎖用の出口部位の近接配置は、この酵素複合体がセルロースの細繊維形成を主導する上で果たしている役割と一致している。(MY,kh)

【訳注】
  • イソ体:基本的な機能に関連するアミノ酸残基は共通しているが、他の部分のアミノ酸配列は異なるタンパク質。
Science, this issue p. 1089

耐久性の源泉を見つける (Finding the source of their durability)

多くの高強度材料は、臨界に近い荷重に繰り返し曝された後に破損することがある。したがって、疲労の原因を理解することは、使用中の材料の寿命を延ばすための鍵である。Baiたちは化学蒸着を用いて、センチメートル長のカーボン・ナノチューブを生成した。彼らは、次に光学的に可視化するため、これらのナノチューブを二酸化チタンのナノ粒子で装飾し、非接触音響共鳴テストを使用してナノチューブの疲労。著者たちは、疲労寿命はひずみ時の最初の欠陥形成に依存し、低温ではより長いことを突き止めた。(Wt,kj)

Science, this issue p. 1104

水を離れ易くする (Easing water apart)

水を水素と酸素へと分解するための従来装置は、酸か塩基のどちらかの中で動作する。両極性膜は、酸による水素の放出を塩基による酸素の放出に結びつけることにより、効率を高める可能性がある。Oenerたちは、そのような膜と組み合わされた触媒が、水素イオンと水酸化物イオンへの水解離の前段階をどのように加速することができるかについて系統的な研究を行った。彼らは、最適な触媒統合にこの研究からの洞察を用い、両極性イオン交換膜電解装置の過電圧を大幅に下げることができた。(MY,nk,kh)

【訳注】
  • 両極性膜:片面が陰イオン交換性で他面が陽イオン交換性である膜。
  • 過電圧:電気化学反応において、熱力学的に求められる反応の理論電位と、実際に反応が進行するときの電極電位との差のこと。
Science, this issue p. 1099

蚊の免疫系を解き明かす (Teasing apart the mosquito immune system)

血球は昆虫の主要な免疫細胞であり、媒介昆虫が病気を伝染させる方法において主要な役割を果たしている。Raddiたちは、病気を運ぶ蚊であるハマダラカとネッタイシマカから8000個体以上の血球のRNAを収集し、配列を決定した。次に、これらのデータは分析され、血球の分化系統と、非感染およびマラリア原虫感染の血液餌に対応する血球数変化の違いが調べられた。これらのデータから、研究者らは、特定の標識遺伝子の転写によって定義される、メガサイトと名付けた新しい血球型を特定した。遺伝子発現抑制実験は、メガサイトが免疫誘導中の血球分化に機能しており、したがって蚊における免疫応答に関与しているかもしれないことを示唆した。(Sk,nk,kj,kh)

Science, this issue p. 1128

設計状況の調査 (Exploring the design landscape)

タンパク質の設計は、通常、タンパク質のトポロジー(二次構造の要素と接続性)を選択し、次に最も安定した構造を与える幾何学量(2次構造の長さと向き)を特定する。この方法に関する課題は、天然タンパク質における機能部位が非理想的な幾何学量を採用していることが多いということである。Panたちは、特定のトポロジに対して、可能な様々な幾何学量を調べ上げることでこの問題に対処した。彼らは、ループ-ヘリックス-ループ要素における幾何学量を体系的に変化させて実際に試すするLUCSと呼ばれる計算手法を開発し、それを2つの異なるトポロジに適用した。この方法は、自然界にはない幾何学量を持つ構造を含む、よく折りたたまれたタンパク質ファミリーを生成した。タンパク質の幾何学量を調整するその能力は、新しい機能の注文設計を可能にするかもしれない。(KU,nk,kj,kh)

Science, this issue p. 1132

1型糖尿病における神経免疫とのつながり (Neuroimmune link in type 1 diabetes)

1型糖尿病は、Tリンパ球が膵島に浸潤し、インスリン-産生β細胞を破壊する自己免疫疾患である。この免疫攻撃は不均一であり、内分泌膵臓の異なる葉に斑状に影響を与えることが長く知られていた。Christofferssonたちは、この不均一性が膵島の神経支配に関係しているのではないかと憶測した。マウス・モデルを使用して、著者たちは、交感神経細胞を切断または枯渇させたり、或いはアドレナリン受容体を抑制することが、T細胞仲介による膵島の破壊を防ぐことを見出した。膵島-常在性マクロファージと神経免疫の相互作用は膵島破壊を制御し、1型糖尿病に対する新たな標的となるかもしれない。(KU,nk,kh)

【訳注】
  • 神経免疫:神経系と免疫系との間に極めて密接な相互関連性が見出され、両者を統合する学問領域
Sci. Adv. 10.1126/sciadv.abb2878 (2020).

