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Science February 7, 1997, Vol.275
遠い親戚(Distant relatives)
化石から判断すると、霊長類は、約5500万年前の
始新世に出現したと思われる。最近の新たな知見によって、彼らの初期の歴史に
関する重要な情報が得られているが、その他の側面、例えば、初期類人猿(ヒト
の遠い祖先)と他の霊長類との関係(ある場合には同定)についてはよく分かっ
ていなかった。Kayたち(p.797)は論文の中で、最近の化石の発見を概括し、系統
発生の統合を提示している。(Ej)
温暖化傾向(Warming trend)
熱帯太平洋の南方エルニーニョ振動現象の周期は3年から4年であるが、より長い期間の振動もこ
れらの揺動に重畳している可能性がある。Gu と Philander (p. 805)は、熱帯地方の外部と熱帯
地方とを結ぶモデルの中で、これらの長周期の振動のメカニズムを与えている。高緯度地方から熱
帯地方へ温かい水が流入することにより、10年以上にわたる周期のフィードパックサイクルが引
き起こされる。このようなメカニズムによって、熱帯太平洋地方において続いてきた、最近の未解
明の温暖化現象が生じている可能性がある。(Wt)
西方への海流(Westward flow)
地球を取り巻く赤道海路であるテーシス海路(
Tethys Seaway)は、1億4500万年前から6500万年前の白亜紀に存在していたが、
多分それよりも古くから存在していたかも知れない。この海路を通る西方海流は
動物相の拡散と、少なくとも熱帯の気候の制御に重要な役目をしていたであろう
と言われてきた。しかし、大洋循環の数値モデルはこの海流パターンを再生する
ことが困難であった。Bush(p.807)は、大気と海洋を連結したモデルによって、安
定に西方海流が発生することを報告している。(Ej)
水の中のクラスター(Clusters within water)
2つのレポートでは、水の化学的および物理的特性と、それらのそのクラスターサイズや電荷への
依存性に焦点を当てている。Gregory たち(p.814)は、理論と実験とを結合して、2個から6個
の分子からなる水のクラスターの双極子モーメントを研究した。水の6量体の分極は、液体の水や
氷のものに近い。すなわち、水の6量体は、これらの凝縮相中に存在する主要な相互作用を表現し
ている可能性がある。Tuckerman たち(p.817)は、水分子の電荷を帯びたの複合体である H5O2+とH3O2-
に対するアブイニシオ計算(第一原理分子軌道法)の結果を与えている。このH5O2+とH3O2-は
、強く水素結合したシステムと、中間的な強さのものの原形である。分配されるプロトンの量子的
な特徴は、酸素−酸素間の距離と、その結果として結合強度に依存していた:強い結合のH5O2+の
複合体は古典的な振舞を示したが、一方、H3O2-複合体は、室温においてさえ量子的な効果を示し
た。これらの結果は、プロトン移動の力学に関係している可能性がある。(Wt)
容易に回収するためのタグ(Tagged for ready recovery)
ある合成経路は、望まれる生成物がきれいに回収できて始めて、成功裏であるといえる。Studer
たち(p.823)は、弗化炭素のあるグループの異常な溶解性を利用して、クロマトグラフィーによ
る分離を用いずに、生成物を回収した。たとえば、ある弗化炭素のグループを有する反応物の一つ
にタグをつけることにより、タグを運んでゆく生成物は、弗化炭素の液相中において回収すること
ができる。残された反応物と副産物は、有機系か水系の相の中に分離される。(Wt)
再補充される火山(Recharging volcanoes)
同位体の研究から、マグマだまり
のプロセスに関する重要な情報がわかってきた;例えば、どの程度のマグマが溶
けて回りの岩石と混合するか、あるいは、他のマグマとどの位の量混合するか、
が。DavidsonとTepley(p.826)は、これらの詳細な記録はマグマから成長した累帯
構造斜長石(zoned-plagioclause)結晶中のストロンチュウム同位体比の変化から読み取
れることを示した。3つのケースについて研究した結果、同位体組成の急激な変化
は鉱物の化学組成の変化にも対応しており、多分マグマだまりへのマグマの補充を
記録しているのであろう。(Ej,Fj,Tn)
抵抗への参加(Joining the resistance)
砂糖大根と近縁種のハイブリッド化によっ
て、天然の無防備の砂糖大根は病原性土壌線形動物への耐性を持つようになる。
Caiたち(p.832;およびMoffatによるニュース解説p.757)は、耐性を与える遺伝子
を同定し、クローン化するために染色体の切断個所をマップ化した。Hs1pro-1遺
伝子は、細菌性病原体に遺伝子=遺伝子(gene-for-gene)応答を与えるタンパク質
と類似のタンパク質をコードする。(Ej,Kj)
視覚的探索(Visual searching)
表を上にして、テーブルに投げ出されたトランプ
の中から、我々はどうやって10個のダイヤモンドを見つけているのであろうか?
偏り競合モデル(biased competition model)によると、視覚的注意力は、まず赤
い印(トップダウンの因子)に偏って探し、次に、10個の印で、かつ、ダイヤ
モンドの形という要求に最も良く合致するカードを抽出する、と言う。Reesたち(
p.835)は、イメージング機能の研究から、ヒトの背外側前頭葉は、対象物の認識
を仲介する劣性側頭皮質へ偏った信号を送ることに寄与している、と言う証拠を
示した。(Ej,Kj)
ニューロンの保護(Neuron protection)
脳に於て、クリティカルな場所である黒
質にドーパミン作動性ニューロンがないことが、パーキンソン病の証明となって
いる。Choi-Lundbergたち(p.838)は、アデノウイルスベクターを使ってニューロ
ンの成長因子を脳の黒質へ送達した。パーキンソン病のラットモデルでの手順テ
ストによると、誘発性変性の後、ニューロンの損失は、無処置ラットに比べて、
減少した。(Ej,Kj)
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