過去を使って未来を活かす (Using the past to inform the future)

過去およそ13万年以内の第四期後期の古記録は、気候変動下にある地球の生態系と生物相の今日的な管理を活性化することができる。Fordhamたちは、いつどこで急速な気候遷移が旧気候の記録に見つかるかを概説している。彼らは、地球の歴史においてこのような事象が、例えば生物多様性損失の速度、生態系の構造と機能における変化、およびこれらの生態系が人間にもたらす産物と便宜の低下等、将来の地球温暖化の結果に関する我々の理解をどのように形成しうるかを示している。彼らは、また同様に古生態学、古気候学そしてマクロ生態学の交差点における近年の研究の発展が、どのように人新世における気候変化への種と生態系の応答を予想し管理するための機会をもたらしうるか、という点を強調している。(Uc,KU,kj,kh)

Science, this issue p. eabc5654

多様な微生物のための適所を形成する (Building niches for multiple microbes)

リグノセルロースのような不均一な原料を微生物変換で1種類以上の目的物に転換するには、投入物の分解と生成物の生産の両方の経路構築が必要である。Shahabたちは、一つの生物反応装置内で異なる空間的適所を占め、異なる代謝能力を持つ、複数の微生物の集積を構築した。その構成の最も単純なものにおいては、好気性菌が手際よくセルロースを短い糖鎖に分解し、酸素耐性菌がこれらを乳酸に変換し、そして嫌気性菌が乳酸を用いて短鎖脂肪酸酪酸を合成する。追加の微生物により、この中間の反応経路における制限に対処する、即ち乳酸を潜在的により価値のある長鎖脂肪酸に転換する。生合成反応のためのこの乳酸の統合的な生産および使用は、頑健な不均一な複合微生物系を用いる生合成のための基盤技術として、理論的に役立つかもしれない。(Sk,ok,kj,kh)

Science, this issue p. eabb1214

インドにおけるデジタル保健 (Digital health in India)

コロナウイルス病2019(COVID-19)の世界的流行は、避けようのない都市封鎖と社会的距離確保のため、世界中で効果的なデジタル保健方法の必要性を浮き彫りにしている。展望記事において、Agrawalは、インドにおけるデジタル保健転換の例を取り上げている。それは、COVID-19の世界的流行によって再活性化され、公平で幅広い保障範囲を確保してきている。このようなデジタル転換には課題がないわけではなく、デジタル保健と対面式医療の均衡を維持することが重要である。(Sk,ok,kj,kh)

【訳注】
  • デジタル保健:医療で、データ(質と量)およびAI技術力(正確、教師あり)の双方を駆使する方法。
Science, this issue p. 1050

興奮性シナプスの合成オーガナイザー (Synthetic excitatory synaptic organizer)

ヒトの脳は、神経細胞の膨大なネットワーク中に何兆ものシナプスを含有する。シナプス再構成は、外部刺激の有効な受信と統合を確保して、情報を貯蔵して取り出すのに不可欠である。シナプスの形成と再構成は、シナプス・オーガナイザー・タンパク質の制御のもと、生涯にわたり起きる。この過程での誤りは、神経精神疾患あるいは神経疾患に至ることがある。Suzukiたちは、自然界のシナプス・オーガナイザーの構成要素を組み合わせて、CPTXと呼ばれ、さまざまな結合特性を持つ人工版を発生させた(Salinasによる展望記事参照)。CPTXは、小脳性運動失調症、家族性アルツハイマー病および脊髄損傷の動物モデルで、神経細胞を再接続し興奮性のシナプス機能を回復する分子橋渡し役として作用することができた。この知見は、構造誘導のやり方がどのようにして神経細胞回路の修復を助けることができるかを示している。(MY,kh)

【訳注】
  • シナプス・オーガナイザー:シナプスを形成し、維持するタンパク質。
  • <
Science, this issue p. eabb4853; see also p. 1052

自らの進む道を見い出すことができる (You can find your own way)

組織や胚を通る細胞の移動は、走化性と呼ばれる過程における誘引性化学物質の勾配によって導かれることがよくある。細胞は、複雑な経路を行路決定するのに最も優れている。というのは細胞は「自己生成する走化性」を使用し、独自の誘引物質勾配を形成するからである。この事例の一つは、好中球が組織中に移動して伝染菌を攻撃する場合である。モデル化と生細胞データを用いて、Tweedyたちは、自己生成する走化性により、細胞がそれらの環境に関する驚くべき量の情報を得ることができることを見出した。粘菌 Dictyostelium discoideum細胞とマウス膵臓がん由来の細胞は、正しい経路が長く、曲がりくねっていても、間違った経路に入ることすらなく、誘引物質の拡散を利用して複雑な迷路を通る最善の経路を特定することができた。(KU,ok,kh)

Science, this issue p. eaay9792

戦略を続けるのか、切り替えるのか? (To continue or to switch strategy?)

不確実で変化する開放型の環境で成功する行動様式は、進行中の戦略を続けるか、新しい選択肢を探すかを決定する能力に大きく依存している。 神経画像研究は、人間の内側前頭前野(mPFC)が主にこのジレンマを扱う脳のまさにその部分であることを示している。しかし、mPFCの様々な領域の貢献はほとんど不明のままである。Domenechたちは、この脳領域に深部電極を埋め込んだ6人のてんかん患者の神経活動を記録した(Steixner-KumarとGlascherによる展望記事を参照)。腹側のmPFCは、行動の結果に従って進行中の行動計画の信頼性を推論した。腹側mPFCは推測の結果が、計画をより良く利用するための学習信号としてか、それとも新しい計画を探索するための潜在的な引き金としてか、どちらかの判断結果を知らせた。背側のmPFCは、次に行動の結果を評価し、適応行動戦略を作成した。(Sh,KU,nk,kj,kh)

Science, this issue p. eabb0184; see also p. 1056

化学のための12キュービット量子計算 (Twelve-qubit quantum computing for chemistry)

精密な電子構造の計算は、理論化学と他の関連分野を革新するであろう量子計算の最も期待されている応用の一つと考えられている。Google AI Quantumとその協力者たちは Google Sycamore量子プロセッサーを用いて、2っの中間規模の化学問題に対して可変的量子固有値解析(variational quantum eigensolver (VQE))シミュレーションを実施した。その二つの問題とは水素鎖(H12ぐらいの長さ)の結合エネルギー及びジアゼンの異性化機構である(Yuanによる展望記事参照)。このシミュレーションは、最大72個の2キュービット・ゲートを含む最大12個のキュービットまでを使って実行され、VQEを誤差低減手法と組み合わせると化学的精度を達成可能であることを示している。提案されたVQEアルゴリズムの中核構成単位は、古典的手法ではシミュレーションできないより大きな系へ拡張できる可能性を有している。(NK,KU,kj,kh)

【訳注】
  • ジアゼン(diazene):一般式はR-N=N-R'
Science, this issue p. 1084; see also p. 1054

土壌の硫黄代謝に驚き (Soil sulfur metabolism surprise)

土壌細菌は、栄養素と炭素の獲得と再利用に寄与する一連の代謝経路を持っている。不思議なことに、これらの生物のなかには、嫌気性条件下で硫黄が不足するとエチレン・ガスを放出するものがいる。Northたちは、エチレンの供給源を、細胞内でいくつかの反応によって生成された小さな硫黄含有有機分子まで追跡した。硫黄が制限された条件で細胞を増殖させることで、この経路を通じた、硫黄回収に関与する酵素と、付随した生成物であるエチレンを特定することができた。適切な基質が提供された場合、メタンとエタンも生成物として観察された。関与する主要遺伝子は、バクテリアと古細菌で見い出されたニトロゲナーゼと他のいくつかの還元酵素の遠縁である。硫黄代謝におけるこのようなニトロゲナーゼ様遺伝子の関与は、この酵素ファミリーにおける未調査の多様性の可能性を際立たせ、現在調査準備が整った多くの機構的および進化的問題を提起する。(Sh)

Science, this issue p. 1094

咳から唾まで (From cough to splutter)

疫学では、ある感染者が症状を示し始めてから次の感染者が症状を示すまでの発症間隔が測定される。どの特定の感染症に対しても、その発症間隔は固定の特性であると思われている。中国本土のコロナウイルス病(COVID-19)の貴重な伝染者・被伝染者の組のデータを用いて、Aliたちは、非薬物的介入が導入されるにつれて平均発症間隔が変化したことに気づいた。2020年1月中旬には発症間隔は平均7.8日であったが、2020年2月初旬には発症間隔が平均2.2日に減少した。感染者の特定と隔離が迅速になればなるほど、発症間隔が短くなり、ウイルス感染の機会が少なくなる。この発症間隔の変化は、感染制御処置の有効性を評価しているだけでなく、集団免疫の上昇を示しているのかもしれない。(Sk,ok)

Science, this issue p. 1106

予想外の地球の水の源 (An unexpected source of Earth's water)

地球の化学元素の存在量とその同位体比は、どの材料が地球を形成したかを示唆する筈である。エンスタタイト・コンドライト(Enstatite chondrite:EC)隕石は、多くの元素に対して地球上のものと良好な同位体比の一致を示すが、高温の内部太陽系で形成されたため、水を含まないと予想されている。そうだとすると、地球の水は彗星のような別の源泉からである必要がある。Pianiたちは、13個の EC隕石で水素含有量と重水素/水素比(D/H)を測定した (Peslierによる展望記事参照)。彼らは、一般的に想定されているよりもはるかに多くの水素を見出し、そのD/H 比は地球のマントルの値に近かった。これらのデータを宇宙化学的なモデルと組み合わせると、地球の水のほとんどが EC 隕石によって供給された水素から形成された可能性があることを示している。(Wt,KU,kj,kh)

Science, this issue p. 1110; see also p. 1058

速度論的光学分割の範囲の拡大 (Expanding the kinetic resolution purview)

動的速度論的光学分割(DKR)は、鏡像反応物の対を2つの可能な鏡像生成物の1つだけに変換する強力な方法である。その鍵は、その反応物を迅速に相互変換しながら, 反応物の1つを生成物へとより効率的に送り込む手段を見つけることである。DeHovitzたちは、β-置換ケトンのキラル・アルコールへの DKRを実行するために有機触媒作用、光酸化還元触媒作用、および酵素触媒作用の協調的適用を報告している。このβ位置は、通常、DKR法を適用するにはあまりにも立体配置的に安定であると考えられてきた。(KU,nk,kh)

【訳注】
  • 速度論的光学分割:1組の鏡像反応物のそれぞれで反応速度が異なる不斉反応を利用し、反応性の低いほうの鏡像反応物を未反応のままで残す手法
Science, this issue p. 1113

抗体応答における共通テーマ (A common theme in antibody responses)

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)との闘いにおいて、抗体は強力な薬剤療法として、またワクチン開発を導くための重要な手段である。Yuanらは共有抗体応答の発見に焦点を当てたが、その応答では、多くの人が同じ遺伝的要素と認識様式を用いて同じ抗原に対して色々な抗体を作る。著者らは、ウイルス棘突起タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を標的とする294の抗体の中で最も頻繁に使用されるものとして免疫グロブリン重鎖可変領域3-53遺伝子を特定した。これらの抗体は体細胞変異をほとんど有しておらず、そしてRBDに結合された2つの中和抗体の結晶構造は、ほとんどが生殖細胞系列にコードされた残基が結合に関与していることを示している。これらの抗体の最小限の親和性成熟と高い効力は、ワクチン設計に有望である。(NA,KU,kj)

【訳注】
  • 抗体の親和性成熟:ホストは抗体の産生を繰り返し次第に抗原との親和性を高める。そ成熟性を言う
Science, this issue p. 1119

二重苦 (Double whammy)

デング・ウイルスとジカ・ウイルスの流行は、世界中で互いに重なり合ってきている。これらは、エンベロープ・タンパク質内で約40%の相同性をもつ近縁関係の蚊媒介性ウイルスである。私たちは、続発のデング熱感染が抗体依存性の疾患増強の危険をもたらすことを知っている。以前のデング熱免疫がどのようにジカ熱感染に影響するのかについて重視されてきたのに対し、以前のジカ熱免疫がどのようにデング熱疾患に影響しうるのかは殆ど分かっていない。Katzelnickたちは、ニカラグアにおいてここ何年かに両方のフラビウイルスに連続して曝され、よく特徴づけられ確定された小児集団を追跡してきた(Claphamによる展望記事参照)。この研究は、デング熱への1回だけの感染・治癒の前歴が問題であるばかりでなく、以前のジカ免疫が重症デング・ウイルス血清型2への感染の危険を増加させることも示している。対照的に、多数回の感染は抗体を防御水準に高める。(MY,kh)

【訳注】
  • 抗体依存性増強:以前の感染から治癒した後に類似した抗原に感染した場合、その症状が、以前の感染によりできた抗体が原因で重症化してしまう現象。
  • 血清型:表面抗原を基に分類した微生物、ウイルスあるいは細胞の型。デング・ウイルスでは4つの血清型の存在が知られている。
Science, this issue p. 1123; see also p. 1055